紋谷のソコヂカラ
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秋祭り
投稿日時:2009/10/13(火) 09:33生まれも育ちも「世田谷区奥沢で…」という友人などと、
プライベートや仕事で いっしょに地方に行くと目を輝かせる。
僕にとっては当たり前に親しんだ、森や林や川や田んぼにであります。
出身が地方でも比較的市街地に生まれて、東京に出てきたという方などは、
逆にそういう感覚はないようで、
俗に言う「田舎は苦手」という方が比較的多い気がする。
両親が居て、代々の墓がある場所だから
帰省はするものの森は森でしかなくて
川は川でしかない…なにか?
という具合だ。
「旦那が九州で 私が秋田でしょ…
大変なのよね…子供も居るし」
いくら帰省したくても簡単ではないことも多い。
一説には 同じ都市圏に住んでいても居を構えるとなると、
無意識に「自分の田舎に近い場所を選ぶ」のだそうだ。
西の出身者は神奈川県に…
東京在住なら 世田谷 目黒 大田区 …などなど
逆に東の出身者は新宿に近かったり
池袋だったりというように…
僕の場合はそういわれるとそうだなあ…と気がつく。
最初が高田馬場 これは学校の関係…
つぎに 祐天寺 学芸大学 自由が丘
と風呂なしアパートを 転々として
埼玉に勤務してから 大山 石神井公園
…などなどでありましたが
またすぐ西に越して以来
20年近く神奈川県に住んでいる。
おかげで…と言うのも可笑しいが、
帰省には車でも電車でも、2時間半で済む。
地方の公共事業問題が、またまた“かまびすしい”
わが静岡の例でいえば 「第二東名」と「静岡空港」
この2大事業であります。
「静岡空港」に関しては、そもそも論から、
建設工事の不手際 など“ミソ”は漬け放題ですが、
メディアが取り上げた話をなぞるのも無駄ですから
私見を詳しく言いませんが…
正直…「建設する意味がわからない派」でした。
ところが 先日 長崎出身のある女性からこう言われた
「静岡空港行きたいわあ…だって富士山見たいもの…」と言われた
北海道の出身の友人も
「 母ちゃんがさあ 富士山見たいっていうからさあ
…空港出来たでしょ…招待しようかと思うんだよね」という。
ついでに言うと 韓国人の知り合いも
「こんど静岡に富士山見にハムニダ(謝)」とメールが来た。
…なるほど 他県の人はそう感じているのか。
富士山ばっかだなあ…と苦笑しつつも、
地元は「行くニーズ」だけを必要論の判断の基準にしてしまうが、
「来てくれる」ということは実は盲点か。
もちろん、試算のシュミレーションでは観光収入も織り込み
ロジステックスに纏わる経済効果も見込まれているのでしょうが、
地域感情としてはやはり「オラはのらねえだら~」から発意してしまう。
それでも運行開始から半年くらい経ちましたか…
沖縄や北海道路線くらいが採算ベースで後は下回っているらしい。
JALに足りない分を2億ばかり払わなければとなっていて、
またまた“かまびすしい”。
今のJALには 焼け石に水にも足りない誤差なのでしょうが。
「第二東名」はどうなるのだろう。
まあ中止と言うことはないのだろうが
…もし凍結とかなる可能性が今後増すのであれば非常ににみっともない。
うちの近所を通過する(正確には実家の2Kmほど裏)ために、
森は切り開かれ 造成工事の最中であります。
また、目の前の田んぼには 巨大なコンクリートの柱がバンバン…バン!
(まさにこういう感じ)で立ち並んでいて、
頭に乗っかる道路の完成を待っている。
ここで止められたらたまらない。
積年の思いが凝縮された、某ダム問題とは比べるのも申し訳ないが、
気持ちの根幹は同じように思う。
もし、この異形の柱が…このまま放置されることになるようなら…
ボクは落書きしてやる! 絶対に!
◆◆ お誘い ◆◆
11月6日~8日 わが故郷 森町ではお祭りがあります。
少しご紹介します…
静岡県西部地区最大のお祭りといえば、浜松の祭りが有名です。
これは 城下町浜松のお殿様が第一子誕生の祝いと始めたのが
そもそもの起こりで、今も「我が家の初子を町内で祝う」というもの。
市内170の町内で 巨大な凧揚げ合戦をしたり、
御殿屋台を引き回したりと…
なかなかに盛況な夏のイベントであります。
地元、森町を出て、浜松市内に居を構えている親戚は、
「ボクはここのお祭りの意味がわからないただ騒ぐだけで
…だからなんなんだと感じる」
と言うが、浜松出身者に言わせると
「このお祭りは地元のわれわれだけのためにある。
子供が産まれたことを内輪で祝う
だから身内同士…そういうもの」
…らしい。
実は、ボクはこの歳まで浜松祭りを見たことがなかった。
去年、今年とはじめて体感した。
結論を言えば、その親戚の意見に同感であります。
これは同じ静岡西地区のものが近いが故に
より感じる独特の感情かもしれません。
あの…ただ騒ぐだけ…な感じに共感できない
…のでしたが、
「身内のお祭り」といえばそうなのでしょう、
そもそもお祭りとはそういうものなのでしょう。
…それにしても感じる違和感は…
規模のでかさかもしれない。
どうにも 何を観てよいのか…わからない
あと、初子のお祝いがベースにあるとはいえ、
祭りのコンセプト…
うーん 一本筋が通っていない感じが
どうも乗れないのであります。
このあたりは好き嫌いの範疇ですから仕方ないのですが…
それにしても、身内の大騒ぎ…というわりには
観光客に向けてのパフォーマンスは大掛かりでありました。
森のお祭りはこれに比べては規模も小さい大凧も上がらない…
それでも ボクは大好きなのです。
そもそもは2つの神社の氏子町だけの祭礼だったらしいのですが
大正までの村の細分化や融合を経て、
14の町内が参加する現在の形になったお祭りです。
そもそもは今年の豊年への御礼と来年の五穀豊穣祈願…
いわゆる秋祭りです。
お祭りの開催中は、町内にはそれぞれ2輪屋台を引き回します。
この屋台がなかなか美しく
屋上の浜床には歌舞伎などを模した三車人形がライトアップされ、
車体は総漆塗り。中には 大太鼓 小太鼓が乗り込み、
笛を鳴らす手木には 肉襦袢姿の若い衆が入り
「おっそら」の掛け声も勇ましく 練る。
屋台の前方の長い綱は 町内の子供たちの担当…
おそろいの法被姿で、屋台と一緒に町内を巡るのであります。
森の町内は道が狭く、入り組んでいて
家々の軒をかすりながら右に左に…練るさまは
見ているだけで心が沸き立ちます。
違う町内の屋台がその狭い道で鉢合わせるようなら
喧嘩がはじまります。
どちらも譲らないつばぜり合い…
それが故で遠州の喧嘩祭りとも言われてきました。
ただ、昔、この喧嘩が行き過ぎて…死人がでたこともあり、
現在では自粛…まあ睨み合い…という感じに落ち着いています。
祭りの見どころは2つの神社前に全部の屋台が並ぶ
「お渡り」と最終日の「舞児還し」
「舞児還し」は、
毎年各町内から選び出された子供が舞楽を奉納し、
最終日にはこの舞児を各々の家に送り返すという行事のことで、
舞楽を終えた舞児を 町内の男集が担ぎ、
社から地面につけることなく屋台の前面に納め帰ってゆくという
慣わしなのです。
ボクは 特にこの舞児返しが 大好きで…
実は サラリーマンの時代にひとり新幹線に飛び乗り
この舞児返しだけ観て帰る…なんてことをしていました。
奉納される神社の社へと続く石段の脇の木立から下を見下ろすと
狭い道に町内の屋台が舞児の帰りを待ちながら、ひしめき合っています。
「おそらおっそら!」と掛け合い、大太鼓小太鼓と笛が醸す
独特の調子が響き渡ります。
日が落ちて行く中に 数百の提灯が乱れ
見物客の熱気も重なり、それは活気がある眺めです。
これを観ていると 元気が出てくるのです。
ということで、今年は帰省してじっくり堪能することに決めています。
森の町に住む従兄弟のひとりは、英悟が堪能で
海外の友人をこのお祭りによく誘っていました。
「小さい町の小さいお祭り
…でもそこが 他にはない独特の日本の伝統を感じる。
そのなんというか凝縮された熱が好き」
という感想を 言ってくれるそうです。
小さいが故に 参加している感じを楽しめるのかもしれません。
東京から新幹線で2時間半…
掛川駅から 天竜浜名湖線という在来線で30分
…そこが森町です。
元気のあるなしに関わらず
秋深い田舎のお祭りの気分を味わいたい方は
ふらっと…寄ってください。
知らない町のお祭り というのもよいものです。
プライベートや仕事で いっしょに地方に行くと目を輝かせる。
僕にとっては当たり前に親しんだ、森や林や川や田んぼにであります。
出身が地方でも比較的市街地に生まれて、東京に出てきたという方などは、
逆にそういう感覚はないようで、
俗に言う「田舎は苦手」という方が比較的多い気がする。
両親が居て、代々の墓がある場所だから
帰省はするものの森は森でしかなくて
川は川でしかない…なにか?
