紋谷のソコヂカラ
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甘くない
投稿日時:2010/01/27(水) 20:05本日の検査結果
マーカー数値は、約6000…
肺の腫瘍は 表面積で2割減少でした。
主治医の顔を見た瞬間…
「あっ!これは思わしくないな」と感じましたが
(センセイ、この辺りは分かりやすいのです)、
やはりです。
正直言って、もう少し下がっているかと
…期待していましたが…
正月の4日から3週間経過しての数値は、
ほぼ同じでした。
下げ止まりとみるしかありません。
腫瘍は「容積では半分くらいかなあ…」と
主治医が言うので、
ちょうどマーカー値も半分、腫瘍も半分
それが今回の成果です。
「さがって、そのままならよいのでは?」
黙っていれば、確実に上がるしかないので、
そういうわけにもいきません。
去年は二桁から始まった1年でしたが、
今回は四桁スターとか!…と思うと
やはり心は、ザワザワとささくれだちます。
副作用で辛い思いをした割には…
とかそういう感情はなく、あれはあれで、
これはこれでと分けて考え、
単純に、薬を入れても、
もうこれしか落とせないのか?
という思いです。
しかし、こういう時こそ
自分に向き合えです。
逆に、今回、もしマーカー値が
ズドーンと下がっていたとしたら、
僕の性格からして、調子こいてしまうでしょう。
「ほらね 俺はしぶといんだ
…だいじょうぶ だいじょうぶ」とかなんとか
今年1年、へらへらとしていたでしょう。
ここで、「うーむ…」と唸り
さて どう持ちなおすか、
これが試されているのです。
…とかなんとか、こういうことを書きながら
今、考えているのですぜ
…病院からの帰りなんて、落ち込んでましたし、
親に検査結果の報告をするのも、
一呼吸、悩んでしまいましたし、
…こういう風に考えられるのは、
今、このブログを書きながらなのです。
その意味では、このブログは、まことにありがたいです。
皆さんには、3回連続の病気ネタで、申し訳なく思います
シリーズ企画で、うまいこと“オチ”ればよかったのですが…
最終回で、このラストでは、なんだかなあ…ですね。
でも、シリーズは続きます。
1より2の方が面白い…というのは…
なかなかにありませんが、ごくマレにはありますし、
もう僕の場合…シリーズ5くらい
続いているような気がしますから、
こうなれば、
「いいねえ…若いって」 byリリー
まで続ける意気込みが大切かと
(わからない人にはさっぱりわからない)
今年1年は 正念場と考えています。
意味のないこと
つまらないこと
くだらないこと
気持ちよくないこと
は断固拒否の精神で参りたいと(笑)
反面、自分が関わることで
よくなることは どんどん関わりたい
また 場所や人にこだわってゆきたいとも思います。
男女問わず 年齢問わず
いっしょに居て笑える人と過ごす時間が大切…
などとわがままに考えています。
そのためには、
「自分ってどうなの?」
「その相手、この場所的に…ボクは価値があるの?」
ってことにいつも目を向けていたいと…
漫然とせず、出来る限り厳しく、
自分で自分をジャッジしてゆくつもりでもあります。
胃もシモも白血球も
完全に復活していますので
ほら あなた!
よろしくお付き合いください。
わたしの正月を返していただきたい!
投稿日時:2010/01/19(火) 22:15幸いにして言われたことはまだないが、
「あなたって、ケツの穴の小さい男だわねえ」
これは、かなり凹む言葉だと思う。
そう言われると、返す言葉がないではないか。
「まてまて、俺のケツの穴は相当にデカイぞ」
というのもおかしい。
というか、すでに嬉しくもない。
むしろ、失礼だ。
これが、“肝っ玉”なんかであるなら、
成立するはずの反対の意味の言葉が、
見当たらない。
鼻の下なんかもそうだ、
長いという侮蔑表現はあっても、
その逆のほめ言葉が存在しない。
頭が固いは…ある。
金のタマについては、どうか?
「ついとるんかい!?」
確認しているようにみせかけての侮蔑表現だ。
でも。これは「ついとるわい」「みせたろか」
などで、対抗すればよろしであり、なんてことはない。
やはり「ケツの穴攻撃」には敵わない。
◆◆◆
…痔になった。
産まれてはじめて痔になった。
少し大きな声で言ってみよう…
“ち”に点々の“ぢ”になった。
前回に引き続き、しかも新年早々、なんてことか、
なるほうもなるほうだが、
聞かされるほうも聞かされるほうである。
わかる。…忍びない。
新年早々、申し訳ないと思う。
しかし、これも抗がん剤の副作用の先に来たもので、
わたしには、報告する義務がある。
7日に退院した、もうその頃から、兆候は見られた。
消化器系に大きな副作用が出るという、
いまの抗がん剤…僕の場合は、
それほどでもなかった。
多少の下痢症状はあっても、
過去、あれほどの胃痛にはならなかった。
症状が治まり、
ほっとして帰宅したのもつかの間、
どうもおかしい。
絶食が続いていたせいで、
食べ物を口にしていないから、
モヨオサナイと思っていたが、
1日、2日、人並みの食生活に戻しても、
…気配すらない。
もともと、快便快食のわたしには…ありえない。
そのうち、辛くなってきた。腸のあたりが重い…
というより、もっと肛門近辺に、
頑強な奴らが陣取っている
…そういう感覚である。
こういう時のために、医者からは
「頑強な兵士の抵抗を和らげる」
…奴らを柔らかくする錠剤をもらっていた。
朝晩と飲むも、兵士は頑強である。
翌日も、そのまた翌日も同様。
維持でも、この橋頭保は死守するぞ!
という意気込みが、下のほうからムズムズと伝わってくる。
これは、こちらも作戦を変えねば…と
近くに出来たドラッグストアに駆け込む。
症状を話すと…
「兵士の気持ちを和ませる、更に強力なクスリ」
を勧められた。
加えて、腸の働きを活性化するクスリ、
そう、つまり更に後方から、
「前進せよ!」と追い立てる作戦だ。
飲む…飲む …効かない。
自宅の前の公園を少し走り ストレッチをし セロリを食う
…が効果はない。
また、2日経過…これはまずい…と
再度、ドラッグストアに行く。
こうなれば あの 有名な 天下の大将軍
泣く子も黙る「いちじく浣腸」
に登場いただくしかない。
ドラッグストアに向かう。
買うのも初めて 自分で入れるのもはじめて…
怖い …しかし、
そんなことは言っていられない。
…ここからは少しの間は、リアル表現は控える…
さすが大将軍であります。
結果は、「オオオ~!!」と雄たけびを上げた、
兵士の群れが、一段となって飛び出してきた。
なんという爽快感…。
しかし、どうも本調子ではないので、
引き続き2、3日、大将軍のお世話になることになった。
問題は、ここからである。
やはり、大将軍の有無を言わせぬ進撃命令は、
組織に遺恨を残したようだ。
上の者の、無謀な業務命令…いつの世もそうだ、
そんなものは一時的な解決でしかなく、
どこかに禍根を残す…。
その禍根は…肛門回りに炎症を起こすという事態を引き起こした。
その炎症は、(見ていないので正確には分からないが)
…時間が経つごとにどんどんとひどくなった。
寝転んでも痛い 起き上がれない 歩くと死ぬ
…とにかく、からだの向きを変える度に激痛が走るのである。
また大げさな…と思われる方もいるでしょうが、本当なのです。
寝ていても、まだ本調子でない腸の影響で肛門が伸縮する…
そのたびに、気絶するほどの激痛が走るのです。
おちおち寝てもいられない。
1日経ち 2日経ち
…収まるどころかひどくなる。
このままではいけない、
意を決して、三度、ドラッグストアに向かう。
歩いてはいけないので、
ゲンチャリに座布団を引き、
お尻をあげた状態で、そろりそろりと始動する。
ずっと、立ったままでは危ないので、腰を下ろす。
普段なら気にならない、
わずかな段差の衝撃が
ダイレクトに響く…「いてえええ!!」
なんとかたどり着いたドラッグストアで、
「ボラギノール」を買う。
自分には無縁と眺めていたコマーシャルの映像が蘇る。
帰り、風呂に入り、…患部に塗る。
併せて購入した綿棒を恐る恐る当てて塗る…
相当に腫れあがっているような感じだ。
もう。どこが肛門で、どこが足の付け根なのかもわからない。
この時点での問題は、すっかり、従順になり、
順番通りに、送り出されようと待っている兵士の気配が、
ムズムズしているということだ。
「待て!!」「そこで待て!!」「なにもするな!」
と全身全霊で頼み込む。
いま、ここで出てこられては、僕は死んでしまう。
とにかく とにかく静かに静かにしていてくれ。
…2日が過ぎた… 激痛は収まらない
僕は悟った…尻の穴は、なにか体を動かそうとする…
その運動行動のメカニズムの原点にあるということを。
椅子から立ち上がる、前かがみになって何かを拾う、
寝返りを打つ、
…くしゃみや咳をするその刹那も、肛門は運動機能の源になっている。
つまり、肛門なくしては、
人間の動作は始まらず、力も入らないのである。
なんと偉大なる尻の穴!!
そういうこととは、関係なく、
月曜日に病院に行こうと決めた。
週末の土曜日いつにもまして、痛い。
もう塗り薬を塗ることも耐えられない感じ、
それでも塗る、泣きながら塗る。
この日も朝まで寝られない、外が明るくなるまで唸っていたが…
いったん風呂に入り…少し痛みが引いた後、眠りに落ちた。
時間にして5時間ほどか、日曜日の昼ごろに目覚める。
…ん?……んん?
痛みがない …??
体が、痛さに怖がっている…が、
恐る恐るパンツの上から触ってみるが…?
…痛くない。
??…パンツの後ろがぐっしょりと濡れている…??
…うん!?…まさか…漏らしたのか?
…臭いを嗅いでみるも、無臭…
患部を直接触ってみる
…腫れが…ない?!
そういうことか。
腫れあがっていた患部の疱瘡が、ヤブけたのだ。
それによって、炎症も収まり、痛みも引いたのである。
それでも、万全を期して ボラギノールを塗っている。
こうして、わたしの年末からの戦いの続編…
第2幕は終了した。
今は、快方に向かっている。
ここまで、お付き合いいただき誠にありがとうございます。
どうしてもというなら、ひとりづつ、質問に応えますが、
…ええ…関連する質問は、まとめてお応えしますので、どうぞ。
あっ…くれぐれも指されてから
…質問に…ええ、
マナーですから。
「それはほんとうに“ぢ”だったのですか?」
…うーん今となっては謎であります。
「われわれは、あなたの命に関わる心配しているのであって、
そんなシモの話はどうでもいい!」
…ごもっともでございます。
「そんなことならワタシは20年来の便秘持ちよ」
…はあ、それはお気の毒さまです。
「新年、早々、こんな話を…失礼ではないか、国民にあやまれ」
…わたくしも被害者なんです。説明責任を果たしたまでで。
「幹事長を辞任すべきなのでは?」
…国民の生活を豊かにする、その責務が先と認識し、
苦渋の決断ながら続投を総理に…
こんな僕ですが…幸いなことに、
「ケツの穴の小さい男」と言われたことは
…いまだかつてまだ…ない。
「あなたって、ケツの穴の小さい男だわねえ」
これは、かなり凹む言葉だと思う。
そう言われると、返す言葉がないではないか。
「まてまて、俺のケツの穴は相当にデカイぞ」
というのもおかしい。
というか、すでに嬉しくもない。
むしろ、失礼だ。
これが、“肝っ玉”なんかであるなら、
成立するはずの反対の意味の言葉が、
見当たらない。
鼻の下なんかもそうだ、
長いという侮蔑表現はあっても、
その逆のほめ言葉が存在しない。
頭が固いは…ある。
金のタマについては、どうか?
