紋谷のソコヂカラ ブログテーマ:知らずに死ねるか!

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春と修羅

投稿日時:2010/03/15(月) 15:33


どうも調子が出ない 
これは春のせいであります。

大きな地震が立て続けに起こったり 
こころ根の優しいミュージシャンが
不当薬物の使用で検挙されたり

クライアントからバグのクレームが相次いだり 
朝から猫がにゃあにゃあうるさいし、

治してるんだか広げてるんだか知らないが、
「ここも工事中かよ!?」で、
ヘルメットから覗く顔は、
どうみてもアラブ人で、
「ドウシテ ワタシ ココニイル?」
って顔しているから 
文句も言えないし、

強風で飛ばされた隣の家の洗濯物が、
僕の車の上に引っ掛かっていて、
それが女性の下着だったりで…

「返しにゆくもゆけないじゃないか!」
…だったり、

久しぶりに電話が来たと思ったら、
「おれさあ…この年でさぁ、営業に逆戻りだってさ 
  事務のパートのおばちゃんだけのさあ
  …そこの所長…どうよ?」 

って、「…で どこ?」「四国」「四国のどこ?」
「香川?」「香川…いいじゃん」「香川ってなにがあるの?」

…だったり。

そういうこと全部が春のせいであります。

師走、年の瀬は「よし、今年も残りわずか  うんうん 
自分…それなりに頑張った よしよし 来年も」

と、どちらかと言えば、前向きに振り返り 
前向きに目指す そんな風な心持ちになれるのに、

この年度末と言うのは 
どうも 気が乗らない 。

それなりに忙しいのは当たり前、
でも、どこかなんだか、どうにも上の空、
それでいてあせる 
そんな感じの時期ではないですか?

僕だけか。

この季節に起こる 
マイナスな出来事は、
ぜんぶ“春のせい” にしてください。

僕のせいでも あなたのせいでも 
猫の発情のせいでも アラブのせいでも 
現場知らない社長のせいでも 
ありません。

「春のせい」 なんです。

以前にも触れた気がしますが(忘れたのも春のせい)、
自然界は寝ているのです。
起きるのは、梅雨の始まりから…

人間程度が がちゃがちゃしても、
大きなメカニズムが「寝ている」ことを要求して
いるのですから、

うまくゆくこともゆかない 
そんなことな当たり前。

歯ぎしりしながら 
行ったり来たり そういう季節。

四月の気層のひかりの底を
唾しはぎしりゆききする
おれはひとりの修羅なのだ

宮沢健二の心象スケッチの 
この一文が好きでした。

※というか序文などは難しくて、中学生の僕には理解不能

まわりはなんだか浮かれているけど 
ちょっとまて 自分の今はどうなのか?

そういうことを立ち止まって考える 
そういう時間を少しでも持つ 
そんな示唆 そういう季節なんだとも、
思う訳です。


「○○を考えると ○○がベスト ○○から進めてゆこう 
  でも○○の部分はファジーだから 進めながら解決」

はいはい。そうです そんなことばかりです。 
それはそれで やんなきゃならない
ことは ちゃっちゃとやりましょ。

その流れの中でも 
まてまて「春にだまされてないか?」と 
もう一度 振り返る 

「おい! 春なんだから 気をつけろ」
「えっ? なんですか?部長?」
「いいから…それでいいから。
 でもな…春なんだから 気をつけろよ…ニッ」


■■■

「96時間」 という映画がおもしろいです。



リュックべッソンが監督も役者もしないで 
製作と脚本に関わってる“だけのおかげ”かもしれないですが、
とてもおもしろいです。

アクションものです。

元CIAです。 
最愛の娘の誘拐事件です。

東欧人の売春組織(※) 
相手のロンリーウォーズです。

※去年の翻訳本で大人気でした「ミレニアム」
の2でも題材でしたが、いま、旬なのか?

こいうと…
「ああ…なんとなく想像つく」
とか思われるでしょうが、

その、あなたが瞬間に抱いたイメージより…
3倍は 確実におもしろいです。

主演はリーアム・ニーソン 
※シンドラーの所長 スターウォーズのジェダイの騎士 
でもこの映画での彼は ラブアクチュアリーの妻を亡くして
義理の息子の小さい恋のメロディーを応援する
父さんのイメージが一番近いです。
役柄はぜんぜん違いますが。

大箱でのロードショー大作に比べてプログラムピクチャー
(娯楽もの、早撮りの低予算という意味に使われますが、
 もともとは違います。説明すると長くなるので
 便宜上ここではそういう意味で使います)