という具合だ。
「旦那が九州で 私が秋田でしょ…
大変なのよね…子供も居るし」
いくら帰省したくても簡単ではないことも多い。
一説には 同じ都市圏に住んでいても居を構えるとなると、
無意識に「自分の田舎に近い場所を選ぶ」のだそうだ。
西の出身者は神奈川県に…
東京在住なら 世田谷 目黒 大田区 …などなど
逆に東の出身者は新宿に近かったり
池袋だったりというように…
僕の場合はそういわれるとそうだなあ…と気がつく。
最初が高田馬場 これは学校の関係…
つぎに 祐天寺 学芸大学 自由が丘
と風呂なしアパートを 転々として
埼玉に勤務してから 大山 石神井公園
…などなどでありましたが
またすぐ西に越して以来
20年近く神奈川県に住んでいる。
おかげで…と言うのも可笑しいが、
帰省には車でも電車でも、2時間半で済む。
地方の公共事業問題が、またまた“かまびすしい”
わが静岡の例でいえば 「第二東名」と「静岡空港」
この2大事業であります。
「静岡空港」に関しては、そもそも論から、
建設工事の不手際 など“ミソ”は漬け放題ですが、
メディアが取り上げた話をなぞるのも無駄ですから
私見を詳しく言いませんが…
正直…「建設する意味がわからない派」でした。
ところが 先日 長崎出身のある女性からこう言われた
「静岡空港行きたいわあ…だって富士山見たいもの…」と言われた
北海道の出身の友人も
「 母ちゃんがさあ 富士山見たいっていうからさあ
…空港出来たでしょ…招待しようかと思うんだよね」という。
ついでに言うと 韓国人の知り合いも
「こんど静岡に富士山見にハムニダ(謝)」とメールが来た。
…なるほど 他県の人はそう感じているのか。
富士山ばっかだなあ…と苦笑しつつも、
地元は「行くニーズ」だけを必要論の判断の基準にしてしまうが、
「来てくれる」ということは実は盲点か。
もちろん、試算のシュミレーションでは観光収入も織り込み
ロジステックスに纏わる経済効果も見込まれているのでしょうが、
地域感情としてはやはり「オラはのらねえだら~」から発意してしまう。
それでも運行開始から半年くらい経ちましたか…
沖縄や北海道路線くらいが採算ベースで後は下回っているらしい。
JALに足りない分を2億ばかり払わなければとなっていて、
またまた“かまびすしい”。
今のJALには 焼け石に水にも足りない誤差なのでしょうが。
「第二東名」はどうなるのだろう。
まあ中止と言うことはないのだろうが
…もし凍結とかなる可能性が今後増すのであれば非常ににみっともない。
うちの近所を通過する(正確には実家の2Kmほど裏)ために、
森は切り開かれ 造成工事の最中であります。
また、目の前の田んぼには 巨大なコンクリートの柱がバンバン…バン!
(まさにこういう感じ)で立ち並んでいて、
頭に乗っかる道路の完成を待っている。
ここで止められたらたまらない。
積年の思いが凝縮された、某ダム問題とは比べるのも申し訳ないが、
気持ちの根幹は同じように思う。
もし、この異形の柱が…このまま放置されることになるようなら…
ボクは落書きしてやる! 絶対に!
◆◆ お誘い ◆◆
11月6日~8日 わが故郷 森町ではお祭りがあります。
少しご紹介します…
静岡県西部地区最大のお祭りといえば、浜松の祭りが有名です。
これは 城下町浜松のお殿様が第一子誕生の祝いと始めたのが
そもそもの起こりで、今も「我が家の初子を町内で祝う」というもの。
市内170の町内で 巨大な凧揚げ合戦をしたり、
御殿屋台を引き回したりと…
なかなかに盛況な夏のイベントであります。
地元、森町を出て、浜松市内に居を構えている親戚は、
「ボクはここのお祭りの意味がわからないただ騒ぐだけで
…だからなんなんだと感じる」
と言うが、浜松出身者に言わせると
「このお祭りは地元のわれわれだけのためにある。
子供が産まれたことを内輪で祝う
だから身内同士…そういうもの」
…らしい。
実は、ボクはこの歳まで浜松祭りを見たことがなかった。
去年、今年とはじめて体感した。
結論を言えば、その親戚の意見に同感であります。
これは同じ静岡西地区のものが近いが故に
より感じる独特の感情かもしれません。
あの…ただ騒ぐだけ…な感じに共感できない
…のでしたが、
「身内のお祭り」といえばそうなのでしょう、
そもそもお祭りとはそういうものなのでしょう。
…それにしても感じる違和感は…
規模のでかさかもしれない。
どうにも 何を観てよいのか…わからない
あと、初子のお祝いがベースにあるとはいえ、
祭りのコンセプト…
うーん 一本筋が通っていない感じが
どうも乗れないのであります。
このあたりは好き嫌いの範疇ですから仕方ないのですが…
それにしても、身内の大騒ぎ…というわりには
観光客に向けてのパフォーマンスは大掛かりでありました。
森のお祭りはこれに比べては規模も小さい大凧も上がらない…
それでも ボクは大好きなのです。
そもそもは2つの神社の氏子町だけの祭礼だったらしいのですが
大正までの村の細分化や融合を経て、
14の町内が参加する現在の形になったお祭りです。
そもそもは今年の豊年への御礼と来年の五穀豊穣祈願…
いわゆる秋祭りです。
お祭りの開催中は、町内にはそれぞれ2輪屋台を引き回します。
この屋台がなかなか美しく
屋上の浜床には歌舞伎などを模した三車人形がライトアップされ、
車体は総漆塗り。中には 大太鼓 小太鼓が乗り込み、
笛を鳴らす手木には 肉襦袢姿の若い衆が入り
「おっそら」の掛け声も勇ましく 練る。
屋台の前方の長い綱は 町内の子供たちの担当…
おそろいの法被姿で、屋台と一緒に町内を巡るのであります。
森の町内は道が狭く、入り組んでいて
家々の軒をかすりながら右に左に…練るさまは
見ているだけで心が沸き立ちます。
違う町内の屋台がその狭い道で鉢合わせるようなら
喧嘩がはじまります。
どちらも譲らないつばぜり合い…
それが故で遠州の喧嘩祭りとも言われてきました。
ただ、昔、この喧嘩が行き過ぎて…死人がでたこともあり、
現在では自粛…まあ睨み合い…という感じに落ち着いています。
祭りの見どころは2つの神社前に全部の屋台が並ぶ
「お渡り」と最終日の「舞児還し」
「舞児還し」は、
毎年各町内から選び出された子供が舞楽を奉納し、
最終日にはこの舞児を各々の家に送り返すという行事のことで、
舞楽を終えた舞児を 町内の男集が担ぎ、
社から地面につけることなく屋台の前面に納め帰ってゆくという
慣わしなのです。
ボクは 特にこの舞児返しが 大好きで…
実は サラリーマンの時代にひとり新幹線に飛び乗り
この舞児返しだけ観て帰る…なんてことをしていました。
奉納される神社の社へと続く石段の脇の木立から下を見下ろすと
狭い道に町内の屋台が舞児の帰りを待ちながら、ひしめき合っています。
「おそらおっそら!」と掛け合い、大太鼓小太鼓と笛が醸す
独特の調子が響き渡ります。
日が落ちて行く中に 数百の提灯が乱れ
見物客の熱気も重なり、それは活気がある眺めです。
これを観ていると 元気が出てくるのです。
ということで、今年は帰省してじっくり堪能することに決めています。
森の町に住む従兄弟のひとりは、英悟が堪能で
海外の友人をこのお祭りによく誘っていました。