「ついとるんかい!?」
確認しているようにみせかけての侮蔑表現だ。
でも。これは「ついとるわい」「みせたろか」
などで、対抗すればよろしであり、なんてことはない。
やはり「ケツの穴攻撃」には敵わない。
◆◆◆
…痔になった。
産まれてはじめて痔になった。
少し大きな声で言ってみよう…
“ち”に点々の“ぢ”になった。
前回に引き続き、しかも新年早々、なんてことか、
なるほうもなるほうだが、
聞かされるほうも聞かされるほうである。
わかる。…忍びない。
新年早々、申し訳ないと思う。
しかし、これも抗がん剤の副作用の先に来たもので、
わたしには、報告する義務がある。
7日に退院した、もうその頃から、兆候は見られた。
消化器系に大きな副作用が出るという、
いまの抗がん剤…僕の場合は、
それほどでもなかった。
多少の下痢症状はあっても、
過去、あれほどの胃痛にはならなかった。
症状が治まり、
ほっとして帰宅したのもつかの間、
どうもおかしい。
絶食が続いていたせいで、
食べ物を口にしていないから、
モヨオサナイと思っていたが、
1日、2日、人並みの食生活に戻しても、
…気配すらない。
もともと、快便快食のわたしには…ありえない。
そのうち、辛くなってきた。腸のあたりが重い…
というより、もっと肛門近辺に、
頑強な奴らが陣取っている
…そういう感覚である。
こういう時のために、医者からは
「頑強な兵士の抵抗を和らげる」
…奴らを柔らかくする錠剤をもらっていた。
朝晩と飲むも、兵士は頑強である。
翌日も、そのまた翌日も同様。
維持でも、この橋頭保は死守するぞ!
という意気込みが、下のほうからムズムズと伝わってくる。
これは、こちらも作戦を変えねば…と
近くに出来たドラッグストアに駆け込む。
症状を話すと…
「兵士の気持ちを和ませる、更に強力なクスリ」
を勧められた。
加えて、腸の働きを活性化するクスリ、
そう、つまり更に後方から、
「前進せよ!」と追い立てる作戦だ。
飲む…飲む …効かない。
自宅の前の公園を少し走り ストレッチをし セロリを食う
…が効果はない。
また、2日経過…これはまずい…と
再度、ドラッグストアに行く。
こうなれば あの 有名な 天下の大将軍
泣く子も黙る「いちじく浣腸」
に登場いただくしかない。
ドラッグストアに向かう。
買うのも初めて 自分で入れるのもはじめて…
怖い …しかし、
そんなことは言っていられない。
…ここからは少しの間は、リアル表現は控える…
さすが大将軍であります。
結果は、「オオオ~!!」と雄たけびを上げた、
兵士の群れが、一段となって飛び出してきた。
なんという爽快感…。
しかし、どうも本調子ではないので、
引き続き2、3日、大将軍のお世話になることになった。
問題は、ここからである。
やはり、大将軍の有無を言わせぬ進撃命令は、
組織に遺恨を残したようだ。
上の者の、無謀な業務命令…いつの世もそうだ、
そんなものは一時的な解決でしかなく、
どこかに禍根を残す…。
その禍根は…肛門回りに炎症を起こすという事態を引き起こした。
その炎症は、(見ていないので正確には分からないが)
…時間が経つごとにどんどんとひどくなった。
寝転んでも痛い 起き上がれない 歩くと死ぬ
…とにかく、からだの向きを変える度に激痛が走るのである。
また大げさな…と思われる方もいるでしょうが、本当なのです。
寝ていても、まだ本調子でない腸の影響で肛門が伸縮する…
そのたびに、気絶するほどの激痛が走るのです。
おちおち寝てもいられない。
1日経ち 2日経ち
…収まるどころかひどくなる。
このままではいけない、
意を決して、三度、ドラッグストアに向かう。
歩いてはいけないので、
ゲンチャリに座布団を引き、
お尻をあげた状態で、そろりそろりと始動する。
ずっと、立ったままでは危ないので、腰を下ろす。
普段なら気にならない、
わずかな段差の衝撃が
ダイレクトに響く…「いてえええ!!」
なんとかたどり着いたドラッグストアで、
「ボラギノール」を買う。
自分には無縁と眺めていたコマーシャルの映像が蘇る。
帰り、風呂に入り、…患部に塗る。
併せて購入した綿棒を恐る恐る当てて塗る…
相当に腫れあがっているような感じだ。
もう。どこが肛門で、どこが足の付け根なのかもわからない。
この時点での問題は、すっかり、従順になり、
順番通りに、送り出されようと待っている兵士の気配が、
ムズムズしているということだ。
「待て!!」「そこで待て!!」「なにもするな!」
と全身全霊で頼み込む。
いま、ここで出てこられては、僕は死んでしまう。
とにかく とにかく静かに静かにしていてくれ。
…2日が過ぎた… 激痛は収まらない
僕は悟った…尻の穴は、なにか体を動かそうとする…
その運動行動のメカニズムの原点にあるということを。
椅子から立ち上がる、前かがみになって何かを拾う、
寝返りを打つ、
…くしゃみや咳をするその刹那も、肛門は運動機能の源になっている。
つまり、肛門なくしては、
人間の動作は始まらず、力も入らないのである。
なんと偉大なる尻の穴!!
そういうこととは、関係なく、
月曜日に病院に行こうと決めた。
週末の土曜日いつにもまして、痛い。
もう塗り薬を塗ることも耐えられない感じ、
それでも塗る、泣きながら塗る。
この日も朝まで寝られない、外が明るくなるまで唸っていたが…
いったん風呂に入り…少し痛みが引いた後、眠りに落ちた。
時間にして5時間ほどか、日曜日の昼ごろに目覚める。
…ん?……んん?
痛みがない …??
体が、痛さに怖がっている…が、
恐る恐るパンツの上から触ってみるが…?
…痛くない。
??…パンツの後ろがぐっしょりと濡れている…??
…うん!?…まさか…漏らしたのか?
…臭いを嗅いでみるも、無臭…
患部を直接触ってみる
…腫れが…ない?!
そういうことか。
腫れあがっていた患部の疱瘡が、ヤブけたのだ。
それによって、炎症も収まり、痛みも引いたのである。
それでも、万全を期して ボラギノールを塗っている。
こうして、わたしの年末からの戦いの続編…
第2幕は終了した。
今は、快方に向かっている。
ここまで、お付き合いいただき誠にありがとうございます。
どうしてもというなら、ひとりづつ、質問に応えますが、
…ええ…関連する質問は、まとめてお応えしますので、どうぞ。
あっ…くれぐれも指されてから
…質問に…ええ、
マナーですから。
「それはほんとうに“ぢ”だったのですか?」
…うーん今となっては謎であります。
「われわれは、あなたの命に関わる心配しているのであって、
そんなシモの話はどうでもいい!」
…ごもっともでございます。
「そんなことならワタシは20年来の便秘持ちよ」
…はあ、それはお気の毒さまです。
「新年、早々、こんな話を…失礼ではないか、国民にあやまれ」
…わたくしも被害者なんです。説明責任を果たしたまでで。
「幹事長を辞任すべきなのでは?」
…国民の生活を豊かにする、その責務が先と認識し、
苦渋の決断ながら続投を総理に…
こんな僕ですが…幸いなことに、
「ケツの穴の小さい男」と言われたことは
…いまだかつてまだ…ない。
寝正月
投稿日時:2010/01/09(土) 00:50抗がん剤の投薬を終えて1週間後、暮も押し迫った28日、
血液のダメージをチェックしに、再度病院へ向かった。
白血球、赤血球、血小板ともに、危険水域には達しておらず、
念のため白血球をあげる皮下注射を打ち、
年明けの診断まで安静にとなった。
この時点での体の感じとしては、
慢性のだるさと突発的な帯状疱疹はいつものこととして、
胃がどうもシクシクと痛んでいた。
このシクシクが、その日の夜から激変してゆく。
遡るが、今回の投薬中、一番悩まされたのはこの痛みでした。
点滴が抗がん剤に変わって少しすると、
胃が痙攣を起したように痛み、5時間ほど続いた。
急遽、痛み止めを合せて投与され、
なんとか収まったものの、いつにない症状のため戸惑った。
それでも、退院して1週間は、何事もなく、
消化器官へのダメージは、入れている薬の主な副作用
(2種類の薬、併せて30くらいある)ではあるため、
たまたまのことだろうと僕も主治医も考えていた。
しかし、この痛みそんなことでは収まらなかったのです。
28日の夜、シクシクは、ジクジクとなり、
グワッグワッとなり、ギョワー!ギョワー!!…へとなる。
うまいたとえがないが、…口からペンチを突っ込まれ、
胃をつかまれねじあげる
そんな痛みが10分に1度
1分くらい続く、まあそんな感じ。
明けて29日も朝からこの痛みは治まらない。
ほとんど寝て過ごす。
それでも頭では、抗がん剤の副作用なんだから、
我慢していればそのうちに収まるだろうと、
28日に念のため処方してもらった
胃の薬を飲んで我慢していた。
しかし、30日、31日となっても
ペンチの威力はいっこうに衰えない。
これは、まずいと癌センターに電話を入れる。
病院はすでにお休み、それでも当直の医者がいるらしく
電話口での問診となる。
「…そうですか、症状はわかりました。
僕も専門ではないのでなんとも言えませんが、
いま処方されている胃の薬は、相当に強い薬です。
それで、効かないとなるとこちらに来て、
点滴したとしてもそれほどの違いはないかもしれませんよ、
また、外来での治療は無理なので
入院してもらうことになりますが…」
とまあ、藁にも…の連絡した気持ちを萎えさせる返答。
いったん切る。
このまま家でのたうちまわっていてもなあ…、
しかし年越しを病院というのは、なんとも忍びない、
しかしこのままでは…とそこに、
岩田さんから電話をいただく、僕がのたうちまわっているのを
違う人間に伝えてあったのだが、その話を聞き、
心配で電話をかけてきてくれたのだ。
「…だいじょうぶですか?…病院行くなら送りますよ」
開口いちばん、そう言ってくれる。
…それで、腹は決まった。
小さめのバッグにパンツを3枚放り込み、
戸締りと愛犬の手配を済ませて、
岩田さんの運転で大みそかの病院に向かった。
電話で対応してくれた医者の簡単な診察ののちに、
いつもの病棟へ入院した。
大みそかの病院は静かです。
長期の入院患者も年越しは家族と過ごしたい。
体調が許された患者は、外泊届を出して自宅に帰るため、
重症の患者以外はいない。
静まり返る病院で、まったく静まらないおなかを抱えて、
ひとり グワァグワァ!と唸ってると、
ほどなく、痛み止めの点滴が始まる。
1本、2本と続けて投与するも、まったく、さっぱり収まらない。
眠ることもできず、新年を迎えた。
元旦から2日のことは、じつはほとんど覚えていない。
胃の激痛に加えて、熱があがり、意識が混濁していたようだ。
朝一で採血も行われ、白血球が700しかないことが判明、
…急遽、一人部屋へと隔離された。
この部屋には、巨大な医療用の空気清浄機が備わっていて、
完全な無菌室ではないものの、抵抗力がなくなった患者の
院内感染を防ぐための部屋だ。
病院側としての優先度は、この時点で、胃痛の処置ではなく、
白血球をあげることにスイッチされた。
通常、この時期、白血球をあげる注射は、
1日1本 2,3日空けて、また注射…という程度なのだが
(実際、入院していなければ、次の注射は2日の予定でした)
この時点から朝晩2回、毎日、打つこととなった。
2日になっても、胃の痛みは変わらない。
熱も下がるどころか、39.5まで上がる。
後で聞いたが、白血球もぜんぜん上がらないらしい。
口の中もひどいことになっていた。
歯茎がぜんぶ腫れてパンパンになり、
口内炎ができまくり、挙句に歯がそこかしこでギシギシと痛む。
手足のしびれもひどいもので、じんじん痛んで、
岩のように硬くなった感じだ。
節々もそこかしこで痛むので、起き上がることもままならない。
ちなみに、朝からの点滴は 生食 痛みどめ 抗生剤
…と繰り返す感じ。
熱を下げるために座薬と口内洗浄のための薬が新たに加わる。
加えて皮下注射と下痢を抑える漢方薬…
薬のおせち料理といったバラェティ。
2日、正月休みを明けた主治医が顔を出してくれた。
「…ここまで、ダメージが出るとは予測できませんでした…
久しぶりの投薬だし、…甘かった…」
「いえ、いえ、こんなんですいません」
すべての症状が鎮静化をたどるのは、3日の夕方くらいからでした。
熱も36度に落ち着き 抗生剤のおかげか口の中も収まってゆく感じ、
それ以外の症状も、よくなっているのがわかる。
白血球も上がり、通常の病室に戻された。
念のため皮下注射の2本体制は変わらないものの、
点滴の数も減る。
胃痛、そのものはなくなってはいないものの、
ギョワー!ギョワー!!から、シクシクへと戻った。
4日になり、
「胃は内視鏡で診てみましょう 予約入れておきました」
…?…内視鏡?…それは、噂に聞く…胃カメラってやつか?
