紋谷のソコヂカラ
<<前へ | 次へ>> |
今年,そのセンスに影響を受けました
投稿日時:2008/12/14(日) 21:35今年は、事情が事情で、ほとんど映画館に足を
運べなかった年でありました。
たぶん人生で一番、少なかったんだと思います。
同様に、寄席や舞台、スポーツのイベントやコンサートも
まったく行けなかった年で、
エンターテイメントで刺激を受けることが好きな自分には、
本当につらい年でした。
本当は、抗がん剤の副作用さえ収まれば、
どんどん出かけたいのですが、
その許された時間が少なすぎました。
その反動ですか、自宅で楽しめる
小説やビデオ、テレビドラマなどは、
よく観ていました。
2週連続で、つまらない病気の話しをしてしまったので、
今回は、終始くだけた感じでお送りします。
◆◆◆ 今年観たもの 感じたこと ◆◆◆
●広告批評の「2008広告ベスト10」
今年のNO1に選ばれたコマーシャルは、
「大人グリコ」
そもそも、こういう賞の基準は明確ではないものの、
あの広告批評が、天野祐吉が選ぶのだから、
という1点においてステイタスはある。
推し量るに、「25年後のサザエさん磯野家」という設定の斬新さ、
豪華なキャストで作り上げたという話題性…
このあたりが評価されての受賞だと思われます。
しかし、このコマーシャル、斬新なネタの割には、面白くない。
「せっかくの素材なのに、もったいない」という印象しかなかった。
カツオ36歳 ワカメ34歳 タラちゃん28歳 イクラちゃん26歳…
あのアニメの普遍性との違和感は、キャスティングの華麗さ。
25年後に、「ああなっている」イメージと
あまりにかけ離れているせいでしょう。
また、肝心のサザエさんがいないということも…
シリーズすべてを観てはいないので、今度継続されてゆくなら、
そのセンスに期待したい。
出来れば、いかにもサザエさんらしいストーリィーを
25年後風にイジルくらいの演出が欲しい。
その意味でも、サザエさんの登場が待たれる。
コマーシャルも随分と様変わりした感があります。
露出量が多いCMが限定されてしまった。
いま、一番勢いのある業界や企業という構図は当たり前ですが、
露出量が多く、つまらないとなると、
まったく勘弁して欲しい。
その筆頭格は
通販と生命保険とパチンコもの
それぞれに、勘弁して欲しい理由が違いますが、
否定で時間を裂くのはもったいないので避けます。
それにしても、 パチンコ加山雄三は
…ないと思う。
アグネスラムやダースベイダーもなんだが、
若大将シリーズを愛する自分には、
あのナレーションはつらい。
シリーズモノでは進化を感じます。
缶コーヒーのBOSSは、どんどん悪ふざけが、
いい感じになっている。
八代亜紀にも笑えたが、鈴木京香の設定は楽しい。
キャラクターがある程度、認知を得ただけに、
この悪ふざけが自由に出来るようになった。
それにしてもこのCMのセンス、、
トミーリージョ-ンズご本人はどう感じているのか、
ぜひ聞いてみたい。
同様に、ソフトバンクの白い犬のお父さん。
始めは、ハナについて仕方なかったが、
最近はなれてしまった…くやしい。
犬だけに…チクショウという気分である。
最新の黒人の息子が山に登るバージョン、
バックの曲が映画「八甲田山」には、やられた。
最近の僕のお気に入りは
高橋の手帳
短い作品ですが、こういうものがセンスのある
クリエイティブと、久しぶりに嬉しくなった。
ちなみに、高橋手帳 といえば、
「高橋をうならせたら 50万円」という、
コピー募集を新聞広告で見たことありますか?
もう13回も続いている、企業主催のクリエイティブコンテストです。
賞は、「身近なひとの何気ないひと言」と
「商品企画(こちらは、高橋での手帳の企画募集でもある)」
の2つあります。
最新のコンテストの作品を紹介すると、
身近な…部門 大賞は
努力したら、できるように産んである
このコピーの応募者のコメントは、
高校入試目前に成績が伸び悩んでいたので、
母に「どうしてもっと頭がよく産んでくれなかったんだ…」
と愚痴った僕に言った、母のひとこと。
だそうです。
審査員のひとりである椎名誠賞は、
だまってついていかない。
いろいろ言いながらついていく。
はじめ、公園で遊ぶ子供に…の、ひとことかと思いましたが、
九州男児の男性が「だまってオレについてこい」と
プロポーズしたときの、妻となる相手の言葉だった。
ほんとうに、その通り、
いろいろ言いながらついてきてくれる妻です。
と応募者のコメントでした。
商品企画部門の大賞は、
予定がありすぎるあまり、
予定外の事ばかり起きてしまう人のための手帳
でした。
こういうコンテストを内外に公にしている企業ですから、
コマーシャルのセンスもやはりという出来です。
来年の手帳のCMなので、期間限定。
今から見るのは難しいかもですが、
観ることができたら、集中して、ちゃんと観てください。
ちなみに、バック♪は、あややの「めっちゃホリデイ」です。
広告批評は 30周年を機に、休刊となります。
天野祐吉曰く
「マスメディア広告万能の時代は終わった」
というのがその理由。
センスもへったくれもないCMばかり観ていると、
つくづくこの言葉の意味を感じますが、
休刊は残念でなりません。
各社広告代理店様、制作会社様
…なにとぞ、クライアントに負けず頑張ってください。
●映画については、ほんとは、語る資格がないです。
それは、やはり映画館に足を運べていないから…
それでも、レンタルベース(テレビ画面ベースとも言う)で
観た範囲で、挙げますと、
バットマン ダークナイト
これが本年度NO1です。
8月の公開以降、評判は聞いていましたが、
実際観て、その面白さにびっくりしました。
バットマンの映画化は
ティムバートンの1作目から、
リターンズ~フォーエバー~ロビン~ビキニング
と監督、キャストを換え、
さまざまに行ったりきたりしていましたが、
すべて凡作。
一息ついての今回は、見事な傑作に生まれ変わりました。
「007 カジノロワイヤル」もそうですが、
このシリーズが“一息ついて”は傑作を生み出す
方程式なのでしょうかね。
観た方には、言わずもがなでしょうが、
バットマン永遠のライバル、ジョーカー役の
ヒース・レジャーが出色の存在です。
「羊たちの沈黙」のアンソニーホプキンスを
髣髴とさせる存在感です。
上映時間は2時間30分。
最近では長いですよね。
それは、これでもか…というストリー展開のせいなのですが、
凡作なら、2時間目あたりで切るところ、
切らないで続けたことで、このジョーカーの存在感と、
作品全体のテーマが明確になっているので、
まったく必要な長さなのです。
ストーリーは追いません。
ハリウッドカテゴリーのひとつ、
アメコミ(アメリカンコミックス)の実写化映画は、
スーパーマン ワンダーウーマン、スパイダーマン、
ハルク、スポーン、X-メン、ファンタスティックフォー、
ディックトレーシー…と軒並み公開されています。
中でもスーパーマンとスパイダーマンはシリーズ化中で、
実写化にあたり、共通しているのは、
単なるスーパーヒーローではなく、
“弱さ”や“心の闇”とを表現しようとしているということ。
ハルクもそうですね。
アメコミのヒーローは“強きアメリカの象徴”であるわけですから、
もっと単純に勧善懲悪に徹すればと思いますが、
やはり、その“強さ”も迷走している現代では、
どうしてもこういう造りになるのでしょうか?