「小さい町の小さいお祭り
…でもそこが 他にはない独特の日本の伝統を感じる。
そのなんというか凝縮された熱が好き」
という感想を 言ってくれるそうです。
小さいが故に 参加している感じを楽しめるのかもしれません。
東京から新幹線で2時間半…
掛川駅から 天竜浜名湖線という在来線で30分
…そこが森町です。
元気のあるなしに関わらず
秋深い田舎のお祭りの気分を味わいたい方は
ふらっと…寄ってください。
知らない町のお祭り というのもよいものです。
歯にもの着せぬ
投稿日時:2009/10/05(月) 11:14お店をしていた頃の話。
来店されたのは、あるリクルート時代の先輩の女性。
といっても在職中、ボクと彼女に仕事上の接点はなく、
遡ること1年前くらいに、ボクがお店を始めほどなくして
別の知り合いといらして頂き、以来、何を気に入ってくれたのか、
時折、顔を見せてくれるようになった。
といっても、来店は遅い時間、もうそろそろ〆ようかという頃に、
「…いまから2人だけど、いいですか?」
と電話をいただく。
広報などの責任者をされていた関係で、
人脈も広く、仕事柄知り合われた、
社外の方を連れられて見えられるのが常だった。
来ると必ずカウンターに座る。
ほかにお客さんがいないときなどは、
片付けなどしながら、会話に混ぜて頂いた。
歯に衣着せぬ…とはよく言うが、彼女の場合それが、
押し付けがましくなく、聞いているこちらも思わず釣り込まれてしまう、
そんなお客様というのは、ご来店されるとうれしいものでした。
ある晩、話していると、あるリクルートの人間の話しになった。
ボクがよく知っている方で、歳は下だが尊敬していた方なので、
おもわず
「…僕が知る中では リクルート10傑に入る男性ですね…」
というと 彼女の顔が一瞬変り、刹那に
「女性はいないの?」
と切り返された。
…女性に10傑に値する人はいないのか?
…という意味ではなく、
あなたには“女性10傑”というランキングはないのか?
…という意味の質問であります。
といっても、挑むような感じではなく、
ごく自然に…
そう たしなめられた感じで…
あっ!? と言葉につまる…
そう言ってしまった以上 適当にごまかすこともできず、
「改めて思い直せば います。
でも、普段は意識していないかもしれません」
と答えた。
その改めて思い出す女性とは 誰か?
…などと無粋なことを聞かないのが
この方の素敵なところで、
その話しはそれで終わったのだが、
ボクの中ではその不用意な発言のことがずっと気になっている。
何かを決め付けるときは 責任がいる
それがこちらが些細なことと気にしないでも
相手には違って聞こえることはよくあるが、
そういうものは生きるマナーに属し、
身につけているにこしたことはない。
マナーがなっていないと
たしなめられたのだ。
反省した。
店を離れて3年になるが
彼女とカウンター越しに話せないと思うと寂しいし、
もし、リクルート女性10傑をあげるなら
彼女はその中に紛れもなく入る。
もちろん入れられても、
彼女には露のほどにも
どうでもよいことなのでしょうが。
◆◆◆
女流作家の台頭がすさまじい。
山田詠美 林真理子 よしもとばなな
らが確立した 女性ならではの繊細な目線は
どんどん進化をしている
途中…
宮部みゆき や 高村薫 が登場し、
単なるミステリーが、広義のエンターテイメント~
文学作品にしてしまう一連の流れの立役者を牽引したことは
エッセンスとなり 女性の柔らかな視線は
鋭利なものを生み出してきた気がする。
恩田陸 森絵都 佐藤多佳子 瀬尾まいこさんらが持つ路線
男では現しきれない 優しさは 相変わらずなのでありますが、
それとは別 …たとえば芥川賞を獲った 川上未映子
この 歯に衣着せぬ 感じはなんなのだろう…
オロオロとしてしまった。
そこまで言わない…いわないでわかってください…
というのが男の弱さですから、(時に美徳などと表す)
たぶんほとんどの男は 弱虫であるから とくに
こういう小説を前にすると どうしてよいのかわからない。
直木賞を受賞した、桜庭一樹さんの「私の男」にはそれほどの
怖さを感じなかったのは、ボクが前作の「赤朽葉家の伝説」が
とても好きで、あの小説を書く人は、信じられるというか
怖くないんだ…と情けなくも言い訳して読んだからでしょう。
女流作家の台頭に、どんな変化があったのか…
こんなことを感じたのは、
今年、「告白」 湊かえで が
本屋大賞を受賞してからで、…
ちょっとおかしいのではないか?
と思ってしまったのがその理由です。
するどいのは素晴らしいことですが
その切っ先の向きようがヘンなのではないのか?
衣を着せずに言えば、「この本はなし!」であります。
こういう小説が世に出回り、新しいチャレンジなどと
その表現技法も併せ 論じるのはよしとしても、
本屋さんの賞は、全国の書店員さんが
「ぜひ読んで欲しい」という年間の最高峰なわけで、
この本の持つ救いのなさを…
ほんとうに読んで欲しいと感じているのか?
ボクには分からない。
だから 昨今の女流作家さんの本を
今年、テーマを持って、暇さえあれば読んでみたのですが。
そこで、感じた収穫は…
女性の目線や表現力は 男のそれを はるかにしのぐ
と改めて感じたことです。
そして、その目線や表現力を感じさせてくれる
素晴らしい作品は どんどん生み出されている
とわかり安心したのです。
すべての小説に目を通したわけでもなく
ここでもんやの女流作家作品ランキングをあげつらうのも
センスがないので、
ここまで読んでの
ナンバーワン作家と代表作2作を紹介します
「8日目の蝉」 「対岸の彼女」 :角田光代
両作品とも 有名な作品ですから ご存知の方も多いとおもいます。
でも、男性は意外と未読なのでは…。
ぜひ読んで見てください。
というか 読まなきゃ ダメです(笑)
読むといいことが必ずあります。
そういう小説です。
来店されたのは、あるリクルート時代の先輩の女性。
といっても在職中、ボクと彼女に仕事上の接点はなく、
遡ること1年前くらいに、ボクがお店を始めほどなくして
別の知り合いといらして頂き、以来、何を気に入ってくれたのか、
時折、顔を見せてくれるようになった。
といっても、来店は遅い時間、もうそろそろ〆ようかという頃に、
「…いまから2人だけど、いいですか?」
と電話をいただく。
広報などの責任者をされていた関係で、
人脈も広く、仕事柄知り合われた、
社外の方を連れられて見えられるのが常だった。
来ると必ずカウンターに座る。
ほかにお客さんがいないときなどは、
片付けなどしながら、会話に混ぜて頂いた。
歯に衣着せぬ…とはよく言うが、彼女の場合それが、
押し付けがましくなく、聞いているこちらも思わず釣り込まれてしまう、
そんなお客様というのは、ご来店されるとうれしいものでした。
ある晩、話していると、あるリクルートの人間の話しになった。
ボクがよく知っている方で、歳は下だが尊敬していた方なので、
おもわず
「…僕が知る中では リクルート10傑に入る男性ですね…」
というと 彼女の顔が一瞬変り、刹那に
「女性はいないの?」
と切り返された。
…女性に10傑に値する人はいないのか?