の匂いがムンムンしますが、
なかなかどうしてまったく飽きずに 
引き込む力のある展開です。

CGはゼロ 
リーアム・ニーソン体当たりです。 
彼でなければここまで雰囲気でなかった映画。

ハリウッドがブルースウイルス使って作ったら 
ぜんぜん駄目になってしまう話しであります。

「24」のシーズン1を
「240時間くらい」かけて観るより

「96」を1時間半くらいで観る方が 
 おもしろいと 

…われながらおもしろいことを言うなあ
…というくらいおもしろいです。



「春のせいってだけじゃあ 
 このもやもやは晴れんなあ~」

とお嘆きの週末などございましたら 
ぜひ。


観なきゃね 2009 

投稿日時:2009/12/13(日) 20:08

■  年末特別対談 ■
 
“アロハ坊主さんと、今年の映画を語る”
今日は、わざわざ戸塚までお越しいただきありがとうございます。
 
さて、早速ですが、今年公開された映画、
全般についてどんな感想をお持ちですか?
 
アロハ
「全般的に、今年は面白い作品が少ない年でしたね。
 あとは、これは、面白い作品と思える作品と、
  そうでない“駄作”(笑)との差が激しかったような…
  もんやさんはいかがですか?」
 
もん
 「同感ですね。特に、大作ハリウッドものが…ひどい。
    でも、そんな中、やはり これは観てほしいという
    作品を紹介したいと思います」
 
…… まずは、お互いの今年のベスト5の発表から
 
もん 
1位:「サマーウォーズ」
2位:「母なる証明」
3位:「グッド・バッド・ウィアード」
4位:「フィッシュストーリィー」  
5位:「スタートレック」
6位:「カールじいさんの空飛ぶ家」
7位:「レスラー」
8位:「ディア・ドクター」
9位:「愛のむきだし」
10位:「ハルフウエイ」
 
アロハ 
1位:「サマーウォーズ」
2位:「ディアー・ドクター」
3位:「南極料理人」
4位:「母なる証明」
5位:「精神(ドキュメンタリー)」
6位:「あの日、欲望の大地で」
7位:「愛のむきだし」
8位:「グラントリノ」
9位:「ラースと、その彼女」
10位:「3時10分 決断の時」
 
もん「…なるほど、事前に打ち合わせなしの割には、何作品か。
   かぶってますね。実は正直、この企画の前に、
   まったくかぶらないんじゃないかと、思ってたんです…」

アロハ「それは、なぜですか?…僕は、先に言ったように…
    今年は落差が激しいってところ、おんなじ感想だから、
    選ぶとなるとかぶらざる負えないかな…と」

もん「そうですね。その面白い感覚って、人それぞれで、
   それを言ったら同じなんだけど まあそれでいいわけで。
   …でも、それでも、やっぱり観ておくべき、
   面白いものというものは絶対にあって、
   その面白いものを見分ける力もあると思うのです。
   その意味では、お互い、その力はあるということで(笑)」

アロハ「…でなけりゃ、年末にこんな
    愚にもつかない対談しませんよね。
    自画自賛ぽいですけど」

もん「ただ、お互い、今年の全部を観ていない。
   だから漏れてるかもしれませんし、厳密に順位というのは、
   つけられないもんだから、
   そこんところは、大目に見ていただくということで…
   でも、せっかくですからこの場、2人のお勧めということで、
   決められたらベスト3くらいきめましょ。」

アロハ「確かに… それでお願いします」
 
もんや「まず1位…ははは お互い相当観ているのに… 
    見事に…おんなじですね」

アロハ「おなじですねえ… この作品は気持ちエグラレましたね。
    これがオリジナル脚本というのはもうすごいですね。」

もんや「時をかける少女…で資金が集まったそうですからね」

アロハ「田舎のお盆休みとバーチャルな世界 
    この対比の着想がすごいし、老若男女が楽しめる
    物語に仕上げているところがすごい」

もんや「僕、この映画の感想を人に話す時に…
    泣いちゃってんですよね。ぼろぼろ。」

アロハ「どのあたりで」

もんや「…隠し子、侘助が、ばあちゃん訃報聞いて、
    戻るところ…あそこ!…あそこはやばい!」

アロハ「僕は、なんと言っても、少し内気な理科系男子の、
    小磯健二クン。よそ者の彼が、最後まで奮闘する、
    そこに共感した。侘助クンもそうですが、
    いまの若者のキーワードは“疎外感”だと思うんですよ。
    そういうと、ネガティブな形容詞ですけど、
    その疎外感も時と場合によっては、
    生きるエネルギーに変えられるってことが伝わってくる」