その心の闇の表現に捉われすぎて、
作品自体が迷走してしまった代表が、
スパイダーマン。
それでも1作目は観るものがありましたが、
2作目以降は…
そういう迷走を鼻で笑い、
お手本を示してくれたのが今回のバットマン。
バットマン自体に心の闇はありませんが、
そもそも生身の人間というヒーローが、
弱さや脆さを感じさせながら、
悪玉ジョーカーと対するストーリィー展開に…
これほどの、ブレもありません。
ラストの余韻も含め、傑作と認定します。
もう、ヒース・レジャーのジョーカーを
観ることができないのが残念でなりません。
邦画は…雑感で羅列すると、
「運命じゃない人」の内田けんじ監督の新作
「アフタースクール」はかなり期待していましたが、
実力が認められ、集まる制作費とキャストの顔ぶれの
ステージが上がった分、出来は下がってしまいました。
坂本順治監督×藤原竜也のコンビに胸躍らせた
「カメレオン」も…残念。
中でも、よかった作品は、佐藤隆太初主演の「ガチ☆ボーイ」
荒川良々の「全然大丈夫」
加えて、市原隼人君の「ネガティブハッピーチェーンソーエッジ」と
「神様のパズル」は好きな作品です。
※もうひとつの公開作品
「僕達と駐在さんの700日戦争」はダメでした。
12月のレンタル開始作品のタイトルついて…
「隠し砦の3悪人~ラストプリンセス」
個人的には、こういうカテゴリーはとにかく作り続けて欲しいです。
こういう…というのは、歴史モノ娯楽SF作品。
黒澤のリメイク…とふれ込まなければよいのに…
そもそも、隠し砦、舞台になってないし…ロードムービーじゃん。
阿部寛は“この手の”映画よく似合います。
京極シリーズの、榎木津礼二郎や
海堂尊原作の白鳥(チームバチスタ)役などは、
もう彼でなければ、というはまり役をいくとも持つ彼ですが、
なんとか“この手の”映画にも出続けて欲しい。
この映画での役者NO1は、なんといっても
宮川大輔 が素晴らしいです。
シバトラやバチスタでのドラマ出演でも、
なかなかの役者ぶりとは思っていましたが、
この映画で、その存在感は証明されました。
その対照で、長澤まさみと椎名きっぺいさん…
はまずいことになっています。
椎名さん…映画「魍魎の箱(漢字がでない)」
での関口役では見事でしたのに、
隠し砦での悪役…もう、こういうキワ役は、
断ればという感じですね。
男色の武将を演じた、高嶋政宏のアクくらいは
せめて感じさせて欲しかった。
彼が演る意味がなく格を下げるだけです。
長澤は…迷走中です。
確か、初の主演が「ロボコン」
この出来がひどかったのですが、
彼女のせいではなく、
自作の「世界の中心で…」で見事に演じ…
その後、がどんどん尻つぼみです。
倉本ドラマのリストカット少女も
映画「深呼吸の必要」の自閉気味の高校生役も、
「世界の中心で…」の役の印象のせいでの
オファーを受けたことが失敗…
その後もリカバーできすにいます。
アニメ原作の「タッチ」「ラフ」も最低。
これも彼女のせいではなく、映画がひどい。
「涙そうそう」で復活したかに思えましたが、
19歳ギリギリでの主演作「その時は彼によろしく」がまた最悪。
このままだと、どうでもよい娘になってしまいます。
2009年公開の「群青」に期待です。
それで思い出しましたが、
ライバルの沢尻エリカが、映画「クローズドノート」の
舞台挨拶での態度が問題になりましたが、
あれは、あまりに映画を適当に作るスタッフに切れたのが理由らしい…
とのことです。
つまり、自分は真剣に映画作りに参加しているのに、
作品の質にこだわらない姿勢が許せなかったと…
もし本当なら、僕は女優として正しいあり方だと思います。
何故なら、「クローズドノート」の出来が、
いい加減であったとしかいえないものだから。
そのままいいなりにならない…
そういうスタンスでいないと、
よい作品に参加できるのは、
運任せになってしまいます。
長澤が、前述の「そのときは、彼によろしく」の
公開直前インタビューで、
「20歳になる間際の作品が…こんな…いや
この作品でしたが、10代の自分が何を残せたのか
…まだまだですね」
と口にしていました。
同様に凡作であったこの作品、
それを感じていた長澤は、
スタッフに何を言ったのか…言えなかったのか。
「マジックアワー」
…“この手の作品”は、もう三谷さんしか作ってくれません。
お願いです、出資者の企業は、そういうつもりで、
制作費を出してあげてください。
それ以上のコメントはありません。
「山のあなた」
…加瀬亮の演技は最高です。本当によい役者さん。
あと、温泉に行きたくなる。
以上です。
●テレビ ドラマ
今年のNO1は、
明日の喜多善男
これにつきますね。
小日向 文世 さん最高でした。
原作は、文壇の貴公子…異端児?(笑)
島田雅彦の「自由死刑」。
これを「世にも奇妙な…」シリーズの
飯田譲治さんが見事にまとめてくれました。
吉高由里子をついに世に知らしめて
しまった作品でもありました。
月9では、小日向さんと吉高が続けて出演した
「太陽と海の教室」
視聴率は最悪だったらしいですが、
坂元裕二さんの脚本…僕はけっこう好きでした。
この人、東京ラブストーリーやら二十歳の約束やら、
ラストクリスマス…と
書き手としては有名な方で、
中でも、向田邦子賞を受賞した
「わたしたちの教室」の台詞回しは、
見事でした。
月9枠は、とにかく縛りがきつく、
濱田岳と北乃きい以外は、演技もままならない若者を扱い、
自由に実力が発揮できなかったのでしょうが、
それでも、彼の紡ぐ言葉は心に残りました。
僕が印象的だったのは、
責任は、何かが起った後にとるものじゃない!
起る前に取るもんなんだ!
と言う台詞。
出そうで出ない、
なかなかの人生訓だと思います。
●お笑い
ザ・パンチさん
M1グランプリでは、3年連続準決勝止まりだそうです。
パンチという名前では、なかなかピンときませんね。
ボケ担当の、パンチパーマの気持ち悪い姿の相方に
「お願いだから 来世は 人に生まれないでえ~」
と突っ込むあのコンビ…です。
わかりました?
今年の僕は、あのコンビの、あの突っ込みのひと言に、
センスを感じてしまいました。
お気に入りの突っ込みは、
「ホームステイ先で 嫌われてえ~」
なんといっても一番は、
「お願いだから 米送るから 家で 寝ててえ~」
です。
耳にして以来、どうにか使ってやろうと、いつも狙っているのですが、
なかなか使う機会がありません。
「 おまえさあ 頼むから 家で寝てて…米送るから」
嗚呼!
誰かに言いたい。
言いたいと…
こう…喉まで出掛かるのですが…
口に出来ない。
それほどではない…というより、
僕の弱さなのです…たぶん。
◆小説ですが
トム・ロブ・スミス の
「チャイルド44」
久しぶりにキマシタね。
資本主義の自由さの概念では、
このストーリーは出てきません。
やはり、社会主義国家の抑圧された体制下というか、
そもそものイデオロギーの違いがあってはじめて、
この本の根底が生まれている
小難しく言えば、それがこの小説の魅力です。
ロシアものですから、万人はお勧めしませんが、
年末にじっくり大作に挑みたい方は、ぜひ。
ロシアでは発禁処分らしいですが、
各国でベストセラーです。
出来るものなら映画化して欲しい…と思います。
後は、ライムシリーズからスピンアウトした、
ジェフリー・ディーヴァ-の
「スリーピング・ドール」
も面白かった。
このシリーズ 「ボーンコレクター」が
デンゼルワシントン主演で映画化されましたから、
ご存知の方もいらっしゃるかと。
前作の「ウォッチメーカー」が最高の出来ですので、
興味のある方はここからでも楽しめます。
日本の作品は もうこの場でも取り上げましたので 割愛します。
東圭吾さんは…書きすぎ
伊坂さんは…当たり外れありすぎ(笑)。
いまの買いは 道尾秀介 さんです。
◆◆◆
という くだけた感じでお送りしました。
適当に読んで、参考になるところ(ないかもしれませんが)だけ、
つまんでください。
この前、「なんでそう、なんでもかんでも自信をもって
紹介できるのか?」と あるご年配に聞かれました。
なんでもかんでも…
という部分については、
「本当は もっと ひとつに絞って 徹底的に 薦めるか、
そもそも、もっと伝えたいジャンルはいっぱいあるので、
取り上げるテーマ自体、広げたい気持ち
なんだけれど、
見てくれる方が、下は小学生の女の子から
上はおじいちゃんまでいるので、
とっつき易いジャンルで、
しかもあまり詳しく専門的過ぎたりすると…
申し訳なく…結果的に
薄く広くになってしまう」
と応え、自信をもって…の部分については、
「自信があるから」
と応えました。
…どうも、何かを望んでいるようでしたので、
「サブプライム問題に見るアメリカ経済の自己中の実態」とか、
「派遣を切る企業の建前と本音」とか、
「臨床と治療…日本の医療の行方」とか、
「インドネシア人の宗教と生活」とか、
そういうテーマでも、
一通りは書いてかけないことはないのですが…
と格好をつけてみると、
「いやあ…そういう意味ではないんだけど…」
と言うので、
「遠慮しないで、せっかく見てくれるなら…
何かお題をください」
と言うと、
「大病を患っている知人へ お見舞いするときに
気をつけること …ってのはどうか?」
とシュールなことをおっしゃるので、
「僕に限ってなら書けますが、一般的には、
類推の粋を出ないし、
やはり、デリケートな問題だから…難しいですね」
などと、応え、さらに
「個人的に、ほんとうにそういうケースで悩んでいるなら…
相談にのりますが」と突っ込むと、
実は、大学の同期がスキルス性の癌で先週入院した…と。
毎週のようにゴルフに行っていた友人なので、
病院で会う勇気が湧いてこない。
早く駆けつけたいんだけど、
…行ってどうしたらいいのか…と。
「その方の性格はわかっていらっしゃいますかよね?」
「そりゃあもう50年も付き合っているから…」
「じゃあ…その方が病気をどう受け入れているか、
イメージできますか?」
「できる…独りで悩んでも、家族や友人には見せない…
で頑張るタイプ」
「なるほど…結果的には、行っても行かなくても
向こうは あなたの気持ちわかってますよ。
もし、向こうの気持ちを考えての二の足なら、
踏まないほうがよいですよ。
あとは、自分が自分にどうしたいか?