…という意味ではなく、
あなたには“女性10傑”というランキングはないのか?
…という意味の質問であります。
といっても、挑むような感じではなく、
ごく自然に…
そう たしなめられた感じで…
あっ!? と言葉につまる…
そう言ってしまった以上 適当にごまかすこともできず、
「改めて思い直せば います。
でも、普段は意識していないかもしれません」
と答えた。
その改めて思い出す女性とは 誰か?
…などと無粋なことを聞かないのが
この方の素敵なところで、
その話しはそれで終わったのだが、
ボクの中ではその不用意な発言のことがずっと気になっている。
何かを決め付けるときは 責任がいる
それがこちらが些細なことと気にしないでも
相手には違って聞こえることはよくあるが、
そういうものは生きるマナーに属し、
身につけているにこしたことはない。
マナーがなっていないと
たしなめられたのだ。
反省した。
店を離れて3年になるが
彼女とカウンター越しに話せないと思うと寂しいし、
もし、リクルート女性10傑をあげるなら
彼女はその中に紛れもなく入る。
もちろん入れられても、
彼女には露のほどにも
どうでもよいことなのでしょうが。
◆◆◆
女流作家の台頭がすさまじい。
山田詠美 林真理子 よしもとばなな
らが確立した 女性ならではの繊細な目線は
どんどん進化をしている
途中…
宮部みゆき や 高村薫 が登場し、
単なるミステリーが、広義のエンターテイメント~
文学作品にしてしまう一連の流れの立役者を牽引したことは
エッセンスとなり 女性の柔らかな視線は
鋭利なものを生み出してきた気がする。
恩田陸 森絵都 佐藤多佳子 瀬尾まいこさんらが持つ路線
男では現しきれない 優しさは 相変わらずなのでありますが、
それとは別 …たとえば芥川賞を獲った 川上未映子
この 歯に衣着せぬ 感じはなんなのだろう…
オロオロとしてしまった。
そこまで言わない…いわないでわかってください…
というのが男の弱さですから、(時に美徳などと表す)
たぶんほとんどの男は 弱虫であるから とくに
こういう小説を前にすると どうしてよいのかわからない。
直木賞を受賞した、桜庭一樹さんの「私の男」にはそれほどの
怖さを感じなかったのは、ボクが前作の「赤朽葉家の伝説」が
とても好きで、あの小説を書く人は、信じられるというか
怖くないんだ…と情けなくも言い訳して読んだからでしょう。
女流作家の台頭に、どんな変化があったのか…
こんなことを感じたのは、
今年、「告白」 湊かえで が
本屋大賞を受賞してからで、…
ちょっとおかしいのではないか?
と思ってしまったのがその理由です。
するどいのは素晴らしいことですが
その切っ先の向きようがヘンなのではないのか?
衣を着せずに言えば、「この本はなし!」であります。
こういう小説が世に出回り、新しいチャレンジなどと
その表現技法も併せ 論じるのはよしとしても、
本屋さんの賞は、全国の書店員さんが
「ぜひ読んで欲しい」という年間の最高峰なわけで、
この本の持つ救いのなさを…
ほんとうに読んで欲しいと感じているのか?
ボクには分からない。
だから 昨今の女流作家さんの本を
今年、テーマを持って、暇さえあれば読んでみたのですが。
そこで、感じた収穫は…
女性の目線や表現力は 男のそれを はるかにしのぐ
と改めて感じたことです。
そして、その目線や表現力を感じさせてくれる
素晴らしい作品は どんどん生み出されている
とわかり安心したのです。
すべての小説に目を通したわけでもなく
ここでもんやの女流作家作品ランキングをあげつらうのも
センスがないので、
ここまで読んでの
ナンバーワン作家と代表作2作を紹介します
「8日目の蝉」 「対岸の彼女」 :角田光代
両作品とも 有名な作品ですから ご存知の方も多いとおもいます。
でも、男性は意外と未読なのでは…。
ぜひ読んで見てください。
というか 読まなきゃ ダメです(笑)
読むといいことが必ずあります。
そういう小説です。
検査結果のご報告
投稿日時:2009/09/24(木) 11:14今朝、血液の検査とCTを撮り、
さきほどその結果を聞きに癌センターに行ってきました。
AFP(腫瘍マーカー)値は 4100
3年前に体の異常を感じて病院に行った時の値が
5000位でしたから、いよいよ上がってきたなあ…
という感じです。
◆◆◆ 多少省きますが以下、会話形式+αで参ります ◆◆◆
他の血液データーで、目だった異常は、GPT値がかなり高い…
「もんやさん お酒けっこう飲んでますか?」 と聞くので
「いいえ。週に1、2度 深酒はありませんが…」と応えると、
「このAFP値の高さだと他への転移は考えられますね…
もしかしたら肝臓に転移していうのかも…」
というので、
「先生 CTの画像はまだ上がってきていないのですか?」
と聞くと
「さっき確認したら、まだだったのですが…
えっとどれどれ…あっ!きてますね」
パソコンに広がる僕の輪切り画像。
マウスをいじると画像がどんどん切り替わる。
首…肺…内臓…下腹部…
これが自分の断面かと思うとかなり気持ち悪い。
以前は大きなネガフィルムで見ていたので
この画像のコンパクトさは少し衝撃。
先生は、おかまいなしにどんどん切り替えて画像を診ている。
「…肝臓には ないですね …う~ん 肺には…
以前押さえ込んだところに 影ができてますね」
「首のリンパにあった腫瘍はどうですか?」
「あれえ?…こっちは 変らないですね …というか
目だって見えない…造影剤入れないとわからないかなあ」
「先生?ということは、ボクの数値を引き上げているのは
この肺の腫瘍ということですかね」
「…うーん そうですね…ただ頭はCTで撮っていないので、
100%とはいえませんが…」
「…けっこう高い数値なのに、あまり転移がないというのは
どういうことなんでしょう」
「もんやさんは…いい方のケースと言うことですね。
少し、極端な言い方になりますが、この数値なら
体中に転移していてもおかしくはない。
場合によってはもっと値が低い人でも、
肺の中にボコボコ腫瘍が出来て、
倒れて救急車で運ばれてくるなんてこともある。
癌細胞は変異するんです…AFP値が低くても、
癌自体は進行しているということもあって、
そういう人は10位の値で、そういう症状が出た」
「…えっ?…つまり AFT値では計れないこともある
ということですか?」
「そうですね 腫瘍マーカーは癌の進行を計る一番の目安
ではありますが、絶対なものではないということです」
「そうなんですか それは初めて知りました
…整理すると、数値が高いということは、
癌は順調に進行している(笑)、
でも、体調や他の部位への転移などの状況を鑑みると、
最悪の状態ではない…ということですね」
「そうですね」
ここで、考える。
免疫療法のおかげなのか?
ボクの体のメカニズムの力なのか?