もんや「ばあちゃんの愛?」

アロハ「そうそう」
 
もんや「じゃあもうこれは、もうお互い大絶賛ですから。
    文句なく今年の1位でよろしいいですかね?」

アロハ「そうですね」
 



■■ 1位 「サマーウォーズ」 ■■

 
もんや「2位は かぶってますけど、 
    順位が違う… 点数化してみると…次が、母なる証明」

もんや「ポン・ジュノ監督大好き。
    待望の新作で、楽しみにしていました。
    やっぱり、ただものじゃない」

アロハ「世の中の倫理観とか、無視して、自分の信じる道、
    進む主人公…好きなんですよね」

もんや「…母の愛…ですね」

アロハ「今回は、そうですね」

もんや「ラスト前の草原のダンス…どう見ますか?」

アロハ「…あれは、監督の観客への挑戦ですね。
    だから、冒頭にも印象的に使ったんでしょうね。」

もんや「…演出ですよね。バスの中で最後…乗客に合せて踊りだす
    あのシーンとは、ニュアンスが、違いますよね。
    原題はMATHERだけ。
    そこの邦題は“証明”をつけた。センスあるなあ」

アロハ「キム・ヘジャとウォンビン…役者としては両方すごい。
    ちょっと意地悪な質問ですが、
    あえてどちらの演技がよかったですか」

もんや「それは もう ウォンビンです」

アロハ「なぜですか?」

もんや「母の演技は極論言えば、ほかにできる
    韓国女優がいると思います。
    でも、あの精神薄弱さの演技は、
    できそうで誰にもできないところを感じました」

アロハ「少年の無邪気さの怖さ」

もんや「日本の俳優も見習ってほしい(笑)」
 
アロハ「では、第2位で」
 


■■ 2位 「母なる証明」 ■■

 
もんや「次は、ディア・ドクター。アロハさんが進める根拠は?」

アロハ「もんやさんにとって、ポン・ジュノが
    タダものじゃないように、
    僕にとっては西川美和監督がタダものじゃない」

もんや「蛇イチゴ ゆれる … 西川監督、進化してますか?」

アロハ「してますね。全体的に、人間って不可解…
    てところの描き方がより深かったです」
 
もんや「問題はラスト。ここは触れずにおけないですね」

アロハ「その前に…いいですか。
    僕どうしてもいいたいんですが、
    “人間って不可解”ってことが、
    登場人物すべての設定に表れていました」

もんや「みんなひと癖ある。特に後半の事情聴取…
    あの辺りの描き方はタダものじゃない」

アロハ「普通なら、ああいう演出はしないですよね」

もんや「…っていうかできない。
    余貴美子さんの看護師役なんて、
    相当に微妙で難しい役柄に設定している」

アロハ「監督自身この作品は、ゆれるで大成功を収めて、
    周りから過度な期待を受けていたことに
    対しての答えって言ってます」

もんや「期待に応えるってことは、演じるってこと。
    そこを突き詰めると、ほんとうの
    自分じゃないところも見せてしまう。
    その思いを登場人物に投影させたと…」

アロハ「そうです…あと今回は“灯り”…この演出方法が秀逸です。
    鶴瓶演じる伊野医師が持っていたオヤジのペンライト…
    夜になると電灯ひとつない真っ暗な村の風景の中で、
    微かに輝くスーパーカブのライト…
    ここに彼女の繊細なこだわりが…」

もんや「さすが、お勧め。気合いはいってますね。
    …で、その灯りは、なにを表現したかったのかな?」

アロハ「人のよりどころ…を表現していた
    ペンライトは息子のよりどころであり、
    カブのライトは、村人のよりどころ。」

もんや「なるほど。よりどころ…といえば
    一番は八千草薫演じる、かづ子さんが伊野医師のよりどころ…
    なんでしたかね?…だからあのラスト?」

アロハ「その通り」

もんや「僕は、あのラストは違和感あったんですけど」

アロハ「人間の不可解さがテーマですからね。あれでよかったんですよ」
 
もんや「いいんですか 3位で(笑)?」

アロハ「はい」
 


■■ 3位 「ディア・ドクター」
 ■■ 
 
 
もんや「では この会の順位つけは ここまでで。
    ほかに挙げた作品でのお勧めコメント…まあ、
    全部観て欲しいけど、あえてひとこと言いたい放題で」
 
アロハ「“南極料理人”…男子寮のようなふじドーム基地で
    くりひろげられる汗臭い南極生活。
    見所はラーメンから伊勢エビまで、
    バリエーション豊富な料理の数々
    あと、パンチラ盗撮、破廉恥、お下品満載ながらも、
    溢れんばかりの愛を感じさせてくれた、“愛のむきだし”…
    家族の崩壊と再生の物語、“あの日、欲望の大地で”
    これは、なにせ衝撃のラスト!!
    シャーリーズセロンが、冒頭から裸!
    …彼女の過去がラップしての展開。
    ありきたりな不倫話しをここまで引きこませるのは
    大したもんです。」
 