…行かないで、亡くなったら後悔しますよね。
だったら、乗り越えること。
それだけですよ。
行ってどうしよう…なんて、
相手の顔見て考えればいいんです。」
と応えました。
この会話から1週間たちますが、
自分のコメントを後悔しています。
やはり、デリケートな問題は
ほんとは、簡単にアドバイスなんてしてはいけなかった…と。
その後、そのご年配が、
実際お見舞いに行かれたのかは知りませんが、
自分の基準で喋ってもよいことには、範囲があると。
そう思った次第でした。
こんなことも、今年、人との関わりの中で、
自分自身が感じた センスのひとつでした。
魔法の藁なら すがりたい
投稿日時:2008/12/08(月) 13:10悪魔の劇薬(笑)入れて参りました。
何度やっても、これだけは慣れません。
入れるたびに、体が怒っているのを感じます。
直前のRFP値は350…やはり、
投薬の間隔を空ければ空けただけ、数値は跳ね上がります。
予想はしているのですが、数字を見せられるとやはり、
心中に漣がたちます。
後は、1週間ごとのチェック…僕の場合、
薬が効くいてくるまでにタイムラグが…
3週間くらいあるようなので、
実際、効果があったのかが分かるのは、
クリスマスくらいですね。
多少でも、抑え込めていたら嬉しいのですが、
正直、過度な期待は出来ません。
サンタクロースの袋に 入っていないプレゼントもあるんだ。
と得心するのは、ひねた大人のようですが。
入院の直前、ライターのT氏より
「ペプチド・ワクチン療法」という、
がん治療の新しい可能性に関する情報を頂きました。
少し前に、NHKで取り上げられたそうです。
そのメカニズムは、
人のすべてに備わっている「免疫」の力をコントロールして、
がん細胞だけを攻撃させようというもの。
キラーT細胞が認識できるがんの目印“ペプチド”を合成して、
新たに投与することで、キラーT細胞の
働きを強くしようというものです。
すでに、なにを言っているのかわからない。
もしくは、興味のない(笑)という方は、今回は、ご勘弁。
NHKでの放送では、この治療法が「規制緩和新制度」の
指定を受けたこと、また、臨床実験では、
この治療を受けた患者の約6割が、がんの成長が止まった、
もしくは縮小したとのこと。などと併せ取り上げられたようで、
その反響はすごかったとのこと。
実際、がんワクチンの研究は、
すでに全国のさまざまな大学や研究機関で、連携
もしくは単独で行われているようで、
T氏から重ねて頂いた資料を見ると、
北は北海道から南は九州まで30を越える大学や研究機関、
適応の疾患も血液悪性疾患・消化器系のがん・
固形癌(舌癌・喉頭がんなど)・泌尿器系のがん・
胸部や筋・骨格系・中枢神経(悪性リンパ腫など)・
皮膚や胞腫にいたるまで、
ありとあらゆる分野で進められていることが分かりました。
ただ、まだそのほとんどが臨床実験レベル。
投与の安全性も含め、まだまだ未開の治療のようです。
また、先のペプチドに関しても、
あらかじめ “このペプチド” と決めて利用している研究機関と
患者の癌から採取した細胞に併せて、オーダーメイドの
ペプチドを投与するケースがあるようで、
その中でなにがわが身に適しているかは、
今のところはわかりません。
また、僕として理解が及ばないのは、
「合成したペプチドを投与する」ことで、
キラーT細胞を “その気にさせる” というのが、
どうも腑に落ちない。
領地を侵犯してくる敵の兵士の数を、実際より多く見せることで、
こちらの兵士の士気が上がる(もしくは攻撃力が増える)
という理屈が分からない(笑)。普通、逆ではないかと…
ただ、この治療法は、ペプチドを注射するだけという
シンプルなもののため、外来での治療が可能なことと、
なんといっても副作用が少ないというメリットがあります。
別の知人S君が、僕の入院中から、実際にこの治療の研究に
名を連ねる大学に当たってくれています。
その結果、新たに分かったことと言えば、
●この分野での先端をゆく福岡の久留米大学では、
来年4月より、「がんワクチン外来」を開設するということ。
久留米大学では臨床患者も受け入れていたが、
人が押し寄せ現在は閉鎖中。
外来は、「週1回の注射×6回」が1クールで、
それを2~4クール行うのが基本。
●B大学 正規の手続きを踏み、審査の上、臨床試験の適応が可能。
それには、主治医の同意と事前のエントリー要件を
満たしているかが重要。
一部の機関が宣伝しているような強力なものではない、
効果発現までには1ヶ月はかかる。
もっとも望ましい使用は、手術後の再発防止、
癌発症高リスク者への発症予防。
腫瘍がCTレベルで認識できる大きさの場合、腫瘍の完全抑制は無理。
現実的には、効果が期待できる抗がん剤を使い尽くし、
体調がまだ良好の場合、腫瘍が増悪を開始するまで
2~3ヶ月の時間稼ぎをするというところ。
精巣腫瘍は1例の臨床実績がある。
一時的にマーカー値は激減したものの、
後に増大、抗体を持った細胞が逆に増えてしまった。
(しかしこれにより、患者の存命期間が、
投与前の予想より少なくなったわけではない)
マスコミの情報は不可思議…実際の治療効果とは開きがある。
※B大学は…臨床レベルであるということ、また、
病院の医師個人のコメントでもあるため、
ここでは、大学名は伏せます。
上記でいえば、久留米が「オーダーメイドのペプチド」B大学が
「ひとつに限定したペプチド」の使用と考えられます。
このほかにも、札幌医科大や慈恵医大…そして
総本山の東大医科学研究所あたりが進んでいるようですが、
その違いが、実のところどうなのかはまだ不明です。
こういうときに思うのは、
情報がその大学発信に限っているということ、
素人が、比較検討するにはわかりにくいということが、
とても困ります。
実際、僕の癌センターの主治医も
この療法は知らなかったようで、
全国規模で言えば、同じ病気の治療に携わっていても、
研究と臨床の間には、情報の流通だけでも
相当の乖離があります。
それでも進んでいることはありがたいのですが、
患者の身としては、歯がゆい思いです。
僕としては、来年に向けて、更なる情報の収集をして、
ベストではなくても有益な選択をしたいと思います。
そのためには、モルモットも辞さない覚悟です。
みなさんのまわりに、このペプチド療法を知らない
癌患者さんがおられるようでしたら、ぜひ教えてあげてください。
また、直接、ご連絡いただければ、
もんやの知りえた情報とそのリソースはすべてお教えします。
重ねて、何か、新しい情報がございましたら、
宜しくお願いします。
何度やっても、これだけは慣れません。
入れるたびに、体が怒っているのを感じます。
直前のRFP値は350…やはり、
投薬の間隔を空ければ空けただけ、数値は跳ね上がります。
予想はしているのですが、数字を見せられるとやはり、
心中に漣がたちます。
後は、1週間ごとのチェック…僕の場合、
薬が効くいてくるまでにタイムラグが…
3週間くらいあるようなので、
実際、効果があったのかが分かるのは、
クリスマスくらいですね。
多少でも、抑え込めていたら嬉しいのですが、
正直、過度な期待は出来ません。
サンタクロースの袋に 入っていないプレゼントもあるんだ。
と得心するのは、ひねた大人のようですが。
入院の直前、ライターのT氏より
「ペプチド・ワクチン療法」という、
がん治療の新しい可能性に関する情報を頂きました。
少し前に、NHKで取り上げられたそうです。
そのメカニズムは、
人のすべてに備わっている「免疫」の力をコントロールして、
がん細胞だけを攻撃させようというもの。
キラーT細胞が認識できるがんの目印“ペプチド”を合成して、
新たに投与することで、キラーT細胞の
働きを強くしようというものです。
すでに、なにを言っているのかわからない。
もしくは、興味のない(笑)という方は、今回は、ご勘弁。
NHKでの放送では、この治療法が「規制緩和新制度」の
指定を受けたこと、また、臨床実験では、
この治療を受けた患者の約6割が、がんの成長が止まった、
もしくは縮小したとのこと。などと併せ取り上げられたようで、
その反響はすごかったとのこと。
実際、がんワクチンの研究は、
すでに全国のさまざまな大学や研究機関で、連携
もしくは単独で行われているようで、
T氏から重ねて頂いた資料を見ると、
北は北海道から南は九州まで30を越える大学や研究機関、
適応の疾患も血液悪性疾患・消化器系のがん・
固形癌(舌癌・喉頭がんなど)・泌尿器系のがん・
胸部や筋・骨格系・中枢神経(悪性リンパ腫など)・
皮膚や胞腫にいたるまで、
ありとあらゆる分野で進められていることが分かりました。
ただ、まだそのほとんどが臨床実験レベル。
投与の安全性も含め、まだまだ未開の治療のようです。
また、先のペプチドに関しても、
あらかじめ “このペプチド” と決めて利用している研究機関と
患者の癌から採取した細胞に併せて、オーダーメイドの
ペプチドを投与するケースがあるようで、
その中でなにがわが身に適しているかは、
今のところはわかりません。
また、僕として理解が及ばないのは、
「合成したペプチドを投与する」ことで、
キラーT細胞を “その気にさせる” というのが、
どうも腑に落ちない。
領地を侵犯してくる敵の兵士の数を、実際より多く見せることで、
こちらの兵士の士気が上がる(もしくは攻撃力が増える)
という理屈が分からない(笑)。普通、逆ではないかと…
ただ、この治療法は、ペプチドを注射するだけという
シンプルなもののため、外来での治療が可能なことと、
なんといっても副作用が少ないというメリットがあります。
別の知人S君が、僕の入院中から、実際にこの治療の研究に
名を連ねる大学に当たってくれています。
その結果、新たに分かったことと言えば、
●この分野での先端をゆく福岡の久留米大学では、
来年4月より、「がんワクチン外来」を開設するということ。
久留米大学では臨床患者も受け入れていたが、
人が押し寄せ現在は閉鎖中。
外来は、「週1回の注射×6回」が1クールで、
それを2~4クール行うのが基本。
●B大学 正規の手続きを踏み、審査の上、臨床試験の適応が可能。
それには、主治医の同意と事前のエントリー要件を
満たしているかが重要。
一部の機関が宣伝しているような強力なものではない、
効果発現までには1ヶ月はかかる。
もっとも望ましい使用は、手術後の再発防止、
癌発症高リスク者への発症予防。
腫瘍がCTレベルで認識できる大きさの場合、腫瘍の完全抑制は無理。
現実的には、効果が期待できる抗がん剤を使い尽くし、
体調がまだ良好の場合、腫瘍が増悪を開始するまで
2~3ヶ月の時間稼ぎをするというところ。
精巣腫瘍は1例の臨床実績がある。
一時的にマーカー値は激減したものの、
後に増大、抗体を持った細胞が逆に増えてしまった。
(しかしこれにより、患者の存命期間が、
投与前の予想より少なくなったわけではない)