そこのところはわからないが、
同じ状態の他人よりは “強い作用”が働いているようだ。
ただ、4100という数値は絶対的に高いし、
楽観できる状態ではもちろんないが、
…まあ、よしだ。
「先生…抗がん剤を12月に入れようと思います」
「そうですか」
「理由と呼べるほどのものではないのですが、
こう考えるのは間違っていますか?
…いま 最悪でないならあせって投与しないで
区切りの12月に入れてみたい。
ひとつは、数値を引き上げている根源が肺の腫瘍なら、
しめたものではないか。
ボクの抗がん剤は、肺に転移した腫瘍にはよく効きますよね…
ぎりぎりまでひっぱって、叩くことで
最大公約数の効果を見てみたい。
そこでの数値の落ち具合を見ると、今後の予測が
見える気がするんです。
今の段階で首の腫瘍が大きくなっているなら…
なかなか効き難い場所ですから、
早急に叩いておかなければとも思うのですが、
肺なら効く…しかも間を空けてますから効きもよいかなと(笑)
…そういう風に思うのですが…」
「確かに 間欠治療という手はあります。
抗がん剤ではあまり用いないのですが、
確かに連続して薬を入れすぎることは、
癌細胞に薬に対する抵抗力をつけることにならないとも限りません。
よいと思いますよ…では、抗がん剤投与を念頭にして、
12月に、また検査してから、判断しましょう。
…日程はどうしますか?」
「10日が誕生日なので…そのあとで?」
「では、14日に血液検査してCT…造影剤入れましょう
…はい予約OKです」
パソコンに映る僕のデータを見ながら、先生がつぶやく…
「…◆□●○?」
「…えっ?」
「48歳になるのですね」
「あっ!?はい。」
病気と治療以外のことは一切お話しにならない先生ですので
…聞き漏らした
「還暦は無理かもしれませんが、50歳は越えてゆきましょう」
…ははは 冗談 なのか? …いやいや(苦笑)
「わかりました よろしくお願いします」
◆◆◆
というのが もんや最新の状況です。
相変わらず 最高のご報告といかず…誠にすいません。
蛇足に想う事は…
想像することは 出来るが 現実は 現実
期待することも 出来るが 現実は 現実
どう死ぬかより、どう生きるか …ここは曲げないでいたい。
今日の検査の1週間前くらいから気持ちは落ちていました。
頭で理解していても、心に重石が乗っているようでした。
どうあれ、検査から主治医との話しを乗り切ると
重石が、取れている。
ここは不思議だ。
…もしかりに、最悪の結果だったとしても、これは同じ。
だったらだったで、開き直ることが出来る。
過去に出来たので 出来る。
結論がでないことを、悩むことが一番愚かなことなのだが、
そうそうに達観は出来ない。
最悪でもまあまあでも、結論が出れば 心が立ち向かう。
そういうことだと思います。
少し前に おもわず唸ってしまった 言葉があります。
バカボンドの武蔵のセリフ…
あなたは 神に完全に支配されています。
その前提を踏まえた中で、あなたは完全に自由だ。
※一字一句は、正確ではないと思いますが、ニュアンスはこうです。
ボクは、あまりこういう精神論に
気が向かない性質なのですが、
この文句の前半部分は、僕自身も小さい頃からよく考えていて、
人の人生は、神様によって予め決められているもの。
…と、どこか考えていました。
でも、だからなに?
…の結論は、判断に迷っても、結果失敗の選択をしても、
それは決まっていたことだから
くよくよすんなよ…という具合に解釈していたのです。
まあ、神様に責任転嫁ですね(笑)
でも、このバカボンドのセリフ…
「…あなたは 完全に自由だ 」
は素晴らしく。
見事に心に落ちたのでした。
これが正解だ。と感じました。
先日、NHKで作者、井上雄彦氏の 特集をやっていました。
ストーリーは考えない。登場人物になりきることが勝負で、
なりきることが出来れば言葉が生まれる。
登場人物らしからぬことをさせてしまうと…
死んでしまうんです。
と語っていた。
ネームに命を削って対峙している姿に、
ああ、ここまでしているんだ…と驚き。
だから、ボクなどではたどり着けない
領域に行けているんだなあ…と納得。
たとえたどり着けても
表現する力が備わっているということも大切で、
そこのところが うらやましいのでした。
以上でございます。
さきほどその結果を聞きに癌センターに行ってきました。
AFP(腫瘍マーカー)値は 4100
3年前に体の異常を感じて病院に行った時の値が
5000位でしたから、いよいよ上がってきたなあ…
という感じです。
◆◆◆ 多少省きますが以下、会話形式+αで参ります ◆◆◆
他の血液データーで、目だった異常は、GPT値がかなり高い…
「もんやさん お酒けっこう飲んでますか?」 と聞くので
「いいえ。週に1、2度 深酒はありませんが…」と応えると、
「このAFP値の高さだと他への転移は考えられますね…
もしかしたら肝臓に転移していうのかも…」
というので、
「先生 CTの画像はまだ上がってきていないのですか?」
と聞くと
「さっき確認したら、まだだったのですが…
えっとどれどれ…あっ!きてますね」
パソコンに広がる僕の輪切り画像。
マウスをいじると画像がどんどん切り替わる。
首…肺…内臓…下腹部…
これが自分の断面かと思うとかなり気持ち悪い。
以前は大きなネガフィルムで見ていたので
この画像のコンパクトさは少し衝撃。
先生は、おかまいなしにどんどん切り替えて画像を診ている。
「…肝臓には ないですね …う~ん 肺には…
以前押さえ込んだところに 影ができてますね」
「首のリンパにあった腫瘍はどうですか?」
「あれえ?…こっちは 変らないですね …というか
目だって見えない…造影剤入れないとわからないかなあ」
「先生?ということは、ボクの数値を引き上げているのは
この肺の腫瘍ということですかね」
「…うーん そうですね…ただ頭はCTで撮っていないので、
100%とはいえませんが…」
「…けっこう高い数値なのに、あまり転移がないというのは
どういうことなんでしょう」
「もんやさんは…いい方のケースと言うことですね。
少し、極端な言い方になりますが、この数値なら
体中に転移していてもおかしくはない。
場合によってはもっと値が低い人でも、
肺の中にボコボコ腫瘍が出来て、
倒れて救急車で運ばれてくるなんてこともある。
癌細胞は変異するんです…AFP値が低くても、
癌自体は進行しているということもあって、
そういう人は10位の値で、そういう症状が出た」
「…えっ?…つまり AFT値では計れないこともある
ということですか?」
「そうですね 腫瘍マーカーは癌の進行を計る一番の目安
ではありますが、絶対なものではないということです」
「そうなんですか それは初めて知りました
…整理すると、数値が高いということは、
癌は順調に進行している(笑)、
でも、体調や他の部位への転移などの状況を鑑みると、
最悪の状態ではない…ということですね」
「そうですね」
ここで、考える。
免疫療法のおかげなのか?
ボクの体のメカニズムの力なのか?
そこのところはわからないが、
同じ状態の他人よりは “強い作用”が働いているようだ。
ただ、4100という数値は絶対的に高いし、
楽観できる状態ではもちろんないが、
…まあ、よしだ。
「先生…抗がん剤を12月に入れようと思います」
「そうですか」
「理由と呼べるほどのものではないのですが、
こう考えるのは間違っていますか?