もんや「全部観ろ!ですが…
    伊坂幸太郎原作の“フィッシュストーリィー”。
    映画化としては、“アヒルと鴨のコインロッカー”に並ぶ、
    お気に入り作品です。
    今年は、重力ピエロとラッシュライフは、観なくて良いので、
    こっち観て欲しい。
    来年のゴールデンスランバーが楽しみです。
    
    ハリウッド系では、“スタートレック”。
    …バットマンや007シリーズと同様に、
    やっとリメイク重ねてよくなった。面白かったです。
    そして“ハルフウェイ”…北乃きい…おそるべし演技です」
 
 
もんや「ありがとうございました。
    このお互いのランキングは、厳選のお勧め作品ですから…
    このまま続けると夜が明けてしまう(笑)

    …来年もやりましょうね」

アロハ「ぜひ。呼んでください」
 
 

とにかく黙って、観るべし 読むべし

投稿日時:2009/08/19(水) 21:44

8月17日 月曜日 
…お盆休みが終わったのと同時に
…風が変わりました。
 
日差しは、まだまだ夏の勢いがあるのに、
蝉もじゃんじゃん鳴いているのに…
感じる風が涼しくなってしまった。
 
季節の変わり目の中で、僕は、
この瞬間がいちばん悲しい。
他の季節は、なんとなく終わり、
なんとなくそれなりに、
次の季節がやってくる感じなのに、
夏の終わりは、わかりやすく訪れる。
 
そこがまたなんとも悲しい。
 
そのうちに、秋の気配が色濃くなってきました
…なんて言い始めるのだろうが、
 
この風の変わり目を感じると、もう、
僕の気持ちは充分、秋となってしまいます。
 
これから年末大晦日までの季節は、
嫌いではないのですが、
また1年も夏を待たなければ
ならないと思うと、どうにも悲しい。
 
いっそのこと歳が改まったら、
梅雨に入り、2月からまた夏になればと思う。
 
そもそも、正月から3月までは、
どうにも白っちゃけていて、盛り上がりに欠けるし、
春…と持てはやすが、自然界はまだ寝ている最中に、
狂い花「桜」で強引に盛り上げても
それほどの感慨はないのではないか。
 
どうしても というなら 
桜は 元旦あたりで ばあっ!! と
おめでたく咲いてもらってもいい。
 
とにかく 桜が散ったら すぐ梅雨で… また夏
…とならないものか。
 
こんなくだらないことを真剣に考えるほど、
この風の変わり目は悲しい。

休みが終わり、会社に行きたくないなあ…と思って、
行き始めると…それはそれでまた変らぬ日常。
 
…で また週末。 

そんな週末は、お出かけしないでご自宅で楽しみませんか。
 
 
◆◆◆
 
「故郷の香り」 

という中国映画 



 
中国現代文学の巨人…莫言(モォ・イェン)の原作とか、
「山の郵便配達」のフォ・ジェンチィが監督…とか、
まあそういう注釈を書けばキリがあるいませんが、
そんなことは、ネットで適当に調べてください。
 