マスコミの情報は不可思議…実際の治療効果とは開きがある。
※B大学は…臨床レベルであるということ、また、
病院の医師個人のコメントでもあるため、
ここでは、大学名は伏せます。
上記でいえば、久留米が「オーダーメイドのペプチド」B大学が
「ひとつに限定したペプチド」の使用と考えられます。
このほかにも、札幌医科大や慈恵医大…そして
総本山の東大医科学研究所あたりが進んでいるようですが、
その違いが、実のところどうなのかはまだ不明です。
こういうときに思うのは、
情報がその大学発信に限っているということ、
素人が、比較検討するにはわかりにくいということが、
とても困ります。
実際、僕の癌センターの主治医も
この療法は知らなかったようで、
全国規模で言えば、同じ病気の治療に携わっていても、
研究と臨床の間には、情報の流通だけでも
相当の乖離があります。
それでも進んでいることはありがたいのですが、
患者の身としては、歯がゆい思いです。
僕としては、来年に向けて、更なる情報の収集をして、
ベストではなくても有益な選択をしたいと思います。
そのためには、モルモットも辞さない覚悟です。
みなさんのまわりに、このペプチド療法を知らない
癌患者さんがおられるようでしたら、ぜひ教えてあげてください。
また、直接、ご連絡いただければ、
もんやの知りえた情報とそのリソースはすべてお教えします。
重ねて、何か、新しい情報がございましたら、
宜しくお願いします。
立っても一畳 寝ても一畳
投稿日時:2008/12/02(火) 14:48今日からまた病院です。
先週、書いたとおり、最近は出歩く機会が格段に増え、
その度に、「なんだ もんや…普通に元気じゃん!!」
などと言われてばかりいたせいか、
どうも心が勘違いしてしまっていたようで、
病院に治療をしにいかねばならない自分が…
どうも現実的ではない。
どちらかといえば、こちらの方が思いっきり現実なのでありますが、
人間は、甘きに流れるというのは致し方ないことのようです。
なんというか、面倒臭い…歯がゆい…そういう心境が近い。
もちろん、治療に戻らねばならない自分自身は常に意識していて、
何をしていても、心の底では、常に歯止めがかかっているのでしたが、
それでも、あえて客観視していて、まるで他人事のように…
もしくは、遠い空の下で起っている、
なにか天災ごとのように、語っていました。
もんやチャレンジで、3ヶ月も治療の間隔を空けたせいもあります。
11月の頭の途中経過の検査では、
やはり、RFP値は倍近くに跳ね上がっていたので、
病気の進行、そのものへの怖さと、
果たして、次の治療は効果はあるのだろうか?
という怖さが、現実から目を背けさせていることも感じています。
このブログを読み返すまでもなく…去年の今頃は、
BEP治療が限界となり、突然、新規の抗がん剤にスイッチしたタイミングです。
その時は、「真っ白な病院の風景が、真っ黒に変わってしまった」
と書いた覚えがありますが、
僕の中で、確実に“死ぬ”ということを意識したタイミングでもあります。
13年前の発症の際は、自分が死ぬかもしれないという現実は、遠いものでした。
時効でしょうから申しますが、回りがどんなに騒ごうとも…僕自身は、
「えっ!?…死ぬ?…そんなありえないよ」
と、どこ吹く風でした。
実際、
「これは、人生の休憩なんだ」
などと思っていて、読めなかった本を読んでやろうとか、
絵など描いてみようとか、
病室のベットでカメラを構え、
お見舞い客の顔を撮ってみよう…
などと、どこかのん気に構えていました。
抗がん剤の副作用が、あれほど強烈とは知らないせいもありましたが、
実際に体験してもなお、死ぬということ自体は、
それほど意識しなかったと記憶しています。
理由は2つほど。
ひとつは、投薬した分だけ、治療効果が確実に現われていたためであり、
もうひとつは、お見舞いに来ていただいた方のおかげです。
きつい投薬を1クール乗り越えると、その分、RFP値はぐんぐん下がり、
当初、あった肺の影は消え、予定の3クール目には、
値も正常値へと戻りました。
退院の折には、再発の可能性も示唆されましたが、
「そうなったら そうなったですね。
でも、抗がん剤だけはもうこりごりです」
などと、当時の主治医に嘯いていました。
後で、聞けば、
「僕の癌には有効な薬があるから、戦う価値はあるものの、
すでに末期の状態ではあるため、進行を食い止めることが
不可能かも知れず、抑えられなければ、1年の寿命と考えてください」
といわれていて、家族、親族は、やはり気が気ではなかったようです。
お見舞いに関しては、
“自分自身を知る”機会にもなりました。
当時、34歳…仕事と仕事の間で、今日を当たり前のように生きていた時代。
自分が、“他人にどう見られているか?”などとは考えもしない頃です。
確か、入院して1ヶ月もした頃、ある月曜日の朝、
定期的な検査を受けに、病院のCT検査室に行った時のこと、
上半身を、冷たい金属に押し付けていますと、
すでに、顔見知り程度にはなっていたレントゲン技師の若いアンちゃんが、
「もんやさん…聞いてもいいですか?」
と訊ねる。
「なんですか?」
と応えると。
「昨日の日曜日、僕は日直で、病院の受付に1日いました。
朝から、お見舞いに来られる方の、受付をしていたのですが、
来る人、来る人、みんな“紋谷税”さんと記入してゆく…
数えれば、1日で48人。
いったい、もんやさんは、何をしている方なんですか?」
と、言います。
CT撮られながら、聞かれる質問ではないなあ~などと思いながら、
「いやあ…なんてこたあない、普通のサラリーマンですよ」
とその場は応えましたが、病室に戻り、考えました。
お見舞いの方たが、多い少ないなどと、意識したことはないが、
確かに、入院以来1ヶ月で、100人を越える方々が、
この病室にいらしてくれた。
中には
「この方が病気で入院したら、果たして僕はお見舞いに行くのだろうか?」
と思う方まで。
…これは恐縮ばかりしていたが、とても素晴らしいことなのではないだろうか。
少なくとも、知人が病気を患い、そこに見舞うということは、気を使うことであり、それが、癌ともなればなおさら、
逆に見舞うのをはばかるということもありましょうに、
それでも、これだけの方が、お見舞いに行こうと思い、訊ねてくれた。
これは、なんとなく生きてきた人生ですが、満更でもないのでは…と。
とまあ、このような医学の力と人の気持ちのおかげさまで、
当時の僕は、「死ぬという現実」をあまり意識せずにすんだ訳でした。
先週、叔父が他界しました。
高齢ではありましたが、事故死という無念の最期でした。
この叔父さん、教育関係の多い、わが父の兄弟では、
少し異端児で、某放送局の、地方の局長さんなどを歴任されていて、
奥さんも、放送局でアナウンサーか、声優さんか、
とにかくまだ、テレビ放送がまだ、始まって間もない時代から、
テレビ局で「声」の仕事をされていた方だったと記憶しています。
地方の勤務が多かった必然で、
生家でもある、わが家(父は弟になります)へは、
お盆や正月くらいしかやってきません。
40年前当時に、渋い緑色のボルボ240GLに乗りやってくる叔父さん。
その上、顔つきは、フランス映画の主役張りの色男でしたから、
幼い僕などには、重ね合わせ、ハイカラでモダンなイメージの方でした。
「おお!ちから君元気か!?」
どちらかと言うと、人生を諭すことが好きな、
親戚の叔父、叔母の中にあって(笑)、
このハイカラな叔父は、説教らしい説教もせず、
いつも明るく、ニヤニヤと頭をなでてくれる
…そんな人でした。
今、思い出しても、甥への正しい接し方などは、
出来ない人だったように思います。
諭し、導くというより、どこか距離のある接し方しかできない、
そんな不器用な人。
それでも、我が家の座敷の欄間は、爺さんが自分で彫ったという話しや、
放送局の裏話なんかを、酔った勢いで話してくれる叔父でした。
晩年は、お会いする機会もなく、今回の訃報でした。
奥様を先に無くされてからは、独り暮らし、
最近は、どんな心持で過ごされていたのかは、存じませんので、
予期せぬ最期を、いま天国でどう感じているか
…思い巡らすこともできません。
一昨日、遺品の整理などを手伝いに、その晩年の住まいを訪れました。
そこには、独り暮らしの男の一生が詰まっていました。
故人で在れども、プライベート。詳しくは申しませんが、
叔父の人生を、こんな形で振り返っていることの寂しさと、
あのハイカラな叔父の晩年が
こんなだったのかを知ってしまったせつなさと…
そんなこんなを思いました。
この歳にもなると、身近な方の訃報は増えてくるものです。
そういう覚悟は、しているのですが、
ここ数年は、自分のことばかりが先にたち、
やはり、親族はもちろん、知人への配慮や気遣いがかけていたことも
痛感しました。
自分がどんな状況でも、人生に関わってくれた方への気持ちは忘れてはならない。
また、誰しもが、いつ何時、死ぬことがあるかもしれない以上、
そうなってしまった際に、残す迷惑も自分の一生の中で精算しておくことが肝要。
そうして、最期は、立って暮らせど、寝て暮らせど…
一畳の世界で足りるくらいのもの。
この歳にして改めて、恥ずかしくも、色んなことが勉強になった訃報です。
遺品の中から、いくつか中古のカメラを見つけました。
どうも、中身はガタが来ているようですが、
修理に出して使ってみようと思います。
いかにも、もんやらしいノスタルジーですが、そうしようと決めました。
そうして、また退院したら、お世話になった方や、
会いたいと思う気持ちのままに、人と会い、
バシャバシャと撮ってみようと考えています。
その際の心境は、13年目とは少し違うと思いますが…
それでもなお、
「死ぬわけないじゃん!」
と嘯き…バシャバシャと…
そこのあなたも、覚悟しておいてください。
先週、書いたとおり、最近は出歩く機会が格段に増え、
その度に、「なんだ もんや…普通に元気じゃん!!」
などと言われてばかりいたせいか、
どうも心が勘違いしてしまっていたようで、
病院に治療をしにいかねばならない自分が…
どうも現実的ではない。
どちらかといえば、こちらの方が思いっきり現実なのでありますが、
人間は、甘きに流れるというのは致し方ないことのようです。
なんというか、面倒臭い…歯がゆい…そういう心境が近い。
もちろん、治療に戻らねばならない自分自身は常に意識していて、
何をしていても、心の底では、常に歯止めがかかっているのでしたが、
それでも、あえて客観視していて、まるで他人事のように…
もしくは、遠い空の下で起っている、
なにか天災ごとのように、語っていました。
もんやチャレンジで、3ヶ月も治療の間隔を空けたせいもあります。
11月の頭の途中経過の検査では、
やはり、RFP値は倍近くに跳ね上がっていたので、
病気の進行、そのものへの怖さと、
果たして、次の治療は効果はあるのだろうか?