「せんせい。この症状はどう考えても副作用ですから…
そこまでしなくても」
「いやいや この症状は、僕も副作用では診たことがない。
なにかあるかもしれないから…」
5日は、もう完全に復調した感じ…これくらいになると、
外泊していた患者さんが戻りはじめ、
新たに手術を予定する患者さんも入院してきて…
病院は騒がしくなってきた。
1階の売店も営業をはじめ、僕もトコトコと出かけては、
週刊誌を読みあさったり、サンドウィッチを買ってきて、
スープに浸して食べたりしていた。
試しに体重計に乗ってみると
年末から6kg体重が落ちていた。
ちなみにこの期間、お風呂はもちろんシャワーも浴びていない。
煮沸したタオルで体をふくだけの毎日。冬でよかった。
それでも、替えの寝巻のない僕は、手術着を着て生活していた。
だらんとして ペラペラで、前や後ろを紐でしばるだけのやつを
毎日着ていたので、同室の患者さんの付き添いの方には、
「手術ですか?大変ですね」と声をかけられていた。
それでも替えのパンツがないのは困るので、
近所に住む篠塚さんに連絡して、買い物を頼んだ。
正月早々、まことにどうもすいませんでした。
6日、胃カメラの日。
この経験は、貴重だと言わざる負えない…
というかそれ以外に感想はない。
後で聞くと、周りの友人はけっこう飲んでいて、なんてことはない
という感想でしたが、僕は駄目でした。
途中、何度も引き抜いてしまいたい欲求に襲われました。
苦しいというより、体が遺物に占拠される感じ、
エイリアンが入り込んできた感じ。
こういう攻撃は、苦手なんだと改めて実感した。
釣りバカ日誌のハマちゃん…
笑えません ぜんぜん。
まあ、それでもカメラを引き抜かれてすぐ、
「どうでした?」と医者に尋ねる余裕くらいはあった。
「…問題ないですね。食道と十二指腸に、
少し炎症がある程度、悪い腫瘍や目に見える潰瘍もありませんね」
との応え。
そうだろうそうだろう。だから言ったんだ。
この報告をもとに、後で主治医と話したのだが…
「うーん。じゃあなんだったんでしょうね?」…と首をかしげていた。
どうしても副作用のせいだとは納得していないらしい。
まあ、なんもなかったのであるからよしとしましょう。
次回への備えです。
翌日、最後の血液検査…なんと白血球は、
19400!!もあった。
打ちすぎでしょ注射(笑)
一時、さがった血小板も回復していた。
ということで 退院してきました。
気がつけば7日。
寝正月でした。
ちなみに、入院中、一度、
腫瘍マーカーをとっていたらしく、
「…あっそうそう もんやさんマーカー下がってますよ」と
レイの折れ線グラフを見せられた。
唐突でびっくりしたのだが
AFP値:12000がAFP値:5200まで落ちていた。
今回の副作用が大きいかどうかは別にして、
本来はこいつを下げるための投薬ですから、
なんにしろ下がったのはうれしい。
ちょっと涙が出た。
1月の末にレントゲンと併せてもう一度、チェック
2月の頭にCT という流れで、
マーカー値がどこまで落ちてくれるのかが当面の焦点です。
そんなこんなで、お世話になっている皆さんに
ごあいさつもできずほんとうにすいません。
心からお詫びします。
昨日、帰宅して、年始のごあいさつを拝見しているところです。
今年も、一日一日 大切に参ります。
皆さんに幸多かれと願っています。
血液のダメージをチェックしに、再度病院へ向かった。
白血球、赤血球、血小板ともに、危険水域には達しておらず、
念のため白血球をあげる皮下注射を打ち、
年明けの診断まで安静にとなった。
この時点での体の感じとしては、
慢性のだるさと突発的な帯状疱疹はいつものこととして、
胃がどうもシクシクと痛んでいた。
このシクシクが、その日の夜から激変してゆく。
遡るが、今回の投薬中、一番悩まされたのはこの痛みでした。
点滴が抗がん剤に変わって少しすると、
胃が痙攣を起したように痛み、5時間ほど続いた。
急遽、痛み止めを合せて投与され、
なんとか収まったものの、いつにない症状のため戸惑った。
それでも、退院して1週間は、何事もなく、
消化器官へのダメージは、入れている薬の主な副作用
(2種類の薬、併せて30くらいある)ではあるため、
たまたまのことだろうと僕も主治医も考えていた。
しかし、この痛みそんなことでは収まらなかったのです。
28日の夜、シクシクは、ジクジクとなり、
グワッグワッとなり、ギョワー!ギョワー!!…へとなる。
うまいたとえがないが、…口からペンチを突っ込まれ、
胃をつかまれねじあげる
そんな痛みが10分に1度
1分くらい続く、まあそんな感じ。
明けて29日も朝からこの痛みは治まらない。
ほとんど寝て過ごす。
それでも頭では、抗がん剤の副作用なんだから、
我慢していればそのうちに収まるだろうと、
28日に念のため処方してもらった
胃の薬を飲んで我慢していた。
しかし、30日、31日となっても
ペンチの威力はいっこうに衰えない。
これは、まずいと癌センターに電話を入れる。
病院はすでにお休み、それでも当直の医者がいるらしく
電話口での問診となる。
「…そうですか、症状はわかりました。
僕も専門ではないのでなんとも言えませんが、
いま処方されている胃の薬は、相当に強い薬です。
それで、効かないとなるとこちらに来て、
点滴したとしてもそれほどの違いはないかもしれませんよ、
また、外来での治療は無理なので
入院してもらうことになりますが…」
とまあ、藁にも…の連絡した気持ちを萎えさせる返答。
いったん切る。
このまま家でのたうちまわっていてもなあ…、
しかし年越しを病院というのは、なんとも忍びない、
しかしこのままでは…とそこに、
岩田さんから電話をいただく、僕がのたうちまわっているのを
違う人間に伝えてあったのだが、その話を聞き、
心配で電話をかけてきてくれたのだ。
「…だいじょうぶですか?…病院行くなら送りますよ」
開口いちばん、そう言ってくれる。
…それで、腹は決まった。
小さめのバッグにパンツを3枚放り込み、
戸締りと愛犬の手配を済ませて、
岩田さんの運転で大みそかの病院に向かった。
電話で対応してくれた医者の簡単な診察ののちに、
いつもの病棟へ入院した。
大みそかの病院は静かです。
長期の入院患者も年越しは家族と過ごしたい。
体調が許された患者は、外泊届を出して自宅に帰るため、
重症の患者以外はいない。
静まり返る病院で、まったく静まらないおなかを抱えて、
ひとり グワァグワァ!と唸ってると、
ほどなく、痛み止めの点滴が始まる。
1本、2本と続けて投与するも、まったく、さっぱり収まらない。
眠ることもできず、新年を迎えた。
元旦から2日のことは、じつはほとんど覚えていない。
胃の激痛に加えて、熱があがり、意識が混濁していたようだ。
朝一で採血も行われ、白血球が700しかないことが判明、
…急遽、一人部屋へと隔離された。
この部屋には、巨大な医療用の空気清浄機が備わっていて、
完全な無菌室ではないものの、抵抗力がなくなった患者の
院内感染を防ぐための部屋だ。
病院側としての優先度は、この時点で、胃痛の処置ではなく、
白血球をあげることにスイッチされた。
通常、この時期、白血球をあげる注射は、
1日1本 2,3日空けて、また注射…という程度なのだが
(実際、入院していなければ、次の注射は2日の予定でした)
この時点から朝晩2回、毎日、打つこととなった。
2日になっても、胃の痛みは変わらない。
熱も下がるどころか、39.5まで上がる。
後で聞いたが、白血球もぜんぜん上がらないらしい。
口の中もひどいことになっていた。
歯茎がぜんぶ腫れてパンパンになり、
口内炎ができまくり、挙句に歯がそこかしこでギシギシと痛む。
手足のしびれもひどいもので、じんじん痛んで、
岩のように硬くなった感じだ。
節々もそこかしこで痛むので、起き上がることもままならない。
ちなみに、朝からの点滴は 生食 痛みどめ 抗生剤
…と繰り返す感じ。
熱を下げるために座薬と口内洗浄のための薬が新たに加わる。
加えて皮下注射と下痢を抑える漢方薬…
薬のおせち料理といったバラェティ。
2日、正月休みを明けた主治医が顔を出してくれた。
「…ここまで、ダメージが出るとは予測できませんでした…
久しぶりの投薬だし、…甘かった…」
「いえ、いえ、こんなんですいません」
すべての症状が鎮静化をたどるのは、3日の夕方くらいからでした。
熱も36度に落ち着き 抗生剤のおかげか口の中も収まってゆく感じ、
それ以外の症状も、よくなっているのがわかる。
白血球も上がり、通常の病室に戻された。
念のため皮下注射の2本体制は変わらないものの、
点滴の数も減る。
胃痛、そのものはなくなってはいないものの、
ギョワー!ギョワー!!から、シクシクへと戻った。
4日になり、
「胃は内視鏡で診てみましょう 予約入れておきました」
…?…内視鏡?…それは、噂に聞く…胃カメラってやつか?