そんな注釈とは、関係なくこの映画は素晴らしい作品です。

僕は、見終わって、しばらくの間、ボーっとしてしまいました。
 
中国映画をアンディーラウやジェットリーや
金城 武だけだと思っているのは大きな間違いです。
 
最近の「ラストコーション」 や 「エグザイル/絆」 
なんかを観た人はもうご存知だと思いますが、
今の中国映画は、とてもいい感じです。
 
閉鎖状態が長かったせいで、表現の自由や技術レベルが、
韓国よりは遅れていましたが、
ここにきて、見事に進化されています。
 
ああ…そういう注釈はどうでもいいですね。
 
 
ある青年が、故郷に帰郷します。 
そこから物語りははじまります。

そんでもって、初恋の女性とすれ違います。
初恋の女性は、もう故郷の村で結婚していて、
女の子の母親でもあります。
 
その旦那が 香川照之…そうあの日本人俳優。
青年は、彼女の家を訪ねます。
 
香川扮する夫は言葉が喋れません。 
貧しい暮らしです。
 
そこまで見せて、映画は3人がまだ若かった頃
(といっても数年前)を描いてゆきます。
 
…細かく書いてしまうと申し訳ないし、
あの空気感を表すなんて無理なので止めます。
 
とにかく、ラストまで観て欲しい。 

絶対に損はありません。
 
◆◆◆
 
「悪い男」 

という韓国映画
 


これは、すごいです。 
 
キム・ギドクは、べネチュアに出した「受取人不明」から
評価を得た監督ですが、こちらは薦めません。
 
戦争の影と地方のあり方みたいなメッセージが中途半端で、
出来損ないのATG映画のような
陰湿な猥雑さが、まだ消化されていない感じ。

でもわずか1年で「ここまで進化するのか!」という
驚きの完成度が、この「悪い男」。
 
ヤクザな男がお嬢さんを見初めます。
お嬢さんを嵌めて、売春婦にしてしまいます。
その展開にびっくり。
 
女は、男を憎みます。
でも、それでも男は純愛です。
 
話の真ん中まで、男はひとことも喋りません
(ギドク作品にはこういうの多い・笑)
…でも、その理由がわかります 
ここでびっくり。
 
男は女を逃がします。
でも、女は戻ります。

なぜ?

…このあたりの心象描写と女優の演技はすごいです。
 

売春宿の小部屋 マジックミラー 雨の日の花の鉢植え… 
映像も素敵です。
 
人のいない海岸で、少しファンタジーな仕掛けが 
見る側を惑わせます…こういう仕掛けもお洒落。
 
この映画、日本の監督さんや脚本家なら、
「ここで終わりにするだろう」というシーンが2回あります。
 
でもギドクはそこでは 
…そこでも終わらせません。
 
ラスト…これまた 
なかなか 「悪い男」
 
ちょっと余談ですが、
 
最後の最後
走り去るトラックを空撮で引きで…の絵 
…エンドロールにつながる 
このセンスは そうとうに
お洒落です。
 
 
◆◆◆
 
 
「最も遠い銀河」 

白川道 小説
 

 
「1Q84」も「運命の人」も「鷺と雪」も「骸骨ビルの庭」も
…それぞれに楽しませてはいただきましたが、
いまひとつ消化不良でした。
 
そんな中、文句なしに 
今年のいまのところのNo1はこの作品。
 
主人公の幼少期や 過去のトラウマが 物語の軸をなす 
…こういう作品を 僕は「砂の器系」と呼んでいますが、
この「最も遠い銀河」もジャンルは砂器系。
 
作者 白川氏曰く 
「自分が面白いと思うことが、読者と合致しなければ止めるだけ」
「生活のために本は書かない」
 
さすが、もと犯罪人(笑)
 
しかし、ほんとうに面白いので恐れ入ってしまいます。
 
ストーリィーは才能にも容姿にも恵まれた建築士と 
小樽のリタイアした元刑事 
この2人の話が、テレコで展開します。
 
主人公はもちろん 脇に出てくる登場人物が 
みんな魅力的で…総がかりで
話を盛り上げてくれるもんだから 困ります(笑)
 
実は、途中から、このもと刑事のおっさん 
…どうしてここまで、この事件に執着するんだ…と
思えて仕方なかったのですが、

ラスト近くのあるシーン 
「500円玉のシーン」と呼びましょう 
このシーンの話の進め方で 
そんなフラストレーションも吹っ飛んでしまいました。
 
 
上下段で1000枚を優に超える文章量で 
この面白さ 

…ありがとうございました。
 

知らずに死ねるか Vol,8

投稿日時:2008/11/05(水) 14:32

~ 思い出の映画はなんですか? ~
 
 
学校の体育館で「映画」を観た思い出はありますか。
秋の文化祭の学校行事のひとつ。
僕は、中学と高校の2度の思い出があります。
 
高校時代は、生徒会主催の任意参加のプログラムのひとつでしたが、
中学の鑑賞会は、学校側の主催。
全校生徒集められて、体育座りでの鑑賞でした。
 
「もんやあ~今度の文化祭…映画上映するんだけど…なにがええ?
 こんなかから選んでくれんかなあ~」
 
と、中学の担任の先生から頼まれた僕は、
業者からもらったリストを渡され、困った思い出があります。

自分が観たい作品ならどうとでもなるのですが、
全校生徒と先生が鑑賞するとなると、趣味で選ぶというわけにはいきません。
 
また、そのリストなんですが、いわゆる“文部省”が認定やら推奨やらしているものばかりで、そもそも、面白くない。
ちなみに、当時は昭和50年。
劇場では、百恵&友和とブルースリーが人気を二分していた時代。
 