…いま 最悪でないならあせって投与しないで
区切りの12月に入れてみたい。
ひとつは、数値を引き上げている根源が肺の腫瘍なら、
しめたものではないか。
ボクの抗がん剤は、肺に転移した腫瘍にはよく効きますよね…
ぎりぎりまでひっぱって、叩くことで
最大公約数の効果を見てみたい。
そこでの数値の落ち具合を見ると、今後の予測が
見える気がするんです。
今の段階で首の腫瘍が大きくなっているなら…
なかなか効き難い場所ですから、
早急に叩いておかなければとも思うのですが、
肺なら効く…しかも間を空けてますから効きもよいかなと(笑)
…そういう風に思うのですが…」
「確かに 間欠治療という手はあります。
抗がん剤ではあまり用いないのですが、
確かに連続して薬を入れすぎることは、
癌細胞に薬に対する抵抗力をつけることにならないとも限りません。
よいと思いますよ…では、抗がん剤投与を念頭にして、
12月に、また検査してから、判断しましょう。
…日程はどうしますか?」
「10日が誕生日なので…そのあとで?」
「では、14日に血液検査してCT…造影剤入れましょう
…はい予約OKです」
パソコンに映る僕のデータを見ながら、先生がつぶやく…
「…◆□●○?」
「…えっ?」
「48歳になるのですね」
「あっ!?はい。」
病気と治療以外のことは一切お話しにならない先生ですので
…聞き漏らした
「還暦は無理かもしれませんが、50歳は越えてゆきましょう」
…ははは 冗談 なのか? …いやいや(苦笑)
「わかりました よろしくお願いします」
◆◆◆
というのが もんや最新の状況です。
相変わらず 最高のご報告といかず…誠にすいません。
蛇足に想う事は…
想像することは 出来るが 現実は 現実
期待することも 出来るが 現実は 現実
どう死ぬかより、どう生きるか …ここは曲げないでいたい。
今日の検査の1週間前くらいから気持ちは落ちていました。
頭で理解していても、心に重石が乗っているようでした。
どうあれ、検査から主治医との話しを乗り切ると
重石が、取れている。
ここは不思議だ。
…もしかりに、最悪の結果だったとしても、これは同じ。
だったらだったで、開き直ることが出来る。
過去に出来たので 出来る。
結論がでないことを、悩むことが一番愚かなことなのだが、
そうそうに達観は出来ない。
最悪でもまあまあでも、結論が出れば 心が立ち向かう。
そういうことだと思います。
少し前に おもわず唸ってしまった 言葉があります。
バカボンドの武蔵のセリフ…
あなたは 神に完全に支配されています。
その前提を踏まえた中で、あなたは完全に自由だ。
※一字一句は、正確ではないと思いますが、ニュアンスはこうです。
ボクは、あまりこういう精神論に
気が向かない性質なのですが、
この文句の前半部分は、僕自身も小さい頃からよく考えていて、
人の人生は、神様によって予め決められているもの。
…と、どこか考えていました。
でも、だからなに?
…の結論は、判断に迷っても、結果失敗の選択をしても、
それは決まっていたことだから
くよくよすんなよ…という具合に解釈していたのです。
まあ、神様に責任転嫁ですね(笑)
でも、このバカボンドのセリフ…
「…あなたは 完全に自由だ 」
は素晴らしく。
見事に心に落ちたのでした。
これが正解だ。と感じました。
先日、NHKで作者、井上雄彦氏の 特集をやっていました。
ストーリーは考えない。登場人物になりきることが勝負で、
なりきることが出来れば言葉が生まれる。
登場人物らしからぬことをさせてしまうと…
死んでしまうんです。
と語っていた。
ネームに命を削って対峙している姿に、
ああ、ここまでしているんだ…と驚き。
だから、ボクなどではたどり着けない
領域に行けているんだなあ…と納得。
たとえたどり着けても
表現する力が備わっているということも大切で、
そこのところが うらやましいのでした。
以上でございます。
大阪モンや
投稿日時:2009/09/14(月) 15:21岩田さんの仕事の手伝いで、大阪に行ってきた。
めっきり涼しくなった関東とは違い、まだまだ暑い。
大阪は、サラリーマン時代に、
仕事で、何度も訪れているのですが、
大概は、支社で打ち合わせして
お客さんのところに行き…
あとは梅田とかで飲んで…ほなさいなら!
って強行軍ばかりで、
まともに観光なんてしたことがなかった。
そんな僕を楽しませようと、
「もんやさんに見せたい場所がある…」
と、関空から、バスに乗って岩田さんに連れてこられた。
そこは、大阪天王寺近くの飛田新地…。
現在でも戦前の遊郭がそのままに残っている場所です。
真昼間に男3人 ふらふらと散歩。
こんな時間に歩いて
感じるものがあるのだろうか…と思ったが、
なかなかどうして趣がある。
それぞれの店は、それぞれの屋号の看板がある
小さな木造二階建て。
一階部分は顔見せの場所になっていて、
面白いのは通りに対して
間口が垂直に面しているところ。
わざわざ覗き込まなくても、
よく見えるようにという造りなのでしょう。
昼と言うのに、1間ほどの玄関の中には、
怪しい照明があたっていて、
その真ん中にお姉さんが座布団に座っていて、
脇には、客引き役のオバちゃんが椅子に腰掛けています。
そういう店が…数十件も。
風営法の強化で、この手の商売は、
かなり縮小されたと聞かされていたのですが、
ここは、治外法権なのでしょうか?
大正初期に開かれたという飛田遊郭は、
街全体が文化財の風格。
もちろん売春防止法があるために、
おおっぴらな売春活動は出来ないので、
「小料理屋」という名目で営業しているそうなのですが、
それでも、どの店も堂々と営業されています。
不思議だ。
興味で料金システムを聞くと、
かなりの高額…
いまどきこの料金で成り立つものなのか?
これも、不思議だ。
ほんとうは、そのあたりを、
客引きのおばちゃんに聞きたかったのですが、
ひやかしはエライ目に合うということらしいので、
遠慮しました。
利用させていただく機会はないと思いますが、
この不思議…いつか、調べてみたいと思います。
散歩は、山谷や寿町が裸足で逃げ出すといわれる
日本最大最強の労働者地区「西成 あいりん」へと向かう。
「ここから 空気がかわりますから」
と岩田さんに言われたのだが、ほんとうに変った。
体感温度が低くなったようだ。
ほんとうは、三角公園まで探検したかったのだが…
いちおうスーツ姿の自分が
風景から浮きまくっているのがわかり、
遠慮せざる負えない。
無気力の威圧とでもいうのか、
目を合わせたわけでもないのに、
そこの住人やたむろする労働者から、
拒絶を感じる。
職業安定所の前も、
「ボクはただ歩いているだけですよお~」
と今は、素通りするしかない。残念だ。
マカオも九龍も NYのABCアベニューも
ロンドンやリオの裏街も
…爆弾と地雷の恐怖さえなければ
どこでも大丈夫と自負している
自分だが、ここはそうもいかない。
同じ日本人のせいだと感じる。
しかし くやしいので ここも身なりを整えて(笑)
カメラを片手に
いつかかならずリベンジと決めた。
ここ、「あいりん総合センター」のシャッターが
上がるのは午前5時で、
それ以前に下請けや孫請け企業の手配師がやってくるらしい、
1日の求人は2000人位で、
これに対して求職の労働者は約10倍。
手配師が真っ先に声をかけるのは、
40代の若手層ばかりで、ご年配の労働者は
「おこぼれ」を待つということになるらしい。
センターというか、大きな倉庫のような建物の前には、
労務者が等間隔で 座っていた。
我々の少し前を 女性が歩いている。
どうみても 体にぴっちぴちの寝巻き姿である、
茶髪に買い物のビニール袋を片手に
…そのうちに携帯を手に取る。
「今日は 仕事行くって いうたなあ~
なんで パチンコ屋におんねん?!」
おおっ~きたあ!!