という怖さが、現実から目を背けさせていることも感じています。
このブログを読み返すまでもなく…去年の今頃は、
BEP治療が限界となり、突然、新規の抗がん剤にスイッチしたタイミングです。
その時は、「真っ白な病院の風景が、真っ黒に変わってしまった」
と書いた覚えがありますが、
僕の中で、確実に“死ぬ”ということを意識したタイミングでもあります。
13年前の発症の際は、自分が死ぬかもしれないという現実は、遠いものでした。
時効でしょうから申しますが、回りがどんなに騒ごうとも…僕自身は、
「えっ!?…死ぬ?…そんなありえないよ」
と、どこ吹く風でした。
実際、
「これは、人生の休憩なんだ」
などと思っていて、読めなかった本を読んでやろうとか、
絵など描いてみようとか、
病室のベットでカメラを構え、
お見舞い客の顔を撮ってみよう…
などと、どこかのん気に構えていました。
抗がん剤の副作用が、あれほど強烈とは知らないせいもありましたが、
実際に体験してもなお、死ぬということ自体は、
それほど意識しなかったと記憶しています。
理由は2つほど。
ひとつは、投薬した分だけ、治療効果が確実に現われていたためであり、
もうひとつは、お見舞いに来ていただいた方のおかげです。
きつい投薬を1クール乗り越えると、その分、RFP値はぐんぐん下がり、
当初、あった肺の影は消え、予定の3クール目には、
値も正常値へと戻りました。
退院の折には、再発の可能性も示唆されましたが、
「そうなったら そうなったですね。
でも、抗がん剤だけはもうこりごりです」
などと、当時の主治医に嘯いていました。
後で、聞けば、
「僕の癌には有効な薬があるから、戦う価値はあるものの、
すでに末期の状態ではあるため、進行を食い止めることが
不可能かも知れず、抑えられなければ、1年の寿命と考えてください」
といわれていて、家族、親族は、やはり気が気ではなかったようです。
お見舞いに関しては、
“自分自身を知る”機会にもなりました。
当時、34歳…仕事と仕事の間で、今日を当たり前のように生きていた時代。
自分が、“他人にどう見られているか?”などとは考えもしない頃です。
確か、入院して1ヶ月もした頃、ある月曜日の朝、
定期的な検査を受けに、病院のCT検査室に行った時のこと、
上半身を、冷たい金属に押し付けていますと、
すでに、顔見知り程度にはなっていたレントゲン技師の若いアンちゃんが、
「もんやさん…聞いてもいいですか?」
と訊ねる。
「なんですか?」
と応えると。
「昨日の日曜日、僕は日直で、病院の受付に1日いました。
朝から、お見舞いに来られる方の、受付をしていたのですが、
来る人、来る人、みんな“紋谷税”さんと記入してゆく…
数えれば、1日で48人。
いったい、もんやさんは、何をしている方なんですか?」
と、言います。
CT撮られながら、聞かれる質問ではないなあ~などと思いながら、
「いやあ…なんてこたあない、普通のサラリーマンですよ」
とその場は応えましたが、病室に戻り、考えました。
お見舞いの方たが、多い少ないなどと、意識したことはないが、
確かに、入院以来1ヶ月で、100人を越える方々が、
この病室にいらしてくれた。
中には
「この方が病気で入院したら、果たして僕はお見舞いに行くのだろうか?」
と思う方まで。
…これは恐縮ばかりしていたが、とても素晴らしいことなのではないだろうか。
少なくとも、知人が病気を患い、そこに見舞うということは、気を使うことであり、それが、癌ともなればなおさら、
逆に見舞うのをはばかるということもありましょうに、
それでも、これだけの方が、お見舞いに行こうと思い、訊ねてくれた。
これは、なんとなく生きてきた人生ですが、満更でもないのでは…と。
とまあ、このような医学の力と人の気持ちのおかげさまで、
当時の僕は、「死ぬという現実」をあまり意識せずにすんだ訳でした。
先週、叔父が他界しました。
高齢ではありましたが、事故死という無念の最期でした。
この叔父さん、教育関係の多い、わが父の兄弟では、
少し異端児で、某放送局の、地方の局長さんなどを歴任されていて、
奥さんも、放送局でアナウンサーか、声優さんか、
とにかくまだ、テレビ放送がまだ、始まって間もない時代から、
テレビ局で「声」の仕事をされていた方だったと記憶しています。
地方の勤務が多かった必然で、
生家でもある、わが家(父は弟になります)へは、
お盆や正月くらいしかやってきません。
40年前当時に、渋い緑色のボルボ240GLに乗りやってくる叔父さん。
その上、顔つきは、フランス映画の主役張りの色男でしたから、
幼い僕などには、重ね合わせ、ハイカラでモダンなイメージの方でした。
「おお!ちから君元気か!?」
どちらかと言うと、人生を諭すことが好きな、
親戚の叔父、叔母の中にあって(笑)、
このハイカラな叔父は、説教らしい説教もせず、
いつも明るく、ニヤニヤと頭をなでてくれる
…そんな人でした。
今、思い出しても、甥への正しい接し方などは、
出来ない人だったように思います。
諭し、導くというより、どこか距離のある接し方しかできない、
そんな不器用な人。
それでも、我が家の座敷の欄間は、爺さんが自分で彫ったという話しや、
放送局の裏話なんかを、酔った勢いで話してくれる叔父でした。
晩年は、お会いする機会もなく、今回の訃報でした。
奥様を先に無くされてからは、独り暮らし、
最近は、どんな心持で過ごされていたのかは、存じませんので、
予期せぬ最期を、いま天国でどう感じているか
…思い巡らすこともできません。
一昨日、遺品の整理などを手伝いに、その晩年の住まいを訪れました。
そこには、独り暮らしの男の一生が詰まっていました。
故人で在れども、プライベート。詳しくは申しませんが、
叔父の人生を、こんな形で振り返っていることの寂しさと、
あのハイカラな叔父の晩年が
こんなだったのかを知ってしまったせつなさと…
そんなこんなを思いました。
この歳にもなると、身近な方の訃報は増えてくるものです。
そういう覚悟は、しているのですが、
ここ数年は、自分のことばかりが先にたち、
やはり、親族はもちろん、知人への配慮や気遣いがかけていたことも
痛感しました。
自分がどんな状況でも、人生に関わってくれた方への気持ちは忘れてはならない。
また、誰しもが、いつ何時、死ぬことがあるかもしれない以上、
そうなってしまった際に、残す迷惑も自分の一生の中で精算しておくことが肝要。
そうして、最期は、立って暮らせど、寝て暮らせど…
一畳の世界で足りるくらいのもの。
この歳にして改めて、恥ずかしくも、色んなことが勉強になった訃報です。
遺品の中から、いくつか中古のカメラを見つけました。
どうも、中身はガタが来ているようですが、
修理に出して使ってみようと思います。
いかにも、もんやらしいノスタルジーですが、そうしようと決めました。
そうして、また退院したら、お世話になった方や、
会いたいと思う気持ちのままに、人と会い、
バシャバシャと撮ってみようと考えています。
その際の心境は、13年目とは少し違うと思いますが…
それでもなお、
「死ぬわけないじゃん!」
と嘯き…バシャバシャと…
そこのあなたも、覚悟しておいてください。
愚痴
投稿日時:2008/11/24(月) 17:48人と会うことが格段に増えました。
昨年の今頃は、病院のベットでふうふう言っていたのだから、
なんともうれしい話です。
病気が完治したわけではないので、
一時のことかもしれませんが、
それでも、一応、外向きの服を着て、
どこかで待ち合わせて人と会えるというのは