「初江!飛んで来い!」と「アチャア~!!」を求めて、
みんなが映画館に押し寄せていた頃です、
そこに、文部省認定では、どうも気が利かない。
 
「先生。無理です」
 
と一度は、断りに行ったのですが、
 
「まあ、そういわないで、頼むわ。ちなみに先生は吉永小百合が好きだなあ~」
と押し付けられてしまいました。
 

僕なりの責任感で、悩んだ末に選んだ映画は2つ…
 
「戦艦ポチョムキン」と「キューポラのある町」
 
ポチョムキンは「1次大戦下、上官が兵士に“蛆を食え”と
強要することで起る、船の上での兵士たちの氾濫を描いた
ロシアのモノクロ作品。
同じ、戦争モノでも、アメリカ活劇系を選びたかったのですが…
リストにはなく。
 キューポラは ご存知、サユリスト垂涎の初期作品。
 
「なるほど…わかった。あとは職員会議で決めるわ」
 
となり、結局…ポチョムキンが上映されることになったのですが、
これが、まあ大失敗。
 
テーマも映像も暗すぎて、全校生徒相手の上映会にはまったくそぐわない。
上映後に、感想文を書かされるのですが、後で聞いたら、

「蛆を食わせる上官はひどい!」
「乳母車が落ちるシーンは残酷すぎる」
「なんで、この映画を上映したのか意味不明」…
 
などなど、生徒からは、文句の嵐だったそうでした。
 担任の先生は
 
「オレはキューポラを押したんだけど、歴史の先生がなあ~」
 
などと、フォーローにもならない慰めを頂きました。
数年前に中学の同窓会で、この映画の話になり、
 
「実は、オレが決めたんだよね」
 
というと、

「あれから、戦争映画が嫌いになった」だの、
「帰って、あの蛆のシーンを思い出し、メシが食えなかったんだよな」だの、
 
四半世紀をすぎてなお、文句を言いいたくなるほどの
インパクトだったのかと、改めて思い知り、
子供の心はいろいろ焼きつくものだと、へんに感心したりもしました。
 
高校に2年の頃、また文化祭の前。
校内放送で呼ばれ、生徒会室にゆくと、
 
「おまえ、映画詳しいだろう…今度の文化祭で上映作品決めるんだけど、
オブザーバーで参加してや」
 
と1年先輩の生徒会長のことば。
今度の相手は、上級生といえど、同じ生徒。
これはハナから断ろうと、
 
「クラブの出しものと委員会の出し物で忙しいから、無理です」と。
 
ちなみに、クラブはテニス。出し物は
 
「好き!好き!好き!藤堂さん!ひろみは今日も負けないわ」
 
男女で参加、ダブルストーナメント。
これは、事前にチラシまで作って配布したところ、
1日じゃ終わらない組合わせ数となり…大盛況。
 
委員会は、放送部主催の“イントロ当てクイズ”
当時の、洋楽のヒットナンバーをかき集めて音楽室で一日中開催。
両方とも、企画した責任があり、実行委員長をしていたので、
ほんとうに時間はなかったのです。
 
「明日の放課後に決めるから、とりあえず、
このリスト見てアドバイスくれるだけでもいいから」
 
でたあ!!リスト!
 
それでも、断ろうとすると、今度は副会長が…
 
「おねがい…わたしたちだけじゃ…決められないの」
 
ときた。…結局、引き受けることになったのは、
この副会長が僕の憧れの君…だったという…まあそういうことで。
この判断基準に間違いはない…曇りはよこしまでも、抗うすべはない。
 