「はあ~知らんわ!うちは忙しいねん。!あほ!死ね!」
追い越すに追い越せず…男3人
彼女の歩調に併せて 後ろを歩く。
「ボケ!カスゥ! だから 知らんわ! 電話してくんな!」
「もう 聞き飽きたわ! …うるさい! ボケ! カス!」
新今宮駅前の横断歩道を渡り
彼女とはさよなら。
「もんやさん どこでもあんなんじゃ
ないですわ ここだから 特別」
と岩田さんがこっそりと耳打ちする。
でも、ボクは、一度でいいから、
あんな風に叱られたい…と
なぜか思ってしまった。
気持ちよいだろうなあ…と。
「じゃんじゃん横丁」は串揚げブームが続いている。
ここは2回目ですが、日曜日の賑わいは
相当で、有名な串揚げやさんの前には長蛇の列。
そこまで味が違うのか?と思うが、
食べないで論じるのは反則なので、
ここもいつか来れたらいいなあと思った。
しかし、このあたりの店の作りは
派手さが色っぽいなあと つくづく思う。
看板文字のフレーズはもちろん
書体や色使い すべてに調和が取れていて、
その下世話なきわどさに
センスを感じてしまう、
歌舞伎町あたりのネオンの洪水とは
同じ「煽り」でもだいぶんと違う。
目にうるさくなく、気持ちよくはいってくる。
東京のそれは
どこまでも無機質でつめたい派手さ
…この違いは大きいなあと思う。
岩田さんのもと部下であった
日置君の家に泊めていただいた。
男2人 銭湯に…いやあ気持ちのよく
ひなびたお湯処で なんとも最高でした。
大阪も梅田あたりから離れると
非常に静かで、落ち着く場所があることを知りました。
最後の夜は 十三なる場所に言ったのですが
ここも面白かった。
あまり東京と比べるのもなんですが、
大阪のよさは 嘘っぽくないところ ですね。
そりゃ みんないろいろ事情がありましょうが、
あまりカッコウつけず 本質的に生きています…
というスタイルが 気持ちよいです。
岩田さん 日置君 ありがとうでした。
めっきり涼しくなった関東とは違い、まだまだ暑い。
大阪は、サラリーマン時代に、
仕事で、何度も訪れているのですが、
大概は、支社で打ち合わせして
お客さんのところに行き…
あとは梅田とかで飲んで…ほなさいなら!
って強行軍ばかりで、
まともに観光なんてしたことがなかった。
そんな僕を楽しませようと、
「もんやさんに見せたい場所がある…」
と、関空から、バスに乗って岩田さんに連れてこられた。
そこは、大阪天王寺近くの飛田新地…。
現在でも戦前の遊郭がそのままに残っている場所です。
真昼間に男3人 ふらふらと散歩。
こんな時間に歩いて
感じるものがあるのだろうか…と思ったが、
なかなかどうして趣がある。
それぞれの店は、それぞれの屋号の看板がある
小さな木造二階建て。
一階部分は顔見せの場所になっていて、
面白いのは通りに対して
間口が垂直に面しているところ。
わざわざ覗き込まなくても、
よく見えるようにという造りなのでしょう。
昼と言うのに、1間ほどの玄関の中には、
怪しい照明があたっていて、
その真ん中にお姉さんが座布団に座っていて、
脇には、客引き役のオバちゃんが椅子に腰掛けています。
そういう店が…数十件も。
風営法の強化で、この手の商売は、
かなり縮小されたと聞かされていたのですが、
ここは、治外法権なのでしょうか?
大正初期に開かれたという飛田遊郭は、
街全体が文化財の風格。
もちろん売春防止法があるために、
おおっぴらな売春活動は出来ないので、
「小料理屋」という名目で営業しているそうなのですが、
それでも、どの店も堂々と営業されています。
不思議だ。
興味で料金システムを聞くと、
かなりの高額…
いまどきこの料金で成り立つものなのか?
これも、不思議だ。
ほんとうは、そのあたりを、
客引きのおばちゃんに聞きたかったのですが、
ひやかしはエライ目に合うということらしいので、
遠慮しました。
利用させていただく機会はないと思いますが、
この不思議…いつか、調べてみたいと思います。
散歩は、山谷や寿町が裸足で逃げ出すといわれる
日本最大最強の労働者地区「西成 あいりん」へと向かう。
「ここから 空気がかわりますから」
と岩田さんに言われたのだが、ほんとうに変った。
体感温度が低くなったようだ。
ほんとうは、三角公園まで探検したかったのだが…
いちおうスーツ姿の自分が
風景から浮きまくっているのがわかり、
遠慮せざる負えない。
無気力の威圧とでもいうのか、
目を合わせたわけでもないのに、
そこの住人やたむろする労働者から、
拒絶を感じる。
職業安定所の前も、
「ボクはただ歩いているだけですよお~」
と今は、素通りするしかない。残念だ。
マカオも九龍も NYのABCアベニューも
ロンドンやリオの裏街も
…爆弾と地雷の恐怖さえなければ
どこでも大丈夫と自負している
自分だが、ここはそうもいかない。
同じ日本人のせいだと感じる。
しかし くやしいので ここも身なりを整えて(笑)
カメラを片手に
いつかかならずリベンジと決めた。
ここ、「あいりん総合センター」のシャッターが
上がるのは午前5時で、
それ以前に下請けや孫請け企業の手配師がやってくるらしい、
1日の求人は2000人位で、
これに対して求職の労働者は約10倍。
手配師が真っ先に声をかけるのは、
40代の若手層ばかりで、ご年配の労働者は
「おこぼれ」を待つということになるらしい。
センターというか、大きな倉庫のような建物の前には、
労務者が等間隔で 座っていた。
我々の少し前を 女性が歩いている。
どうみても 体にぴっちぴちの寝巻き姿である、
茶髪に買い物のビニール袋を片手に
…そのうちに携帯を手に取る。
「今日は 仕事行くって いうたなあ~
なんで パチンコ屋におんねん?!」
おおっ~きたあ!!