「せんせい。この症状はどう考えても副作用ですから…
そこまでしなくても」
「いやいや この症状は、僕も副作用では診たことがない。
なにかあるかもしれないから…」
5日は、もう完全に復調した感じ…これくらいになると、
外泊していた患者さんが戻りはじめ、
新たに手術を予定する患者さんも入院してきて…
病院は騒がしくなってきた。
1階の売店も営業をはじめ、僕もトコトコと出かけては、
週刊誌を読みあさったり、サンドウィッチを買ってきて、
スープに浸して食べたりしていた。
試しに体重計に乗ってみると
年末から6kg体重が落ちていた。
ちなみにこの期間、お風呂はもちろんシャワーも浴びていない。
煮沸したタオルで体をふくだけの毎日。冬でよかった。
それでも、替えの寝巻のない僕は、手術着を着て生活していた。
だらんとして ペラペラで、前や後ろを紐でしばるだけのやつを
毎日着ていたので、同室の患者さんの付き添いの方には、
「手術ですか?大変ですね」と声をかけられていた。
それでも替えのパンツがないのは困るので、
近所に住む篠塚さんに連絡して、買い物を頼んだ。
正月早々、まことにどうもすいませんでした。
6日、胃カメラの日。
この経験は、貴重だと言わざる負えない…
というかそれ以外に感想はない。
後で聞くと、周りの友人はけっこう飲んでいて、なんてことはない
という感想でしたが、僕は駄目でした。
途中、何度も引き抜いてしまいたい欲求に襲われました。
苦しいというより、体が遺物に占拠される感じ、
エイリアンが入り込んできた感じ。
こういう攻撃は、苦手なんだと改めて実感した。
釣りバカ日誌のハマちゃん…
笑えません ぜんぜん。
まあ、それでもカメラを引き抜かれてすぐ、
「どうでした?」と医者に尋ねる余裕くらいはあった。
「…問題ないですね。食道と十二指腸に、
少し炎症がある程度、悪い腫瘍や目に見える潰瘍もありませんね」
との応え。
そうだろうそうだろう。だから言ったんだ。
この報告をもとに、後で主治医と話したのだが…
「うーん。じゃあなんだったんでしょうね?」…と首をかしげていた。
どうしても副作用のせいだとは納得していないらしい。
まあ、なんもなかったのであるからよしとしましょう。
次回への備えです。
翌日、最後の血液検査…なんと白血球は、
19400!!もあった。
打ちすぎでしょ注射(笑)
一時、さがった血小板も回復していた。
ということで 退院してきました。
気がつけば7日。
寝正月でした。
ちなみに、入院中、一度、
腫瘍マーカーをとっていたらしく、
「…あっそうそう もんやさんマーカー下がってますよ」と
レイの折れ線グラフを見せられた。
唐突でびっくりしたのだが
AFP値:12000がAFP値:5200まで落ちていた。
今回の副作用が大きいかどうかは別にして、
本来はこいつを下げるための投薬ですから、
なんにしろ下がったのはうれしい。
ちょっと涙が出た。
1月の末にレントゲンと併せてもう一度、チェック
2月の頭にCT という流れで、
マーカー値がどこまで落ちてくれるのかが当面の焦点です。
そんなこんなで、お世話になっている皆さんに
ごあいさつもできずほんとうにすいません。
心からお詫びします。
昨日、帰宅して、年始のごあいさつを拝見しているところです。
今年も、一日一日 大切に参ります。
皆さんに幸多かれと願っています。
わたしの体に 何をする.
投稿日時:2009/12/19(土) 19:01日々、自分の周辺で起こる、さまざまな出来事のせいで、
困ったなあ…とか、嫌だなあ…とか、しんどいなあ…とか、
面倒くさいなあ…とか、悲しいなあ…とか、
なかったことにしたいなあ…とか、
そういう感情が湧きあがったときに、
「まあ、なんとかなるさ」と大きく構えていられる、
そんな人間でありたいと思って生きた。
今のボクとって、
「病院に行き、検査を受け、病気の進行度合いを確認して、
医師と治療方針を相談する」
この行為は、もっか最大の関心事であり、
癌野郎が(あえて野郎とする)ある日、ぴゅー…と
煙とともに壺の中に消えてくれない
ことは、あらかじめわかっている以上、
イージー!イージー!とも ケセラセラとも、
なんくるないさぁ~とも、マイペンライとも、
なかなかに思えず、検査を受けに行く1週間前から、
心の中にでっかくて黒い石があるような
そんな気分となってしまう。
そしてこの黒い石は、毎日、どんどん、でっかくなる。
男としての器が小さいなあ
小さい、小さい…と自覚はするものの、
どうしようもない。
14日は件の病院へ行く日。
…前の晩から眠れず、気が付いたら、
この黒い石が最高にでっかくなっていた。
このままではつぶされてしまうと思い、
なにか手立てはないかと思案した。
…そこで、思いついたことは、
「今日は僕自身の体の具合を確認しにゆくのではなく…
誰か他人の、自分とは関係のない人の病状について
取材をしにゆく…
そういう風に考えられないか」と考えた。
考えるだけでは、頑固な自分はだまされてくれないので、
なにか具体的な手段は…と更に思案した。
ひとつは、取材なんだから“カメラ”を持参して、
いろいろ撮ってみるのは、どうだろう…
そうそうこの手は昔も使ったが、
撮影するという行為は客観的に物事を捉えるには
最適な行為だった、
よしよし…と決めた。
そうなると、取材なんだから
今日の出来事を文章にまとめる必要がある。
はじめから、まとめるつもりで臨めば、
ことらも客観的に見聞きする…よしよし。
こう考えると気持ちが楽になってくる。
どうせなら、チャカしてしまおう。
…そうだ、わが友人、宮田クンの
「おもしろエッセイ風」におもいっきり
チャカしてしまおう。
…となった。
宮田君については後述する。
「すまん…とりあえず宮田パクル!」
■■ ということで 以下、宮田風でまとめてみた ■■
※注…あくまで“風”である。
あのフィレンツェ風チキンのローストの“風”であり、
「うーんアールデコ風の素敵なお宅ですネ」の“風”であり、
様子するに、「オマエ、今日の3ゲン…出る?…的な…」の
“的な”と同意であり、
「おっちゃん!これ…ヴィトンちゃうやん…
ロゴんとこ…BITON…てなってるやん!」の“B”に相当する…
様子するに「偽物」であります。
でありますから、わたしのまがい物の文章を読んで、
宮田クンのエッセイがこの程度の代物とは思わないで
もらいたい。彼のエッセイはとてもおもしろい。
●●●
今日は、検査だ。
血液検査とCTのふたつを午前中にこなし、
午後にもう一度出直し、
主治医のもとに外来で伺うという段取りとなる。
病院までは車で20分…環状道路から幹線道を経由すれば、
嵐のCDに併せてフン♪フン♪…と
3、4曲鼻唄を歌っていれば着いてしまう。
別に嵐でなくてもよいのでは…と思うのは素人の浅はかさ、
やはりこういう時は嵐である。
この桜井君のなんともノリにくいラップがいいのである。
…と、僕のフン♪フン♪…が4曲目を越えたあたりで、
なにやら今日は道が混んでいることに気付いた。
さっきからぜんぜん前に進んでいないではないか。
何をしているのだ、このままでは検査の時間に遅刻してしまう。
前を見ると、環状道路から幹線道の曲がり角までに、
車の長蛇の列ができている。
もっと前に気付けよ…
しかし、こういう時に冷静なのが大人というもの、
決して桜井君のせいではない。
おっ!目の前に信号が…よし!ここを曲がってしまえ!
行ったことはないが、なんとなく行けるのでは、
と思ったらハンドルを切っていた。
自慢ではないがわたしは、東大いや当代、稀にみる
方向音痴である。
駅からの帰宅途中、途中のコンビニに寄り、
買い物を済ませ外に出て…
また駅に向かう道を歩いてしまうことが
“たびたび” ある男である。
不安がよぎらないわけではないが、
こういう時は決断と実行である。
…この決断は見事に当たった。
なんとなく右曲がったり、左曲がったりしていたら…
病院までつながる道に出たではないか。
そういうことだ。
たいていのことは成せばなるのである。
「いまどき…ナビはないのか?」と
不思議に思う方もいるだろう。
もちろんない。
文明の利器に頼るなど笑止千万。
男子たるもの最後は自らの感に頼れ!である。
なんとなく曲がっていれば、
最後は目的地に着くようになっている。
無事に病院に着いた。
しかし駐車場に入れない。
駐車場が、晴れた日曜日の原宿のH&Mのセール前くらいに
混んでいる(行ったことはない)。
なんとか停めることができて、受付を済ませ、
まずは「採血」に向かう。…
ここがまた混んでいる。
お隣のFOREVER 21も負けじとセールを始めてしまい
歩道歩けないじゃないか!ってほど混んでいる。
(行ったことはこちらもない)
今日はとりわけ、
神奈川県中の癌患者が勢ぞろいしているのでは…
と思うほど混んでいる。
見渡せば採血ルームには50人くらいの
じいさんばあさんが。
部屋に入りきれず廊下にもじいさんばあさん…
もうあたりかまわずじいさんばあさんである。
そこに颯爽と凛々しく活力に溢れたわたしが登場する。
受付のカードを渡すと、
「…CTの検査入ってますね?…このままじゃ間に合わないので、
今、採血の受付だけされて、
先にCT行かれたほうがよいですよ」
と看護師が言う。
CTの予約時間には、まだ40分もあるではないか。
なんのために知らない道にチャレンジしたのだ。
あえて危険を冒してまでたどり着いた苦労が水の泡ではないか。
こんな凛々しい若者になにをする!