さて、高校時代は、角川映画とハリウッド映画全盛。
 
「ママぁ~僕の麦藁帽子…キスミー!」と「フォースの力のあらんことを」
 
で沸き立っていた映画最盛期。
 
しかしその晩、家に帰り、渡されたリストを見ると、
やはり、あいも変わらず…認定と推奨の作品群。
 
…ああ!またもや…と悩んでいると、
我が家に電話が…相手は…あの副会長
 
「あのね。文化祭には県の教育委員会の方もいらっしゃるらしいの。
だからね。あんまり過激なものはダメだと思うのよ…」
 
用件だけの電話とはいえ、舞い上がる僕…その晩は遅くまで、
このリストと格闘することに。
今のようにネットでの検索ができなくても、
映画に関する書籍は豊富でした。
 
といあえず、高校生にふさわしい感じで…
蛆はでてこなくて、乳母車が落ちなくて、氾濫もなしで…
見終わった感動を… 
スクリーンが暗転して、僕に、駆け寄る副会長…
 
「よかったわ…あなたに頼んでよかった」
 
見詰め合うふたり… ぼくの健全なよこしまパワー…
 
翌日の放課後…生徒会室…みながそれぞれに選んだ映画を、
その理由も交え発表、ああじゃこうじゃと言い合いながら、
最後は決に。
 
残った2作品は
 
「スケアクロウ」とまたもや「キューポラのある町」
 
ちなみに、事前に僕が選んでおいた作品は
 
「イージーライダー」と「誰が為に鐘は鳴る」
それに「哀愁」と「我等の生涯の最良の年」
 
どうして、こうなったかというと、
僕はあくまでもオブザーバーだということ、
加えて、僕の挙げた作品を生徒会役員誰もが知らないということ、
加えて、生徒会担当の先生が、
またもや吉永小百合ファンであったということ。
 
このまことにお茶目ないくつかの理由で…
僕の、ほとんど徹夜の夜は意味をなくしてしまいました。
まったく、やる気をなくしている僕に、
 
「もんや君は、どっとちがいいと思う」
 
と副会長の優しい投げかけ、
 
「こういう時は キューポラでしょう」
「こういう時って?」
「いやあ、経験上、ですかね」
 
…結局…上映は「スケアクロウ」になりました。
 
負け惜しみではありませんが、
僕もスケアクロウは大好きな映画です。
ジーンハックマンとアルパチーノのロードムーヴィで、
アメリカンニューシネマが終わらんとする、
最後の時代の傑作だと思います。
 
こちらの上映後の評判は、可もなく不可もなく…だったそうです。
 
まあ、とにかく…文化祭の上映会には縁のない僕でしたが、
思い出には残っているそんな話でした。
 
 
 
そういえば吉永小百合の新作が公開になるそうで。
 
吉永小百合は…なんというか、女優さんという枠を超えた、
ひとつの日本文化のカテゴリーです。
やはり日本人なら観ておかなきゃならない域にあるというか、
そういう女性です。
 
出演作も数多く、ファンの数も膨大…
論じられた機会もいまさら語る余地はないほどですから、
簡単に、取り上げることはしてはならず、
とてもデリケートな位置にいる女優さんでもあります。
 
僕は、彼女の100を越える出演作の半分くらいにしか、
目を通していませんから、
あくまで、その範囲内でのお勧め、僕が面白いと感じたというだけの範囲で…
 
 
◆◆◆
 
「愛と死をみつめて」

日活時代の初期作品としては、やはりこれは外せません。
 
ストーリーは言わずもがなですが、なんと言っても、
小百合さん全編…顔が包帯に包まれていてもなおの美しさは、感動します。
正確には、顔の全部が登場するのは初めだけ、
あとは、片目に眼帯~顔半分に包帯~最後は右目と口半分以外は包帯~と
そのほとんどが包帯に巻かれての演技です。
 
特に後半、顔半分の包帯部分を病室のカーテンに隠し、
こちらに顔を向けるシーンなどは、モノクロなのに、総天然色か!と
ドキドキするほどの神々しい美しさ。
 
実際、いま思い出しても、この映画…カラーだったかな?
という記憶なのです。
 
相手役の浜田光夫の好演もよく、どんどん引き込まれてゆく、
純愛映画の傑作です。
小百合さんの関西弁や当時の大阪の感じも伺えて、
いろいろ勉強になる映画でした。
 
「泥だらけの純情」
 
この小百合はお嬢様ながら…強い女。
またまた、浜田光夫を一途に想う女。
チンピラと道ならぬ恋のお話し。
 僕は後半、逃避行中の会話が好きです。
 
「英語って…何語か知っている?」
「ザ・ピーナッツは、何語でしょう?」
 
などと、駄洒落のクイズで恋人を励ます小百合、
なかなか見られない光景でした。
 
「天国の駅」
 
好きですね。この映画。自慰行為や濡れ場も多く、
世のサユリスト震撼させた、中期後半の作品です。
中村かつおと津川雅彦が…小百合さんとの濡れ場に
狂喜乱舞してやる気を出したというお話しです。
 
実際、2人の夫を殺害し死刑となった女性の実話をもとにしていますから、
今までの小百合さんにはなかっつた情念
(それでも抑えた感じ)を演じています。
 
彼女を慕い、守らんとするのが…若かりし西田敏行…
もう「容疑者X…」が裸足で逃げ出す“献身”ぶりは、すごいです。
確か、四万温泉と箱根登山鉄道のロケでの…温泉場が部隊、
秋の紅葉もさることながら、雪の中を馬に揺られる小百合さんの花嫁姿…
川にかかる赤い橋のシーンの空撮は、見事です。
 