嬉しいことです。
病室にお見舞いに来られるというのは、
やはり、なんとも苦手です。
薬を入れられている間はもちろんのこと、
比較的自由に(僕の場合、かなり自由ですが)
動き回れるとしても、そこが病院である以上、
身に纏う空気はどうしようもなく、
そこのところの遠慮や気遣いや無理や同情や、
かっこつけ…そんなものすべてが、なんとも苦手です。
いちばんの苦手は、相手が誰であれ、
こう見られたいなあ~という自分自身。
それは、だいじょうぶ…でもなく、
大変なんです…でもなく、
もうダメです…でもない、
「自分に課せられた病気という現実を、
客観的に受け止め、整理できています…」
というメッセージを伝えようとする自分自身。
病気を客観的に語ることで、どこか、
現実逃避をしているのかもしれない…
なんというか、そういう弱さが…苦手です。
ひとりでいれば、その気苦労はないのですが、
話す対象が出来てしまうと、
途端に、このメッセージを喋り出す自分が、
嫌いになります。
要するに、人としての“器”が小さいのか、
出来ていないのか…そういうことなのでしょう。
…この“なのでしょう”…とか、言っている自分が、嫌いです(笑)。
ここのところの不況のせいですかね、
最近は、“男子の愚痴”を聞く機会が増えました。
というか、正確には
「事実を語っているだけなのに、結局、愚痴になっている」
という感じです。
僕の回りの男子もみな、歳をとりました(笑)
ひとつは、そのせいでしょう。
独立をしていても、サラリーマンでも、
経営に近いところの目線で、みなモノを言う立場ですから、
若き頃とは違います。
目の前にある仕事を、自分の裁量の範囲でしていた頃とは違うのです。
食わせなけりゃならない、メンバーも増えました。
なにが成功の秘訣か、
どの道が正しいのか、
わからない時代でもあります。
いったん、立ち上げた事業や会社は
簡単に閉じることは出来ません。
それは、責任感云々…などでは、
語れない領域の話でもあります。
もちろん、愚痴などとは無縁の輩も数多くいます。
成功の極みにいるから…という訳でもありません。
この方々のパターンは、
今の自分に、何が足りないのか…その答えを持っている…か、
はたまた、愚痴る…というコミュニケーションの仕方を知らない…か。
どうも、そのいずれかのようです。
後者と会話すると、少しストレスを覚えます。
なんというか、面倒臭い(笑)。
弱音を本音で語れるというのも、時には大切。
…正直に話せばよいのに…と感じてしまいます。
でも、その術をしらないわけですから…実は、
しんどいのは本人なのかもしれません。
前者の方は、男子の本懐に近い。
愚痴などを語る必要はないのです。
もちろん、日々、それなりのマイナスは抱えたとしても、
中心に位置する幹が、どっしりと天に向かって伸びているのですから、
そのマイナスは、些事な枝葉末節にすぎません。
答えに向かい突き進む…その行き方が出来るのですから。
素晴らしい人生です。
もうひとつ、ごく稀にですが、こんな方もいらっしゃいます。
「男子たるもの愚痴らない」
これで、寡黙なら…一緒に飲んで楽しい相手ではありませんが、
愚痴らない代わりに、楽しい会話ができるのでしたら…
こういう友は、“めっけもん”…です。
ちなみに、僕はどのタイプかと申しますと、
“愚痴る術を知らない”男子に属します。
学生時代は大抵、
もんやは格好つけていると…
先輩達にいじめられました。
「先輩! オレッて どうっすか!?
…ダメッすか!?…ツライっす!」
などと口が裂けても言わない、言えない後輩。
実は、愚痴ることができる人がうらやましかった。
でも、子供の頃から、出来ませんでした。
理由は、わかりません。
おそらく、DNAと環境なのでしょう。
少なくとも、自分の記憶に
“愚痴を言っちまったなぁ~”というものはありません
愚痴を、本音と約すなら…
自分をさらけ出しているということです。
本音で甘える後輩は可愛いもの。
たまには、さらけ出せたらと…よく思いました。
まあ、愚痴をさらさなくても、酒に弱ければ…
これがなんとかなるのでしょうが、
まあ、いくら飲んでも、何時になっても、自分を見失わない。
酔っての不始末などしたくても出来ない。
「いやあ~昨日、飲みすぎて…
朝起きたら、日比谷公園のベンチでしたぁ~」
なんて言える男になりたかった。
飲み会でも、必ず、席の端に座るタイプで、
最後は、泡吹いてる仲間を家まで送る奴。
居酒屋で隣のグループと喧嘩にでもなれば、
必ず仲裁する役でした。
恋愛も同様。
愚痴らないから、本音が見えない…だから
「あなたは、ワタシといて本当に楽しいのか…わからないわ」
と、よく言われました。
僕にしてみれば、どうしてそういうことを聞くのか、
さっぱりわかりません。
また、どうすればよいのかも、さっぱりわからない。
何度も繰り返すうちに、
こういう場合、
「楽しいに決まっているじゃないか」
などと、いくら応えても意味がないことだけは、勉強になりました。
でも、相変わらず愚痴という本音は言わないのですから、
結果はあまり変わらなかったように記憶しています。
愚痴も、過ぎればうるさいのでしょうが、
まったく言わないというのは、
やはり、よくないことなのです。
社会に出ますと、この環境は、逆に作用したりもします。
愚痴らないこと、イコール、頼もしいという…“誤解”です。
会議の場でも、日々の仕事の場面でも、
いろいろな問題に直面した際に、
とくに解決策などはなくても、愚痴を言わないでいることが、
評価されたりします。
前向きな奴だ…という誤解。
もちろん、それなりの結果が伴ってこその話しですが、
それでもおかしい誤解です。
特に、悩んでいる部下などがいた場合、
直属の関係がなくても、上司からその部下の話しを
聞いてやってくれ…などと言われます。
勘弁して欲しい…と何度も思うのですが、
これも、愚痴ることのできないサラリーマンの宿命でした。
昔の部下などに会うと
「もんやさんは、人の話を聞くのが好きですよねえ~」
と言われますが、はっきり言って、大きな誤解なのですそれは。
…おそらく
…おそらくですが、部下でなくても、けっこうみんな
「もんやは人の話を聞くのが、好き」
なんて思っていません?…(笑)
実は、そうじゃないのです。
ここも正確に言うと
「楽しい話し おもしろい話し」
なら大歓迎…というだけで、
出口がない内容であっても、
ただ愚痴を受け止めることのできる
…そんな器ではないのです僕は。
それでも、なんでも…今は人と話すことは嬉しいことです。
ほんとに昨年の今頃は、ふうふう言っているだけでしたから…。
「会いたい人には、なかなか会えません」
普段の忙しい日常では、会いたいと思っていても、
いつのまにか、平気で時間が過ぎてしまいます。
その意味では、色んな方に会おうとする自分がいて、
会いたいと感じてくれる人がいる、
少し、浪花節ですがそういうことは、
病気のおかげさま…とも言えます。
…今回は、自分には出来ない領域…
全編、総天然色で“愚痴って”みようと思いましたが(笑)
やはり、最後は、美しくまとめてしまう…こういう奴です。
というか、もう変わりませんね…
無駄な抵抗はやめたほうがよいので、
どんどん愚痴ってください。
男子の愚痴…って言いましたが、
そう、女子は言わないのです愚痴は…
僕の回りだけですかね。
いちばん分かりやすい答えは、
奥さんや恋人ではなく、現在の部下でもないからなのでしょうが…
男女に関わらず、同じ程度の距離の友人でも、
女子は僕には愚痴らない…これはどうしてなのか?