しかしアナウンスされる受付番号は、
まだわたしの100番も前のようだ…
くやしいが、ここは言うなりになるしかないようだ。
少し、困った顔をしていると、
じゃあ…CTに行っている間に、
順番が来たら 適当に順送りにしてくれるという。
そいつはラッキイ。やはり凛々しく活力あるわたしに
はそうでなくてはいけない。
エレベーターに乗り、レントゲンの受付に行く。
少し待って、僕の番となる…?
「もんやさん すいません。
…造影剤の同意書書かれています?」
「はあ?…ええ…先日 書きましたが」
「そうですか。おかしいですね。
カルテの中に見当たらないのです」
「はい?」
「少しお待ちください」
CT撮影を鮮明にするために入れる造影剤は、
アレルギー症状がでることもあり、
同意書が義務付けられている。
前回来た折に、確かに記入しているはずなのだが、
どうもそれが見当たらないらしい。
廊下のベンチで待たされてると、また看護師が…
「どうも、ないようなんです。
同意したということでいいでしょうかね?」とやってきた。
いいのかそれで、そっちがいいならこっちはいいが、
そういう細かいところいい加減だと、
倫理規定も紙くずになるぞ。
「はい。もちろんかまいませんが。
わたしは、まじめに斜めに生きてきた人ですから、
終わりよければすべてよし。
なんてことが座右の銘だったりしていますし、
ただなんだか、そういう時に限って、
事故とか起こるような気がするというか…
ええ、もちろんたかが造影剤ですから…
事故って言ってもねえ。そりゃあもちろん。
ええ 心配なんかしていま…」
「ありました ありました!」
と違う看護師が向こうから大きな声で言っている。
「もんやさんのカルテ膨大でして…どうも同意書が、
紛れ込んでいたようですいません」
膨大で悪うござんした。
ではこちらとCTルームに。
受けたことのある方は、ご存知でしょうが、
CTの撮影はあっという間に終わる。
MRIやPETに比べるとほんとうに短くて助かる。
…とここで切りだしてみる。
「 あの?このマシン…撮ってもいいですか?」
と聞くと。
「…ええ(笑)…どうぞ」と言うので、パチリ。
しかし、どうもマシンだけというのは味気ない
これでは、臨場感というものがでない。
「看護師さん …横に立ってもらえますか?」
「ええ!?わたしなんか…でも…
お化粧もしてないし…困ったわ…どうしよう…」
うーん長くなりそうなので、
「じゃあ 僕を入れて撮ってもらっていいですか?」
「ああ…はい(少し残念そうだ)」
パチリ
「わたし 長くここにいますけど
写真撮られた方は初めてですよ」
いつの間にかレントゲン技師の医者も来ていて、
笑いながらうなずいている。
「はあ。癌だからって、
気持ち暗くしているだけじゃ、もったいないじゃないですか。
なんでも楽しくですよ」
採血ルームに戻る。
相変わらずじいさんばんさんで溢れている。
また来たな!この無駄に凛々しい若者め!
と何人かが睨んでいる。
どうも。
僕の番号は呼ばれたばかりのようであったが、
少し待つと約束通り呼んでくれた。
無事に採血も済み…
いったん自宅に戻るとする。
~~~ ~~~
夕方4時
出直してやってきた。
泌尿器外来は1階の一番奥…
ここも日中は、じいさんばあさん…
特にじいさんで溢れている。
しかし、この時間ともなると受付にはほとんど人がいない。
わたしのほかには、ご夫婦らしきひと組だ。
看護師が話しかけている。
どうも、手術のために入院が決まり、その説明を受けている。
放心状態の夫、看護師の説明を聞きもらさまいとする妻…
失礼ながらわたしには見なれた光景であります。
以前、にも同じようなご夫婦を見かけたことがある。
「俺が死んだら…すまんな…俺が死んだら…すまんな」
「ばか言ってないで…」
「すまんな…すまん…」
「……」
その後、その旦那さんと同じ病室になった。
旦那さんは一日中、元気がなく…同僚が訪ねてきても
娘がお見舞いに来てもあまり話さず
日がな静かに過ごしていた。
奥さんがやってきたときだけ、少ししゃべる。
それも「ああ」とか「うん」とか…
手術の説明に担当医が来た時も…
質問するのはぜんぶ奥さん
本人はただ、黙って聞いている。
それが手術が終わり、術後の経過も良かったようで
無事退院の日が決まると一変した。
「ははは 心配することないんだよ。もうだいじょうぶ。
なあ…こいつが心配性だから…まったく大げさなんだよ」と
見舞客に応え、
「飯がうまけりゃ、もう少しいたいんだけどなあ…
おい明日 煮物でも持ってきてくれよ」
と奥さんに言いつける。
奥さんは、何も言わず にこにこと黙って聞いている。
まったく男とはなんと弱い生き物か…とも思うが…
なんだかんだひっくるめてうらやましい。
「CTの画像では、肺の腫瘍が大きくなってる以外は、
他への転移はみられませんね」
パソコンには僕の輪切りの画像が映っている。
首先から足の付け根まで、
マウスの操作でパッパと切り替わる。
どうもこの画像は見るに堪えない。
なんだか、背中がむず痒くなる。直視できない。
しかし、それでは困るので、これはそう。
イカ飯だと思うことにした。
「9月の検査では、GOTの値も高かったから…
肝臓転移も考えたのですが、
やはり画像には何もないですね」
「もともとの首のリンパ節は?」
「ええ。こちらも、変化ないですね」
主治医はイカ飯の…
一番太い部分 肺の画像を映し…
「やはり この肺の腫瘍が
AFP値を引き上げているんでしょうね」
「でも、先生。12000にもなっているんですよ。
その原因がこの肺の腫瘍だけ?」
「ええ。結局、数じゃないんです。
その腫瘍がひとつでも…
大きな作用があればAFP値はあがるんですよ」
「まったく、こいつは…
わたしの体に何をする!! って感じですね」
実際、この腫瘍は悪の親玉というわけではないのだろう。
あくまでひとつのアラート。
こいつが消滅しても、体の中の微に入り細に入る癌細胞が、
完全になくなることとイコールではない。
それでも、目下の敵はこいつと断定すれば、目標が生まれる。
見えざる敵と対する恐怖よりかは、
ぜんぜんマシというものさ。
「先生 この画像写真撮ってもいいですか?」
「…?ああ…ははは…こんなの撮るのもんやさんだけですよ」
「ついでに、先生も」 パチリ
最近というか、ここ1年。
会う人ごとに「もんやさんは元気そうだ」とか、
「太った」とか「やせないんですか?」とか
「ぜんぜん病気に見えない」とか
「まだ、死なないのですか?」とか、
そんなことばっか言われて、
まことにどうもくやしい思いをしていた。
精一杯 元気そうに見せている
このわたしの気遣いがまったく伝わっていない。
これではいかんと思っていたので、
これ見よがしに、いやこれ幸いにと…
イカ飯画像を撮ってやった。
「で…どうしましょうか?」
きた。どうしましょうか?…
ここでひいては男がすたる
抗がん剤は入れたくはない
入れたくはないが、ここはひとついれておくべきだ。
そして、目下の敵を駆逐するのだ。
「はい。予定通りにお願いします」
…といっても この病院は混んでいる…
すぐの治療は難しいのではと思っていたら
「ああ。泌尿器の○○ですが…ええ。
入院の手配をお願いしたいのです。
お忙しい方で…ええ。
もんやさんと言って…ええ
もう慣れていらっしゃる方なんで、ええ
一番早く日曜日の午後に入っていただき…ええ
月曜から治療を…どうでしょうか?」
と病棟のナースセンターで婦長さんと話している。
…別に忙しくはないが ナイスなフォローです先生。
「ああ…だいじょうぶ。ではそれでお願します」
ということで、21日月曜日からの投薬が決まりました。
入れてしまうと
体調がグダグダになるので
このブログが書けるよう回復するまで
しばしお待ちください。
また、投薬後の効果に感しましては、
1カ月近くはかかると思われます。
結果がでましたら、
またここでご報告させていただきます。
以上で報告は終わりです。
はじめに今回は宮田風
おもしろエッセイ風にすると言ったのですが、
途中で、こりゃ無理がある…と。
インドやミャンマーやラオスやカンボジアでの
バックパッカーの見聞きする新鮮な体験や
珍妙なるベトナムの盆栽や
南米のジェットコースターの話しでこそ、
この文体は活きるのであって、
病気や病院の話は そもそもが暗すぎて
なんか妙にブラックな自虐的なユーモアが先立ってします。
したがってなんとも中途半端な形となりまして、
まことにあいすいません。
文体を拝借しました宮田クンにはお礼として
最後に泌尿器外来の美人看護師さんの写真をお礼として、
差し上げます。
もちろん癌でもないし神奈川県民でもないあなたが、
彼女と知り合うことはないとは思いますが。
■宮田 珠己■
旅行記を中心に活躍している、おもしろエッセイスト。
追いつき追い越せ“椎名誠”をテーマに著書多数。
「ときどき意味もなくずんずん歩く」
「わたしの旅に何をする。」
「晴れた日は巨大仏を見に」:幻冬舎
「ウはウミウシのウ」
「旅の理不尽」:小学館
「東南アジア四次元日記」:旅行人
ほか
読むと旅行に行きたく本ばかりなので、
そこのところはご注意
また、あまりに面白すぎて
どうも本屋さんが仕入れ制限をしているらしく
探しても書店にないものも多いので、
ちゃんと注文してください。
困ったなあ…とか、嫌だなあ…とか、しんどいなあ…とか、
面倒くさいなあ…とか、悲しいなあ…とか、
なかったことにしたいなあ…とか、
そういう感情が湧きあがったときに、
「まあ、なんとかなるさ」と大きく構えていられる、
そんな人間でありたいと思って生きた。
今のボクとって、
「病院に行き、検査を受け、病気の進行度合いを確認して、
医師と治療方針を相談する」
この行為は、もっか最大の関心事であり、
癌野郎が(あえて野郎とする)ある日、ぴゅー…と
煙とともに壺の中に消えてくれない
ことは、あらかじめわかっている以上、
イージー!イージー!とも ケセラセラとも、
なんくるないさぁ~とも、マイペンライとも、
なかなかに思えず、検査を受けに行く1週間前から、
心の中にでっかくて黒い石があるような
そんな気分となってしまう。
そしてこの黒い石は、毎日、どんどん、でっかくなる。
男としての器が小さいなあ
小さい、小さい…と自覚はするものの、
どうしようもない。
14日は件の病院へ行く日。
…前の晩から眠れず、気が付いたら、
この黒い石が最高にでっかくなっていた。
このままではつぶされてしまうと思い、
なにか手立てはないかと思案した。
…そこで、思いついたことは、
「今日は僕自身の体の具合を確認しにゆくのではなく…
誰か他人の、自分とは関係のない人の病状について
取材をしにゆく…
そういう風に考えられないか」と考えた。
考えるだけでは、頑固な自分はだまされてくれないので、
なにか具体的な手段は…と更に思案した。
ひとつは、取材なんだから“カメラ”を持参して、
いろいろ撮ってみるのは、どうだろう…
そうそうこの手は昔も使ったが、
撮影するという行為は客観的に物事を捉えるには
最適な行為だった、
よしよし…と決めた。
そうなると、取材なんだから
今日の出来事を文章にまとめる必要がある。
はじめから、まとめるつもりで臨めば、
ことらも客観的に見聞きする…よしよし。
こう考えると気持ちが楽になってくる。
どうせなら、チャカしてしまおう。
…そうだ、わが友人、宮田クンの
「おもしろエッセイ風」におもいっきり
チャカしてしまおう。
…となった。
宮田君については後述する。
「すまん…とりあえず宮田パクル!」
■■ ということで 以下、宮田風でまとめてみた ■■
※注…あくまで“風”である。
あのフィレンツェ風チキンのローストの“風”であり、
「うーんアールデコ風の素敵なお宅ですネ」の“風”であり、
様子するに、「オマエ、今日の3ゲン…出る?…的な…」の
“的な”と同意であり、
「おっちゃん!これ…ヴィトンちゃうやん…
ロゴんとこ…BITON…てなってるやん!」の“B”に相当する…
様子するに「偽物」であります。
でありますから、わたしのまがい物の文章を読んで、
宮田クンのエッセイがこの程度の代物とは思わないで
もらいたい。彼のエッセイはとてもおもしろい。
●●●
今日は、検査だ。
血液検査とCTのふたつを午前中にこなし、
午後にもう一度出直し、
主治医のもとに外来で伺うという段取りとなる。
病院までは車で20分…環状道路から幹線道を経由すれば、
嵐のCDに併せてフン♪フン♪…と
3、4曲鼻唄を歌っていれば着いてしまう。
別に嵐でなくてもよいのでは…と思うのは素人の浅はかさ、
やはりこういう時は嵐である。
この桜井君のなんともノリにくいラップがいいのである。
…と、僕のフン♪フン♪…が4曲目を越えたあたりで、
なにやら今日は道が混んでいることに気付いた。
さっきからぜんぜん前に進んでいないではないか。
何をしているのだ、このままでは検査の時間に遅刻してしまう。
前を見ると、環状道路から幹線道の曲がり角までに、
車の長蛇の列ができている。
もっと前に気付けよ…
しかし、こういう時に冷静なのが大人というもの、
決して桜井君のせいではない。
おっ!目の前に信号が…よし!ここを曲がってしまえ!