「はあ~知らんわ!うちは忙しいねん。!あほ!死ね!」
追い越すに追い越せず…男3人
彼女の歩調に併せて 後ろを歩く。
「ボケ!カスゥ! だから 知らんわ! 電話してくんな!」
「もう 聞き飽きたわ! …うるさい! ボケ! カス!」
新今宮駅前の横断歩道を渡り
彼女とはさよなら。
「もんやさん どこでもあんなんじゃ
ないですわ ここだから 特別」
と岩田さんがこっそりと耳打ちする。
でも、ボクは、一度でいいから、
あんな風に叱られたい…と
なぜか思ってしまった。
気持ちよいだろうなあ…と。
「じゃんじゃん横丁」は串揚げブームが続いている。
ここは2回目ですが、日曜日の賑わいは
相当で、有名な串揚げやさんの前には長蛇の列。
そこまで味が違うのか?と思うが、
食べないで論じるのは反則なので、
ここもいつか来れたらいいなあと思った。
しかし、このあたりの店の作りは
派手さが色っぽいなあと つくづく思う。
看板文字のフレーズはもちろん
書体や色使い すべてに調和が取れていて、
その下世話なきわどさに
センスを感じてしまう、
歌舞伎町あたりのネオンの洪水とは
同じ「煽り」でもだいぶんと違う。
目にうるさくなく、気持ちよくはいってくる。
東京のそれは
どこまでも無機質でつめたい派手さ
…この違いは大きいなあと思う。
岩田さんのもと部下であった
日置君の家に泊めていただいた。
男2人 銭湯に…いやあ気持ちのよく
ひなびたお湯処で なんとも最高でした。
大阪も梅田あたりから離れると
非常に静かで、落ち着く場所があることを知りました。
最後の夜は 十三なる場所に言ったのですが
ここも面白かった。
あまり東京と比べるのもなんですが、
大阪のよさは 嘘っぽくないところ ですね。
そりゃ みんないろいろ事情がありましょうが、
あまりカッコウつけず 本質的に生きています…
というスタイルが 気持ちよいです。
岩田さん 日置君 ありがとうでした。
中村君と出会った
投稿日時:2009/09/05(土) 21:47東北大学 マスター1年 中村君は 珊瑚の研究をしている
理学研究課地学専攻…
地学なのにどうして珊瑚なのかといえば、
珊瑚や貝の死骸は、堆積して海底で「地」となるからだ。
石灰岩の地質も元は、珊瑚礁なのです。
ひょうんなことで、話をすることになた。
聞けば、夏中、民宿に素泊まりで泊り込み、
毎日 ひとりで海に潜り 海水を採取し、
宿の自分の部屋に持ち込んで 解析しているという。
出身は岩手 盛岡一高 。
妹と弟も 未だ、脛かじり のため、
自分は両親に負担をかけまいと
バイトして 奨学金で学んでいるが…
今の研究の先に自分の目指すポジションが
得られるか不安だという。
いっそのこと、就活してしまおうかと悩みながら …
今は、この珊瑚の繁殖を、地質学の見地で考察する
フィールドワークに立ち向かう毎日。
ロクなものを食べてないようなので
呑みに誘い 肉を食わせ 酒を呑ませた 。
卒論の話し…研究テーマの話し…
リタイアしてもなお、
若い頃、果たせなかった夢のために
勉強をしているというオヤジさんを
尊敬している話し…
就職の話し…
彼女が出来ない話し…
いろいろ話した。
「稲見一良を知っていますか?」と聞かれ、
僕がもっとも好きな小説家のひとりだったので、
「もちろん」…と盛り上がった。
和田誠 村上春樹 大沢在冒 が好きだという。
ハードボイルドな主人公に会うと、
影響を受けちゃうんです…と笑う。
まだまだ、読んでみたいのだけど、
大学には、同じジャンルを好きな友達が
いない…というので、
ここは、一番、同好の先輩が人肌脱ぎましょう…
と古本屋を一緒に回ることにした。
四半世紀も歳が離れているのに…
好きなものが同じと言うのは距離が縮まるものです。
大学では、ワンダーフォーゲル部に所属している。
現在は、マスターなので、正確にはOB.。
山が好きで、よくトライするという。
体型は完全な逆三角、二の腕の圧は相当な
トレーニング賜物とみた。
部は、もうすぐ50周年の伝統あるクラブながら、
最近は新入部委員の獲得に苦労しているという。
女子が入ってくれると盛り上がるんですが…というが、
部の活動はかなりハード。
入部して後に20Kg(ひとによる)前後の荷物を背負い、
何Kmも行軍、体力はもちろん、
精神力がなければ続けられない。
「もっと楽なプログラムにしてあげないと、
女の子は敬遠するんじゃないの?」
「でも、それがうちの伝統ですから、
曲げるわけにはいかないんです」
体はすごいが、顔は優しい。
シャイ…という形容が彼ほど当てはまる子は、
そうはいないのではと感じた。
「相手の目を見て話しなさい」
「…よく言われるんですよ、でもなかなかできない」
「…ボクもそうだったから、コツを教えよう…」
「見すぎてはイケナイんですよね…失礼になるって…」
「違う違う気にすんな…目に気持ちを込めなきゃ、
なんも伝わらんよ…」
別れの日… 自転車で見送りに来てくれた
少し照れた顔で…これ……どうぞ…と言う
モダマ……南から流れ着いた大きなエンドウ豆の種…を
お守りになると 手書きのメッセージとともに差し出す
…もんやさんを夜の海に連れて行きたかった…
とうれしいことを言う
ちなみに「夜の海へ」とは、浜を散歩…
という意味ではなく、
沖までいっしょに潜りましょう…ということ。
「海ホタル見たことありますか?…
ほんとうにすごくきれいで…
見上げる満点の星は言葉を忘れるんですよ」
とうれしそうに語る。
少し、僕の目を見て話してくれるようになった。
次回必ず…と再開の約束をして別れた
何かしてあげたくなる若者に遇うとうれしくなる
こちらこそありがとう。
力をもらいましたよ。
また、かならず どこかで。
理学研究課地学専攻…
地学なのにどうして珊瑚なのかといえば、
珊瑚や貝の死骸は、堆積して海底で「地」となるからだ。
石灰岩の地質も元は、珊瑚礁なのです。
ひょうんなことで、話をすることになた。
聞けば、夏中、民宿に素泊まりで泊り込み、
毎日 ひとりで海に潜り 海水を採取し、
宿の自分の部屋に持ち込んで 解析しているという。
出身は岩手 盛岡一高 。
妹と弟も 未だ、脛かじり のため、
自分は両親に負担をかけまいと
バイトして 奨学金で学んでいるが…
今の研究の先に自分の目指すポジションが
得られるか不安だという。
いっそのこと、就活してしまおうかと悩みながら …
今は、この珊瑚の繁殖を、地質学の見地で考察する
フィールドワークに立ち向かう毎日。
ロクなものを食べてないようなので
呑みに誘い 肉を食わせ 酒を呑ませた 。
卒論の話し…研究テーマの話し…
リタイアしてもなお、
若い頃、果たせなかった夢のために
勉強をしているというオヤジさんを
尊敬している話し…
就職の話し…
彼女が出来ない話し…
いろいろ話した。
「稲見一良を知っていますか?」と聞かれ、
僕がもっとも好きな小説家のひとりだったので、
「もちろん」…と盛り上がった。
和田誠 村上春樹 大沢在冒 が好きだという。
ハードボイルドな主人公に会うと、
影響を受けちゃうんです…と笑う。
まだまだ、読んでみたいのだけど、
大学には、同じジャンルを好きな友達が
いない…というので、
ここは、一番、同好の先輩が人肌脱ぎましょう…
と古本屋を一緒に回ることにした。
四半世紀も歳が離れているのに…
好きなものが同じと言うのは距離が縮まるものです。
大学では、ワンダーフォーゲル部に所属している。
現在は、マスターなので、正確にはOB.。
山が好きで、よくトライするという。
体型は完全な逆三角、二の腕の圧は相当な
トレーニング賜物とみた。
部は、もうすぐ50周年の伝統あるクラブながら、
最近は新入部委員の獲得に苦労しているという。
女子が入ってくれると盛り上がるんですが…というが、
部の活動はかなりハード。
入部して後に20Kg(ひとによる)前後の荷物を背負い、
何Kmも行軍、体力はもちろん、
精神力がなければ続けられない。
「もっと楽なプログラムにしてあげないと、
女の子は敬遠するんじゃないの?」
「でも、それがうちの伝統ですから、
曲げるわけにはいかないんです」
体はすごいが、顔は優しい。
シャイ…という形容が彼ほど当てはまる子は、
そうはいないのではと感じた。
「相手の目を見て話しなさい」
「…よく言われるんですよ、でもなかなかできない」
「…ボクもそうだったから、コツを教えよう…」
「見すぎてはイケナイんですよね…失礼になるって…」
「違う違う気にすんな…目に気持ちを込めなきゃ、
なんも伝わらんよ…」
別れの日… 自転車で見送りに来てくれた
少し照れた顔で…これ……どうぞ…と言う
モダマ……南から流れ着いた大きなエンドウ豆の種…を
お守りになると 手書きのメッセージとともに差し出す
…もんやさんを夜の海に連れて行きたかった…
とうれしいことを言う
ちなみに「夜の海へ」とは、浜を散歩…
という意味ではなく、
沖までいっしょに潜りましょう…ということ。
「海ホタル見たことありますか?…
ほんとうにすごくきれいで…
見上げる満点の星は言葉を忘れるんですよ」
とうれしそうに語る。
少し、僕の目を見て話してくれるようになった。
次回必ず…と再開の約束をして別れた
何かしてあげたくなる若者に遇うとうれしくなる
こちらこそありがとう。
力をもらいましたよ。
また、かならず どこかで。
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