やはり、女子は根本的には男子より
精神構造が大人に出来ているのではないか…
とりあえず、そういうことなのでしょうか。
誰か教えてください。
昨年の今頃は、病院のベットでふうふう言っていたのだから、
なんともうれしい話です。
病気が完治したわけではないので、
一時のことかもしれませんが、
それでも、一応、外向きの服を着て、
どこかで待ち合わせて人と会えるというのは
嬉しいことです。
病室にお見舞いに来られるというのは、
やはり、なんとも苦手です。
薬を入れられている間はもちろんのこと、
比較的自由に(僕の場合、かなり自由ですが)
動き回れるとしても、そこが病院である以上、
身に纏う空気はどうしようもなく、
そこのところの遠慮や気遣いや無理や同情や、
かっこつけ…そんなものすべてが、なんとも苦手です。
いちばんの苦手は、相手が誰であれ、
こう見られたいなあ~という自分自身。
それは、だいじょうぶ…でもなく、
大変なんです…でもなく、
もうダメです…でもない、
「自分に課せられた病気という現実を、
客観的に受け止め、整理できています…」
というメッセージを伝えようとする自分自身。
病気を客観的に語ることで、どこか、
現実逃避をしているのかもしれない…
なんというか、そういう弱さが…苦手です。
ひとりでいれば、その気苦労はないのですが、
話す対象が出来てしまうと、
途端に、このメッセージを喋り出す自分が、
嫌いになります。
要するに、人としての“器”が小さいのか、
出来ていないのか…そういうことなのでしょう。
…この“なのでしょう”…とか、言っている自分が、嫌いです(笑)。
ここのところの不況のせいですかね、
最近は、“男子の愚痴”を聞く機会が増えました。
というか、正確には
「事実を語っているだけなのに、結局、愚痴になっている」
という感じです。
僕の回りの男子もみな、歳をとりました(笑)
ひとつは、そのせいでしょう。
独立をしていても、サラリーマンでも、
経営に近いところの目線で、みなモノを言う立場ですから、
若き頃とは違います。
目の前にある仕事を、自分の裁量の範囲でしていた頃とは違うのです。
食わせなけりゃならない、メンバーも増えました。
なにが成功の秘訣か、
どの道が正しいのか、
わからない時代でもあります。
いったん、立ち上げた事業や会社は
簡単に閉じることは出来ません。
それは、責任感云々…などでは、
語れない領域の話でもあります。
もちろん、愚痴などとは無縁の輩も数多くいます。
成功の極みにいるから…という訳でもありません。
この方々のパターンは、
今の自分に、何が足りないのか…その答えを持っている…か、
はたまた、愚痴る…というコミュニケーションの仕方を知らない…か。
どうも、そのいずれかのようです。
後者と会話すると、少しストレスを覚えます。
なんというか、面倒臭い(笑)。
弱音を本音で語れるというのも、時には大切。
…正直に話せばよいのに…と感じてしまいます。
でも、その術をしらないわけですから…実は、
しんどいのは本人なのかもしれません。
前者の方は、男子の本懐に近い。
愚痴などを語る必要はないのです。
もちろん、日々、それなりのマイナスは抱えたとしても、
中心に位置する幹が、どっしりと天に向かって伸びているのですから、
そのマイナスは、些事な枝葉末節にすぎません。
答えに向かい突き進む…その行き方が出来るのですから。
素晴らしい人生です。
もうひとつ、ごく稀にですが、こんな方もいらっしゃいます。
「男子たるもの愚痴らない」
これで、寡黙なら…一緒に飲んで楽しい相手ではありませんが、
愚痴らない代わりに、楽しい会話ができるのでしたら…
こういう友は、“めっけもん”…です。
ちなみに、僕はどのタイプかと申しますと、
“愚痴る術を知らない”男子に属します。
学生時代は大抵、
もんやは格好つけていると…
先輩達にいじめられました。
「先輩! オレッて どうっすか!?
…ダメッすか!?…ツライっす!」
などと口が裂けても言わない、言えない後輩。
実は、愚痴ることができる人がうらやましかった。
でも、子供の頃から、出来ませんでした。
理由は、わかりません。
おそらく、DNAと環境なのでしょう。
少なくとも、自分の記憶に
“愚痴を言っちまったなぁ~”というものはありません
愚痴を、本音と約すなら…
自分をさらけ出しているということです。
本音で甘える後輩は可愛いもの。
たまには、さらけ出せたらと…よく思いました。
まあ、愚痴をさらさなくても、酒に弱ければ…
これがなんとかなるのでしょうが、
まあ、いくら飲んでも、何時になっても、自分を見失わない。
酔っての不始末などしたくても出来ない。
「いやあ~昨日、飲みすぎて…
朝起きたら、日比谷公園のベンチでしたぁ~」
なんて言える男になりたかった。
飲み会でも、必ず、席の端に座るタイプで、
最後は、泡吹いてる仲間を家まで送る奴。
居酒屋で隣のグループと喧嘩にでもなれば、
必ず仲裁する役でした。
恋愛も同様。
愚痴らないから、本音が見えない…だから
「あなたは、ワタシといて本当に楽しいのか…わからないわ」
と、よく言われました。
僕にしてみれば、どうしてそういうことを聞くのか、
さっぱりわかりません。
また、どうすればよいのかも、さっぱりわからない。
何度も繰り返すうちに、
こういう場合、
「楽しいに決まっているじゃないか」
などと、いくら応えても意味がないことだけは、勉強になりました。
でも、相変わらず愚痴という本音は言わないのですから、
結果はあまり変わらなかったように記憶しています。
愚痴も、過ぎればうるさいのでしょうが、
まったく言わないというのは、
やはり、よくないことなのです。
社会に出ますと、この環境は、逆に作用したりもします。
愚痴らないこと、イコール、頼もしいという…“誤解”です。
会議の場でも、日々の仕事の場面でも、
いろいろな問題に直面した際に、
とくに解決策などはなくても、愚痴を言わないでいることが、
評価されたりします。
前向きな奴だ…という誤解。
もちろん、それなりの結果が伴ってこその話しですが、
それでもおかしい誤解です。
特に、悩んでいる部下などがいた場合、
直属の関係がなくても、上司からその部下の話しを
聞いてやってくれ…などと言われます。
勘弁して欲しい…と何度も思うのですが、
これも、愚痴ることのできないサラリーマンの宿命でした。
昔の部下などに会うと
「もんやさんは、人の話を聞くのが好きですよねえ~」
と言われますが、はっきり言って、大きな誤解なのですそれは。
…おそらく
…おそらくですが、部下でなくても、けっこうみんな
「もんやは人の話を聞くのが、好き」
なんて思っていません?…(笑)
実は、そうじゃないのです。
ここも正確に言うと
「楽しい話し おもしろい話し」
なら大歓迎…というだけで、
出口がない内容であっても、
ただ愚痴を受け止めることのできる
…そんな器ではないのです僕は。
それでも、なんでも…今は人と話すことは嬉しいことです。
ほんとに昨年の今頃は、ふうふう言っているだけでしたから…。
「会いたい人には、なかなか会えません」
普段の忙しい日常では、会いたいと思っていても、
いつのまにか、平気で時間が過ぎてしまいます。
その意味では、色んな方に会おうとする自分がいて、
会いたいと感じてくれる人がいる、
少し、浪花節ですがそういうことは、
病気のおかげさま…とも言えます。
…今回は、自分には出来ない領域…
全編、総天然色で“愚痴って”みようと思いましたが(笑)
やはり、最後は、美しくまとめてしまう…こういう奴です。
というか、もう変わりませんね…
無駄な抵抗はやめたほうがよいので、
どんどん愚痴ってください。
男子の愚痴…って言いましたが、
そう、女子は言わないのです愚痴は…
僕の回りだけですかね。
いちばん分かりやすい答えは、
奥さんや恋人ではなく、現在の部下でもないからなのでしょうが…
男女に関わらず、同じ程度の距離の友人でも、
女子は僕には愚痴らない…これはどうしてなのか?
やはり、女子は根本的には男子より
精神構造が大人に出来ているのではないか…
とりあえず、そういうことなのでしょうか。
誰か教えてください。
本当に面白い海外ドラマ
投稿日時:2008/11/17(月) 23:53海外ドラマは小さい頃からよく観ていました。
小学生時代なんと言っても「スパイのライセンス」
(ABC放送 1968年~1971年)です。
もともとは、プロスパイという題名で、
主演はロバートワグナー。
後に探偵ハート&ハートでも主役をつとめた、
甘いマスクの俳優さんです。
ナタリーウッドと2度結婚していることでも有名です。
映画の出演も多く、タワーリングインフェルノで、
不倫してる女性を助けに火の中に飛び込む、
広報部長役…といえば顔を思い出す方もいるかもです。
我が家にカラーテレビがやってきて、初めて観た、海外ドラマ。
これには、はまりました。
ワグナー扮する、女好きでダンディな泥棒、
アレックスマンディが恩赦を餌に、
諜報機関から頼まれる任務を
遂行してゆくというストーリー。
静岡の片田舎の普通の家庭のお茶の間に、
突如現われた、ハリウッドのスタイリッシュな世界。
「ワタシの名前はアレックスマンディー」という
台詞で始まる煌びやかな1時間は、
テレビの前に釘付けでした。
吹き替えは、ジェットストリーム初代パーソナリティーの
城達也さん。
そのあたりを前後して高校生までは、
海外ドラマにはまり、
放送があればすべて必ず、観ていました。
コロンボ…スタスキー&ハッチ…マクロード…
コジャック……87分署…SWAT…ベンケーシー、
チャーリーズエンジェルや600万ドルの男、
スパイ大作戦…大草原の小さな家、
ナポレオンソロ、ヒッチコック…
中でも刑事物のお気に入りは、
「ポリスストーリー」(1973年NBC製作)
ロス市警が舞台ですが、
登場人物が1話ごとに替わり趣向。
ある回は刑事、ある回は白バイ隊員、
またある回は、潜入捜査官…
主人公が入れ替わる1話完結。
全体に、ヒューマンタッチで、独特の世界観が、
今までになくたまらなかった。
コロンボは、もう言わずもがなですから、
あえて褒めませんが、
この前、まだ観ていない人から、
どの話しがお勧めかと言われたので、
「歌声の消えた海」と「祝砲の挽歌」
を押しておきました。
SFものは、謎の円盤UFOや宇宙家族ロビンソン、
しかし、なんといってもこのジャンルNO1は
「タイムトンネル」(1967年ABC製作)
アメリカの砂漠の地下にある、研究所で開発された、
タイムトンネルで2人の博士が過去や未来を旅する話し。
この2人、いったっきりで帰って来られない…
毎回の襲われるピンチに、ラストでは、
また違う時代に飛ばされるというお決まりのパターンが、
手に汗を握る。
「To be Continued」のラストクレジットが
有名になった初のドラマだと思います。
ひとつのエピソードは基本1回の放送で
完結するのですが、そもそものテーマは、
1話で終わらず、つながって進行するパターンは、
「逃亡者」や「宇宙家族ロビンソン」などもそうでしたが、
なかでも、この “手に汗感” は、
タイムトンネルが秀逸だったと記憶しています。
高校生以降になると、
いわゆる政治経済物の大作が相次いで放送されました。
僕は「リッチマンプアマン」(NHK放送)
が好きでした。
ニックノルティーがよかった。
いつ頃からか…その後は、
あまり海外ドラマを観る事がなくなった。
観てはいるのだろうが、あまり記憶に残っていない。
最近の方が、記憶にないというのは、
へんな話しですが、
なんかお決まりのパターンに嫌気がさしたのかなあ。
「ビバリーヒルズ高校白書」と
「アニーMY LOVE」…
直近は「CSI」くらいですか。
昨年の話ですが、
お見舞いに「24」を頂いた。
中国の出張土産。
シーズン5までが、セットになっていて、
厚紙の大きな箱に入っている。
そう、思いっきりのコピー版(笑)
まるで、タイミング外しているので、
そもそも観る機会はないと思っていたら、
むこうからやってきた。
「まあ、こんな機会でもなければ、観ることもなかろう」
「そもそも、お見舞いに頂いたのだから…目は通さねば」
そんな軽い気持ちで、見始めた…
参った!…そんなに面白くない。
少なくとも、なぜ、あれほどのブームを巻き起こしたのか…
僕には分からなかった。
誰に感情移入してよいのか、
わからないので、手に汗が、浮かんでこない。
エピソードが場渡り的で、
話しを引き伸ばすことだけに
終始している感じがハナについてしまうから。
ただ、24以降、
海外ドラマが新たなブームになっていることは、
知っていたので、もしかしたら、昔のように、
心をくすぐる名作があるのではと、
以来、ちょこちょこと、借りて、観ている。
LOST
…設定は好きですが、
グランドホテル形式といえど、登場人物が多すぎ。
しかも、島に来る前の話しが、その大部分を占め、
個人のキャラ付けという意味を遥か通り過ぎ、
やはり、単なる引き伸ばしにしか見えない。
◆シーズン3の途中で挫折
プリズンブレイク
…主人公は一番のイケメン。
しかし、わざわざ、ここまでするか?