行ったことはないが、なんとなく行けるのでは、
と思ったらハンドルを切っていた。
自慢ではないがわたしは、東大いや当代、稀にみる
方向音痴である。
駅からの帰宅途中、途中のコンビニに寄り、
買い物を済ませ外に出て…
また駅に向かう道を歩いてしまうことが
“たびたび” ある男である。
不安がよぎらないわけではないが、
こういう時は決断と実行である。
…この決断は見事に当たった。
なんとなく右曲がったり、左曲がったりしていたら…
病院までつながる道に出たではないか。
そういうことだ。
たいていのことは成せばなるのである。
「いまどき…ナビはないのか?」と
不思議に思う方もいるだろう。
もちろんない。
文明の利器に頼るなど笑止千万。
男子たるもの最後は自らの感に頼れ!である。
なんとなく曲がっていれば、
最後は目的地に着くようになっている。
無事に病院に着いた。
しかし駐車場に入れない。
駐車場が、晴れた日曜日の原宿のH&Mのセール前くらいに
混んでいる(行ったことはない)。
なんとか停めることができて、受付を済ませ、
まずは「採血」に向かう。…
ここがまた混んでいる。
お隣のFOREVER 21も負けじとセールを始めてしまい
歩道歩けないじゃないか!ってほど混んでいる。
(行ったことはこちらもない)
今日はとりわけ、
神奈川県中の癌患者が勢ぞろいしているのでは…
と思うほど混んでいる。
見渡せば採血ルームには50人くらいの
じいさんばあさんが。
部屋に入りきれず廊下にもじいさんばあさん…
もうあたりかまわずじいさんばあさんである。
そこに颯爽と凛々しく活力に溢れたわたしが登場する。
受付のカードを渡すと、
「…CTの検査入ってますね?…このままじゃ間に合わないので、
今、採血の受付だけされて、
先にCT行かれたほうがよいですよ」
と看護師が言う。
CTの予約時間には、まだ40分もあるではないか。
なんのために知らない道にチャレンジしたのだ。
あえて危険を冒してまでたどり着いた苦労が水の泡ではないか。
こんな凛々しい若者になにをする!
しかしアナウンスされる受付番号は、
まだわたしの100番も前のようだ…
くやしいが、ここは言うなりになるしかないようだ。
少し、困った顔をしていると、
じゃあ…CTに行っている間に、
順番が来たら 適当に順送りにしてくれるという。
そいつはラッキイ。やはり凛々しく活力あるわたしに
はそうでなくてはいけない。
エレベーターに乗り、レントゲンの受付に行く。
少し待って、僕の番となる…?
「もんやさん すいません。
…造影剤の同意書書かれています?」
「はあ?…ええ…先日 書きましたが」
「そうですか。おかしいですね。
カルテの中に見当たらないのです」
「はい?」
「少しお待ちください」
CT撮影を鮮明にするために入れる造影剤は、
アレルギー症状がでることもあり、
同意書が義務付けられている。
前回来た折に、確かに記入しているはずなのだが、
どうもそれが見当たらないらしい。
廊下のベンチで待たされてると、また看護師が…
「どうも、ないようなんです。
同意したということでいいでしょうかね?」とやってきた。
いいのかそれで、そっちがいいならこっちはいいが、
そういう細かいところいい加減だと、
倫理規定も紙くずになるぞ。
「はい。もちろんかまいませんが。
わたしは、まじめに斜めに生きてきた人ですから、
終わりよければすべてよし。
なんてことが座右の銘だったりしていますし、
ただなんだか、そういう時に限って、
事故とか起こるような気がするというか…
ええ、もちろんたかが造影剤ですから…
事故って言ってもねえ。そりゃあもちろん。
ええ 心配なんかしていま…」
「ありました ありました!」
と違う看護師が向こうから大きな声で言っている。
「もんやさんのカルテ膨大でして…どうも同意書が、
紛れ込んでいたようですいません」
膨大で悪うござんした。
ではこちらとCTルームに。
受けたことのある方は、ご存知でしょうが、
CTの撮影はあっという間に終わる。
MRIやPETに比べるとほんとうに短くて助かる。
…とここで切りだしてみる。
「 あの?このマシン…撮ってもいいですか?」
と聞くと。
「…ええ(笑)…どうぞ」と言うので、パチリ。
しかし、どうもマシンだけというのは味気ない
これでは、臨場感というものがでない。
「看護師さん …横に立ってもらえますか?」
「ええ!?わたしなんか…でも…
お化粧もしてないし…困ったわ…どうしよう…」
うーん長くなりそうなので、
「じゃあ 僕を入れて撮ってもらっていいですか?」
「ああ…はい(少し残念そうだ)」
パチリ
「わたし 長くここにいますけど
写真撮られた方は初めてですよ」
いつの間にかレントゲン技師の医者も来ていて、
笑いながらうなずいている。
「はあ。癌だからって、
気持ち暗くしているだけじゃ、もったいないじゃないですか。
なんでも楽しくですよ」
採血ルームに戻る。
相変わらずじいさんばんさんで溢れている。
また来たな!この無駄に凛々しい若者め!