の必然が解消されない
大きな理由は、刑務所の外でのエピソードに
あまりに力がないこと。
映画で刑務所物は数多く観ているので、
それとの違いに目新しさがない。
◆シーズン1で挫折
HEROS
…各人の得意技が面白い。
なかでも、チアリーダー。
また、その親父の転身ぶりとその背景もよかった。
…がしかし、こちらも、収束に向けての努力が(笑)
見られず、広げるばかりで飽きてしまう。
要するに「幻魔大戦」のような、
1点に向かううねりを、ストーリーの中心にすえて欲しい。
シーズン2の「ヒロ」のエピソードとか、チャちいし。
◆シーズン2継続中
ボーンズ
…骨の話しには限界があるような気がする。
主人公の設定が普通。
相棒の刑事とのやりとりで、
進行させる手法でもあるが、2人の関係が希薄すぎ。
研究所の同僚のキャラ設定が甘い。
…ただ、シーズン1のエピソード、
クリスマスの回はよかった。
◆シーズン2で挫折
とまあ、こんな調子でした。
あくまでも、僕の正直な個人的な見解ですので、
「ふざけるな!」のご指摘はあろうかと思いますが…
と、これだけで、終わらせないのが
もんやのよいところ(笑)
ありました! お勧め。
というか、これをお勧めしたいので、
ここまで引っ張ったのです。
「Re: Genesis」
(カナダムーヴィーネットワークほか製作)
これは“当たり!!”です。
カナダトロントのバイオテクノロジー研究機関
(ノーバック)を舞台にしたドラマです。
主人公は、デビットサンドストローム博士
…分子生物学の天才科学者(ノーバックの主任研究員)
ストーリーは彼を中心に、
ノーバックの仲間が数々の難題に取り組むことがメインテーマ。
その難題は、ウイルス性の疾患や伝染病、
大気汚染や遺伝子問題…と多岐に渡り、
そのいちいちに、最先端の見識が詰まってる。
犯罪捜査を目的とした機関ではないところが、
みそで、ノーバックに持ち込まれる難題の数々を
プロフェッショナル達が挑んでゆく過程では、
ドンパチや殺人などが起ることはなく、
研究解明と解決策の提示までが描かれます。
大きな、魅力はこの研究解明の方向を、
我々視聴者にもわかり易く、見せてくれるということ。
手を抜いてない骨太の演出。
(たとえば、福山の湯川ガリレオ…
彼が始める、物理の数式の羅列…
意味わからないですよね。
そういういい加減な演出ではないという意味です)
そして、何よりサンドストロームをはじめ、
出演者のキャラがきっちりと魅力的にたっているということ。
主人公で言えば、性格は直情的でいい加減…、
酒好きで、女たらし、料理も得意で、人情にも厚い。
それでいて、世界に知られた天才科学者。
相棒のセラーノは冷戦沈着な、遺伝子、解剖学の
スペシャリストながら、ゲイであるメキシコ人。
ボブは、協調性…社会適応性に障害を持ちながら、
生化学では、ぴか一の頭脳を誇り、
サンドストロームを敬愛している。
そのほかのキャラも皆、魅力的。会話も洒落ています。
そんな、面々がノーバックに持ち込まれる、
難題を一致協力して取り組んでゆくところが、
時に痛快です。
また、このドラマは、「医学の限界」「科学の限界」も
ある意味正確に描いています。
つまり、難題に、挑みましたものの…、
結局解決できない問題という…落ちもあり、
やたらに、“ちゃんちゃん♪”という
ご都合主義になっていないところも、
僕は好きで…このあたり、物足りないという
方もいるかもしれませんが…
僕は、「大人が観るに値するドラマ」と思います。
また、話しの進行も、いくつかのエピソードは織り込まれ、
重複して進行するものの、その回で終わらせる話し、
何回かに渡る話し、全体に渡る話し…
ときっちり整理されているため、
「目が飛ばない」というか、
落ち着いてみることができます。
まさに脚本と演出の力。
現在、シーズン3までレンタルされています。
(カナダではシーズン4が放映中)
いま、これほど待ち遠しいドラマはありません。
休日に、暇をもてあましている方、ぜひご覧ください。
<<前へ | 次へ>> |
サイト検索
アーカイブ
- 2013年1月(1)
- 2012年12月(2)
- 2012年5月(1)
- 2012年4月(1)
- 2012年2月(1)
- 2012年1月(1)
- 2011年12月(1)
- 2011年11月(2)
- 2011年10月(2)
- 2011年9月(2)
- 2011年8月(1)
- 2011年7月(2)
- 2011年6月(2)
- 2011年5月(2)
- 2011年4月(1)
- 2011年3月(2)
- 2011年2月(1)
- 2011年1月(2)
- 2010年12月(1)
- 2010年11月(2)
- 2010年10月(3)
- 2010年9月(2)
- 2010年8月(2)
- 2010年7月(1)
- 2010年6月(3)
- 2010年5月(2)
- 2010年4月(2)
- 2010年3月(3)
- 2010年2月(2)
- 2010年1月(3)
- 2009年12月(3)
- 2009年11月(3)
- 2009年10月(3)
- 2009年9月(3)
- 2009年8月(3)
- 2009年7月(2)
- 2009年6月(5)
- 2009年5月(3)
- 2009年4月(4)
- 2009年3月(4)
- 2009年2月(4)
- 2009年1月(4)
- 2008年12月(4)
- 2008年11月(4)
- 2008年10月(4)
- 2008年9月(4)
- 2008年8月(6)
- 2008年7月(5)
- 2008年6月(1)
ブログ最新記事
- 平成24年12月20日(木) 13時2分 (01/07 22:11)
- 2013年 (12/31 22:54)
- 最後のお別れのご案内 (12/23 00:22)
- 群馬県月夜野町 奈女沢温泉 “釈迦の霊泉” (05/21 22:19)
- FBよありがとう でも、いいね!は大嫌い。という話し (04/17 00:36)
- 今週末の金曜日 7時から4人で予約お願いします (02/09 22:39)
- ROOTS (01/22 18:42)
- 第3回 今年の映画BEST10 2011 “観ないでシネるか!” (12/29 20:51)
- 天命を知る…か? (11/28 09:00)
- Facebook とMONEYBALL (11/14 10:38)
- 12人も怒れていたら 部屋が狭くて仕方ない (10/27 16:28)
- しぶとい (10/07 16:34)
- 渡る世間は…本日最終回 (09/29 16:43)
- 14日水曜日から 入院します (09/11 19:53)
- ボツワナと馬刺しと麻雀 (08/16 17:12)
- 銀河からの電話 (07/25 19:52)
- 全部の都道府県に、行ったことがありますか? (07/11 23:12)
- 梅雨の与太話はどこまでいってもパッとしない話しなのでご注意 (06/20 15:44)
- 僕と飼い主のこと そのに (06/05 22:13)
- 1/32 (05/21 08:26)
紹介メール
MON:U アマゾンストア
(紋谷さんお薦めの逸品を手にしてみませんか)