と何人かが睨んでいる。
どうも。
僕の番号は呼ばれたばかりのようであったが、
少し待つと約束通り呼んでくれた。
無事に採血も済み…
いったん自宅に戻るとする。
~~~ ~~~
夕方4時
出直してやってきた。
泌尿器外来は1階の一番奥…
ここも日中は、じいさんばあさん…
特にじいさんで溢れている。
しかし、この時間ともなると受付にはほとんど人がいない。
わたしのほかには、ご夫婦らしきひと組だ。
看護師が話しかけている。
どうも、手術のために入院が決まり、その説明を受けている。
放心状態の夫、看護師の説明を聞きもらさまいとする妻…
失礼ながらわたしには見なれた光景であります。
以前、にも同じようなご夫婦を見かけたことがある。
「俺が死んだら…すまんな…俺が死んだら…すまんな」
「ばか言ってないで…」
「すまんな…すまん…」
「……」
その後、その旦那さんと同じ病室になった。
旦那さんは一日中、元気がなく…同僚が訪ねてきても
娘がお見舞いに来てもあまり話さず
日がな静かに過ごしていた。
奥さんがやってきたときだけ、少ししゃべる。
それも「ああ」とか「うん」とか…
手術の説明に担当医が来た時も…
質問するのはぜんぶ奥さん
本人はただ、黙って聞いている。
それが手術が終わり、術後の経過も良かったようで
無事退院の日が決まると一変した。
「ははは 心配することないんだよ。もうだいじょうぶ。
なあ…こいつが心配性だから…まったく大げさなんだよ」と
見舞客に応え、
「飯がうまけりゃ、もう少しいたいんだけどなあ…
おい明日 煮物でも持ってきてくれよ」
と奥さんに言いつける。
奥さんは、何も言わず にこにこと黙って聞いている。
まったく男とはなんと弱い生き物か…とも思うが…
なんだかんだひっくるめてうらやましい。
「CTの画像では、肺の腫瘍が大きくなってる以外は、
他への転移はみられませんね」
パソコンには僕の輪切りの画像が映っている。
首先から足の付け根まで、
マウスの操作でパッパと切り替わる。
どうもこの画像は見るに堪えない。
なんだか、背中がむず痒くなる。直視できない。
しかし、それでは困るので、これはそう。
イカ飯だと思うことにした。
「9月の検査では、GOTの値も高かったから…
肝臓転移も考えたのですが、
やはり画像には何もないですね」
「もともとの首のリンパ節は?」
「ええ。こちらも、変化ないですね」
主治医はイカ飯の…
一番太い部分 肺の画像を映し…
「やはり この肺の腫瘍が
AFP値を引き上げているんでしょうね」
「でも、先生。12000にもなっているんですよ。
その原因がこの肺の腫瘍だけ?」
「ええ。結局、数じゃないんです。
その腫瘍がひとつでも…
大きな作用があればAFP値はあがるんですよ」
「まったく、こいつは…
わたしの体に何をする!! って感じですね」
実際、この腫瘍は悪の親玉というわけではないのだろう。
あくまでひとつのアラート。
こいつが消滅しても、体の中の微に入り細に入る癌細胞が、
完全になくなることとイコールではない。
それでも、目下の敵はこいつと断定すれば、目標が生まれる。
見えざる敵と対する恐怖よりかは、
ぜんぜんマシというものさ。
「先生 この画像写真撮ってもいいですか?」
「…?ああ…ははは…こんなの撮るのもんやさんだけですよ」
「ついでに、先生も」 パチリ
最近というか、ここ1年。
会う人ごとに「もんやさんは元気そうだ」とか、
「太った」とか「やせないんですか?」とか
「ぜんぜん病気に見えない」とか
「まだ、死なないのですか?」とか、
そんなことばっか言われて、
まことにどうもくやしい思いをしていた。
精一杯 元気そうに見せている
このわたしの気遣いがまったく伝わっていない。
これではいかんと思っていたので、
これ見よがしに、いやこれ幸いにと…
イカ飯画像を撮ってやった。
「で…どうしましょうか?」
きた。どうしましょうか?…
ここでひいては男がすたる
抗がん剤は入れたくはない
入れたくはないが、ここはひとついれておくべきだ。
そして、目下の敵を駆逐するのだ。
「はい。予定通りにお願いします」
…といっても この病院は混んでいる…
すぐの治療は難しいのではと思っていたら
「ああ。泌尿器の○○ですが…ええ。
入院の手配をお願いしたいのです。
お忙しい方で…ええ。
もんやさんと言って…ええ
もう慣れていらっしゃる方なんで、ええ
一番早く日曜日の午後に入っていただき…ええ
月曜から治療を…どうでしょうか?」
と病棟のナースセンターで婦長さんと話している。
…別に忙しくはないが ナイスなフォローです先生。
「ああ…だいじょうぶ。ではそれでお願します」
ということで、21日月曜日からの投薬が決まりました。
入れてしまうと
体調がグダグダになるので
このブログが書けるよう回復するまで
しばしお待ちください。
また、投薬後の効果に感しましては、
1カ月近くはかかると思われます。
結果がでましたら、
またここでご報告させていただきます。
以上で報告は終わりです。
はじめに今回は宮田風
おもしろエッセイ風にすると言ったのですが、
途中で、こりゃ無理がある…と。
インドやミャンマーやラオスやカンボジアでの
バックパッカーの見聞きする新鮮な体験や
珍妙なるベトナムの盆栽や
南米のジェットコースターの話しでこそ、
この文体は活きるのであって、
病気や病院の話は そもそもが暗すぎて
なんか妙にブラックな自虐的なユーモアが先立ってします。
したがってなんとも中途半端な形となりまして、
まことにあいすいません。
文体を拝借しました宮田クンにはお礼として
最後に泌尿器外来の美人看護師さんの写真をお礼として、
差し上げます。
もちろん癌でもないし神奈川県民でもないあなたが、
彼女と知り合うことはないとは思いますが。
■宮田 珠己■
旅行記を中心に活躍している、おもしろエッセイスト。
追いつき追い越せ“椎名誠”をテーマに著書多数。
「ときどき意味もなくずんずん歩く」
「わたしの旅に何をする。」
「晴れた日は巨大仏を見に」:幻冬舎
「ウはウミウシのウ」
「旅の理不尽」:小学館
「東南アジア四次元日記」:旅行人
ほか
読むと旅行に行きたく本ばかりなので、
そこのところはご注意
また、あまりに面白すぎて
どうも本屋さんが仕入れ制限をしているらしく
探しても書店にないものも多いので、
ちゃんと注文してください。
観なきゃね 2009
投稿日時:2009/12/13(日) 20:08■ 年末特別対談 ■
“アロハ坊主さんと、今年の映画を語る”
今日は、わざわざ戸塚までお越しいただきありがとうございます。
さて、早速ですが、今年公開された映画、
全般についてどんな感想をお持ちですか?
アロハ
「全般的に、今年は面白い作品が少ない年でしたね。
あとは、これは、面白い作品と思える作品と、
そうでない“駄作”(笑)との差が激しかったような…
もんやさんはいかがですか?」
もん
「同感ですね。特に、大作ハリウッドものが…ひどい。
でも、そんな中、やはり これは観てほしいという
作品を紹介したいと思います」
…… まずは、お互いの今年のベスト5の発表から
もん
アロハ
もん「…なるほど、事前に打ち合わせなしの割には、何作品か。
かぶってますね。実は正直、この企画の前に、
まったくかぶらないんじゃないかと、思ってたんです…」
アロハ「それは、なぜですか?…僕は、先に言ったように…
今年は落差が激しいってところ、おんなじ感想だから、
選ぶとなるとかぶらざる負えないかな…と」
もん「そうですね。その面白い感覚って、人それぞれで、
それを言ったら同じなんだけど まあそれでいいわけで。
…でも、それでも、やっぱり観ておくべき、
面白いものというものは絶対にあって、
その面白いものを見分ける力もあると思うのです。
その意味では、お互い、その力はあるということで(笑)」
アロハ「…でなけりゃ、年末にこんな
愚にもつかない対談しませんよね。
自画自賛ぽいですけど」
もん「ただ、お互い、今年の全部を観ていない。
だから漏れてるかもしれませんし、厳密に順位というのは、
つけられないもんだから、
そこんところは、大目に見ていただくということで…
でも、せっかくですからこの場、2人のお勧めということで、
決められたらベスト3くらいきめましょ。」
アロハ「確かに… それでお願いします」
もんや「まず1位…ははは お互い相当観ているのに…
見事に…おんなじですね」
アロハ「おなじですねえ… この作品は気持ちエグラレましたね。
これがオリジナル脚本というのはもうすごいですね。」
もんや「時をかける少女…で資金が集まったそうですからね」
アロハ「田舎のお盆休みとバーチャルな世界
この対比の着想がすごいし、老若男女が楽しめる
物語に仕上げているところがすごい」
もんや「僕、この映画の感想を人に話す時に…
泣いちゃってんですよね。ぼろぼろ。」
アロハ「どのあたりで」
もんや「…隠し子、侘助が、ばあちゃん訃報聞いて、
戻るところ…あそこ!…あそこはやばい!」
アロハ「僕は、なんと言っても、少し内気な理科系男子の、
小磯健二クン。よそ者の彼が、最後まで奮闘する、
そこに共感した。侘助クンもそうですが、
いまの若者のキーワードは“疎外感”だと思うんですよ。
そういうと、ネガティブな形容詞ですけど、
その疎外感も時と場合によっては、
生きるエネルギーに変えられるってことが伝わってくる」
もんや「ばあちゃんの愛?」
アロハ「そうそう」
もんや「じゃあもうこれは、もうお互い大絶賛ですから。
文句なく今年の1位でよろしいいですかね?」
アロハ「そうですね」
■■ 1位 「サマーウォーズ」 ■■
もんや「2位は かぶってますけど、
順位が違う… 点数化してみると…次が、母なる証明」
もんや「ポン・ジュノ監督大好き。
待望の新作で、楽しみにしていました。
やっぱり、ただものじゃない」
アロハ「世の中の倫理観とか、無視して、自分の信じる道、
進む主人公…好きなんですよね」
もんや「…母の愛…ですね」
アロハ「今回は、そうですね」
もんや「ラスト前の草原のダンス…どう見ますか?」
アロハ「…あれは、監督の観客への挑戦ですね。
だから、冒頭にも印象的に使ったんでしょうね。」
もんや「…演出ですよね。バスの中で最後…乗客に合せて踊りだす
あのシーンとは、ニュアンスが、違いますよね。
原題はMATHERだけ。
そこの邦題は“証明”をつけた。センスあるなあ」
アロハ「キム・ヘジャとウォンビン…役者としては両方すごい。
ちょっと意地悪な質問ですが、
あえてどちらの演技がよかったですか」
もんや「それは もう ウォンビンです」
アロハ「なぜですか?」
もんや「母の演技は極論言えば、ほかにできる
韓国女優がいると思います。
でも、あの精神薄弱さの演技は、
できそうで誰にもできないところを感じました」
アロハ「少年の無邪気さの怖さ」
もんや「日本の俳優も見習ってほしい(笑)」
アロハ「では、第2位で」
■■ 2位 「母なる証明」 ■■
もんや「次は、ディア・ドクター。アロハさんが進める根拠は?」
アロハ「もんやさんにとって、ポン・ジュノが
タダものじゃないように、
僕にとっては西川美和監督がタダものじゃない」
もんや「蛇イチゴ ゆれる … 西川監督、進化してますか?」
アロハ「してますね。全体的に、人間って不可解…
てところの描き方がより深かったです」
もんや「問題はラスト。ここは触れずにおけないですね」
アロハ「その前に…いいですか。
僕どうしてもいいたいんですが、
“人間って不可解”ってことが、
登場人物すべての設定に表れていました」
もんや「みんなひと癖ある。特に後半の事情聴取…
あの辺りの描き方はタダものじゃない」
アロハ「普通なら、ああいう演出はしないですよね」
もんや「…っていうかできない。
余貴美子さんの看護師役なんて、
相当に微妙で難しい役柄に設定している」
アロハ「監督自身この作品は、ゆれるで大成功を収めて、
周りから過度な期待を受けていたことに
対しての答えって言ってます」
もんや「期待に応えるってことは、演じるってこと。
そこを突き詰めると、ほんとうの
自分じゃないところも見せてしまう。
その思いを登場人物に投影させたと…」
アロハ「そうです…あと今回は“灯り”…この演出方法が秀逸です。
鶴瓶演じる伊野医師が持っていたオヤジのペンライト…
夜になると電灯ひとつない真っ暗な村の風景の中で、
微かに輝くスーパーカブのライト…
ここに彼女の繊細なこだわりが…」
もんや「さすが、お勧め。気合いはいってますね。
…で、その灯りは、なにを表現したかったのかな?」
アロハ「人のよりどころ…を表現していた
ペンライトは息子のよりどころであり、
カブのライトは、村人のよりどころ。」
もんや「なるほど。よりどころ…といえば
一番は八千草薫演じる、かづ子さんが伊野医師のよりどころ…
なんでしたかね?…だからあのラスト?」
アロハ「その通り」
もんや「僕は、あのラストは違和感あったんですけど」
アロハ「人間の不可解さがテーマですからね。あれでよかったんですよ」
もんや「いいんですか 3位で(笑)?」
アロハ「はい」
■■ 3位 「ディア・ドクター」 ■■
もんや「では この会の順位つけは ここまでで。
ほかに挙げた作品でのお勧めコメント…まあ、
全部観て欲しいけど、あえてひとこと言いたい放題で」
アロハ「“南極料理人”…男子寮のようなふじドーム基地で
くりひろげられる汗臭い南極生活。
見所はラーメンから伊勢エビまで、
バリエーション豊富な料理の数々
あと、パンチラ盗撮、破廉恥、お下品満載ながらも、
溢れんばかりの愛を感じさせてくれた、“愛のむきだし”…
家族の崩壊と再生の物語、“あの日、欲望の大地で”
これは、なにせ衝撃のラスト!!
シャーリーズセロンが、冒頭から裸!
…彼女の過去がラップしての展開。
ありきたりな不倫話しをここまで引きこませるのは
大したもんです。」
もんや「全部観ろ!ですが…
伊坂幸太郎原作の“フィッシュストーリィー”。
映画化としては、“アヒルと鴨のコインロッカー”に並ぶ、
お気に入り作品です。
今年は、重力ピエロとラッシュライフは、観なくて良いので、
こっち観て欲しい。
来年のゴールデンスランバーが楽しみです。
ハリウッド系では、“スタートレック”。
…バットマンや007シリーズと同様に、
やっとリメイク重ねてよくなった。面白かったです。
そして“ハルフウェイ”…北乃きい…おそるべし演技です」
もんや「ありがとうございました。
このお互いのランキングは、厳選のお勧め作品ですから…
このまま続けると夜が明けてしまう(笑)
…来年もやりましょうね」
アロハ「ぜひ。呼んでください」
“アロハ坊主さんと、今年の映画を語る”
今日は、わざわざ戸塚までお越しいただきありがとうございます。
さて、早速ですが、今年公開された映画、
全般についてどんな感想をお持ちですか?
アロハ
「全般的に、今年は面白い作品が少ない年でしたね。
あとは、これは、面白い作品と思える作品と、
そうでない“駄作”(笑)との差が激しかったような…
もんやさんはいかがですか?」
もん
「同感ですね。特に、大作ハリウッドものが…ひどい。
でも、そんな中、やはり これは観てほしいという
作品を紹介したいと思います」
…… まずは、お互いの今年のベスト5の発表から
もん
1位:「サマーウォーズ」
2位:「母なる証明」
3位:「グッド・バッド・ウィアード」
4位:「フィッシュストーリィー」
5位:「スタートレック」
6位:「カールじいさんの空飛ぶ家」
7位:「レスラー」
8位:「ディア・ドクター」
9位:「愛のむきだし」
10位:「ハルフウエイ」
2位:「母なる証明」
3位:「グッド・バッド・ウィアード」
4位:「フィッシュストーリィー」
5位:「スタートレック」
6位:「カールじいさんの空飛ぶ家」
7位:「レスラー」
8位:「ディア・ドクター」
9位:「愛のむきだし」
10位:「ハルフウエイ」
アロハ
1位:「サマーウォーズ」
2位:「ディアー・ドクター」
3位:「南極料理人」
4位:「母なる証明」
5位:「精神(ドキュメンタリー)」
6位:「あの日、欲望の大地で」
7位:「愛のむきだし」
8位:「グラントリノ」
9位:「ラースと、その彼女」
10位:「3時10分 決断の時」
2位:「ディアー・ドクター」
3位:「南極料理人」
4位:「母なる証明」
5位:「精神(ドキュメンタリー)」
6位:「あの日、欲望の大地で」
7位:「愛のむきだし」
8位:「グラントリノ」
9位:「ラースと、その彼女」
10位:「3時10分 決断の時」
もん「…なるほど、事前に打ち合わせなしの割には、何作品か。
かぶってますね。実は正直、この企画の前に、
まったくかぶらないんじゃないかと、思ってたんです…」
アロハ「それは、なぜですか?…僕は、先に言ったように…
今年は落差が激しいってところ、おんなじ感想だから、
選ぶとなるとかぶらざる負えないかな…と」
もん「そうですね。その面白い感覚って、人それぞれで、
それを言ったら同じなんだけど まあそれでいいわけで。
…でも、それでも、やっぱり観ておくべき、
面白いものというものは絶対にあって、
その面白いものを見分ける力もあると思うのです。
その意味では、お互い、その力はあるということで(笑)」
アロハ「…でなけりゃ、年末にこんな
愚にもつかない対談しませんよね。
自画自賛ぽいですけど」
もん「ただ、お互い、今年の全部を観ていない。
だから漏れてるかもしれませんし、厳密に順位というのは、
つけられないもんだから、
そこんところは、大目に見ていただくということで…
でも、せっかくですからこの場、2人のお勧めということで、
決められたらベスト3くらいきめましょ。」
アロハ「確かに… それでお願いします」
もんや「まず1位…ははは お互い相当観ているのに…
見事に…おんなじですね」
アロハ「おなじですねえ… この作品は気持ちエグラレましたね。
これがオリジナル脚本というのはもうすごいですね。」
もんや「時をかける少女…で資金が集まったそうですからね」
アロハ「田舎のお盆休みとバーチャルな世界
この対比の着想がすごいし、老若男女が楽しめる
物語に仕上げているところがすごい」
もんや「僕、この映画の感想を人に話す時に…
泣いちゃってんですよね。ぼろぼろ。」
アロハ「どのあたりで」
もんや「…隠し子、侘助が、ばあちゃん訃報聞いて、
戻るところ…あそこ!…あそこはやばい!」
アロハ「僕は、なんと言っても、少し内気な理科系男子の、
小磯健二クン。よそ者の彼が、最後まで奮闘する、
そこに共感した。侘助クンもそうですが、
いまの若者のキーワードは“疎外感”だと思うんですよ。
そういうと、ネガティブな形容詞ですけど、
その疎外感も時と場合によっては、
生きるエネルギーに変えられるってことが伝わってくる」
もんや「ばあちゃんの愛?」
アロハ「そうそう」
もんや「じゃあもうこれは、もうお互い大絶賛ですから。
文句なく今年の1位でよろしいいですかね?」
アロハ「そうですね」
■■ 1位 「サマーウォーズ」 ■■
もんや「2位は かぶってますけど、
順位が違う… 点数化してみると…次が、母なる証明」
もんや「ポン・ジュノ監督大好き。
待望の新作で、楽しみにしていました。
やっぱり、ただものじゃない」
アロハ「世の中の倫理観とか、無視して、自分の信じる道、
進む主人公…好きなんですよね」
もんや「…母の愛…ですね」
アロハ「今回は、そうですね」
もんや「ラスト前の草原のダンス…どう見ますか?」
アロハ「…あれは、監督の観客への挑戦ですね。
だから、冒頭にも印象的に使ったんでしょうね。」
もんや「…演出ですよね。バスの中で最後…乗客に合せて踊りだす
あのシーンとは、ニュアンスが、違いますよね。
原題はMATHERだけ。
そこの邦題は“証明”をつけた。センスあるなあ」
アロハ「キム・ヘジャとウォンビン…役者としては両方すごい。
ちょっと意地悪な質問ですが、
あえてどちらの演技がよかったですか」
もんや「それは もう ウォンビンです」
アロハ「なぜですか?」
もんや「母の演技は極論言えば、ほかにできる
韓国女優がいると思います。
でも、あの精神薄弱さの演技は、
できそうで誰にもできないところを感じました」
アロハ「少年の無邪気さの怖さ」
もんや「日本の俳優も見習ってほしい(笑)」
アロハ「では、第2位で」
■■ 2位 「母なる証明」 ■■
もんや「次は、ディア・ドクター。アロハさんが進める根拠は?」
アロハ「もんやさんにとって、ポン・ジュノが
タダものじゃないように、
僕にとっては西川美和監督がタダものじゃない」
もんや「蛇イチゴ ゆれる … 西川監督、進化してますか?」
アロハ「してますね。全体的に、人間って不可解…
てところの描き方がより深かったです」
もんや「問題はラスト。ここは触れずにおけないですね」
アロハ「その前に…いいですか。
僕どうしてもいいたいんですが、
“人間って不可解”ってことが、
登場人物すべての設定に表れていました」
もんや「みんなひと癖ある。特に後半の事情聴取…
あの辺りの描き方はタダものじゃない」
アロハ「普通なら、ああいう演出はしないですよね」
もんや「…っていうかできない。
余貴美子さんの看護師役なんて、
相当に微妙で難しい役柄に設定している」
アロハ「監督自身この作品は、ゆれるで大成功を収めて、
周りから過度な期待を受けていたことに
対しての答えって言ってます」
もんや「期待に応えるってことは、演じるってこと。
そこを突き詰めると、ほんとうの
自分じゃないところも見せてしまう。
その思いを登場人物に投影させたと…」
アロハ「そうです…あと今回は“灯り”…この演出方法が秀逸です。
鶴瓶演じる伊野医師が持っていたオヤジのペンライト…
夜になると電灯ひとつない真っ暗な村の風景の中で、
微かに輝くスーパーカブのライト…
ここに彼女の繊細なこだわりが…」
もんや「さすが、お勧め。気合いはいってますね。
…で、その灯りは、なにを表現したかったのかな?」
アロハ「人のよりどころ…を表現していた
ペンライトは息子のよりどころであり、
カブのライトは、村人のよりどころ。」
もんや「なるほど。よりどころ…といえば
一番は八千草薫演じる、かづ子さんが伊野医師のよりどころ…
なんでしたかね?…だからあのラスト?」
アロハ「その通り」
もんや「僕は、あのラストは違和感あったんですけど」
アロハ「人間の不可解さがテーマですからね。あれでよかったんですよ」
もんや「いいんですか 3位で(笑)?」
アロハ「はい」
■■ 3位 「ディア・ドクター」 ■■
もんや「では この会の順位つけは ここまでで。
ほかに挙げた作品でのお勧めコメント…まあ、
全部観て欲しいけど、あえてひとこと言いたい放題で」
アロハ「“南極料理人”…男子寮のようなふじドーム基地で
くりひろげられる汗臭い南極生活。
見所はラーメンから伊勢エビまで、
バリエーション豊富な料理の数々
あと、パンチラ盗撮、破廉恥、お下品満載ながらも、
溢れんばかりの愛を感じさせてくれた、“愛のむきだし”…
家族の崩壊と再生の物語、“あの日、欲望の大地で”
これは、なにせ衝撃のラスト!!
シャーリーズセロンが、冒頭から裸!
…彼女の過去がラップしての展開。
ありきたりな不倫話しをここまで引きこませるのは
大したもんです。」
もんや「全部観ろ!ですが…
伊坂幸太郎原作の“フィッシュストーリィー”。
映画化としては、“アヒルと鴨のコインロッカー”に並ぶ、
お気に入り作品です。
今年は、重力ピエロとラッシュライフは、観なくて良いので、
こっち観て欲しい。
来年のゴールデンスランバーが楽しみです。
ハリウッド系では、“スタートレック”。
…バットマンや007シリーズと同様に、
やっとリメイク重ねてよくなった。面白かったです。
そして“ハルフウェイ”…北乃きい…おそるべし演技です」
もんや「ありがとうございました。
このお互いのランキングは、厳選のお勧め作品ですから…
このまま続けると夜が明けてしまう(笑)
…来年もやりましょうね」
アロハ「ぜひ。呼んでください」
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