 
「夢千代日記」

これも温泉場が舞台。映画では兵庫県の「湯村温泉」…
小百合さんは置屋の女将です。
母親の胎内で“ピカ”を受けたせいで、
余命のない女の生き様を清らかに演じます。
 
これは、NHKのドラマや舞台と、
もう小百合さんのライフワークとも言える作品となってしまいました。
実際、ドラマの評判の方がぜんぜん良いのですが、
それは尺の問題でもあります。
 
死の間際の、つかの間の逢瀬…北大路欣也の腕に抱かれ、
女を取り戻す小百合さんが秀逸。
 
余談ですが、この映画では、余部の鉄橋(山陰本線)が
印象的に使われていて、いつか訪れてみたいと願っていましたが…
コンクリートの橋に付け替える工事が…
確か今年から始まったらしく、どんな姿になるのやらと心配しています。
 
 
「時雨の記」

小百合さんの最近モノでは、1番です。不倫~純愛…
こういうことならありなのか…と心に染みる話しです。
そりゃあ…いくなあ…渡哲也という感じ。
男のあこがれなのかもしれませんこのパターン。
 
ネタばれにしたいところですが、止めます。
観たほうが早いし観ないとわからない。
 
 
◆◆◆
 
 
思い出の映画の話をするところを、
吉永小百合さんのお勧めになってしまったのは、
中学と高校の先生のせいです。
 
ともに、キューポラというところが、先生ぽくて…笑えます。
「青い山脈」にしないところも…
今となっては、なんとなくわかる気がします。

知らずに死ねるか!VOL.7

投稿日時:2008/10/16(木) 03:10

~  悪役の色気  ~

 

僕の家の戸棚の中には、ここ20年くらい

撮影した写真が、たくさんあります。

デジカメは持っていなかったので、ポジフイルムか紙焼きの状態。

そのほとんどが、自分で撮影したものだから、

当然、僕自身が写っているものはほとんどない。

 

いつか、どこかで、誰かと、何かをした記憶が、

整理もされず乱雑に収まっている。

 

DEPで頂いた、簡易なアルバムに差し込まれているのは、

まだましな方で、そのほとんどがなんとなくゴソッ

積み重なって放置されている。

 

たまには、整理してみようと思わないでもなかったのですが

未だ、変わらず。

根がものぐさのせいか、

いや、確実にものぐさのせいであります。

 

最近、お見舞いなどで、懐かしい友人の来訪がある時は、

「彼や彼女との記憶」に関する写真など用意しておこうと思い、

戸棚を開けるのですが、そのあまりの乱雑さに、

目的の写真を探すのが一苦労。

 

そもそも、記憶が曖昧で、

その彼や彼女を

いつ、どこで撮影したのか

どんな風景だったのか

なんてことも分からず、

なんとなく思い出しながら

探しているわけですから、無理があります。

 

結局、見つからないこともほとんどで、頓挫します。

 

今週は、リクルートに入社した頃の同僚が、

訊ねてくれるというので、

「たしかこのあたりにあったはず」だと、

写真の山と格闘しました。

 

しかし、お目当ての写真は見当たらず

お目当てではない写真ばかりが見つかります。

「おおっ!」


「懐かしい!!」


「若い!!!」

などとひとりで口にしながらの作業は、時間ばかりかかってしまい

いつの間にか本来の目的とは、ずれてゆきます。

 

13年前、初の闘病の後、休暇をとって

奥さんと奥さんの母親と行ったスペイン旅行。

 

ああ、ここはマドリッドのホテルだなぁ~

夕方のラウンジでお茶を飲んでいたら

 

◆◆◆

 

ドレスアップしたスペイン人の男女が

ラウンジ近くに集まってきました。

初めはカップル同士での待ち合わせか?などと思いましたが、

その数がどんどん増えてゆき

総勢20人くらいになってゆきます。


男女とも、20歳後半くらいの感じです。

結婚式の2次会

しかし、新郎新婦は見当たりません。

男同士、女同士が知り合いといった空気もなく

そこかしこ、なんとなく会話はしているのですが、

妙によそよそしく見えない風でもなく。

懐かしく声を掛け合う様子もないので、

同窓会というのでも違うし

 

なんとなく眺めているのには訳がありまして、

そこに集まっている男女が皆さん、

「美男美女」ばかりだったのです。

スペインのイケテイル集団

しかも、目的不明。

気になるじゃないですか。

 

男子は全員フォーマルなタキシード。

女性はカラフルでゴージャスなドレス。

しかも、全員がモデルばりのルックスにスタイル

いやでも目立ちます。

 

スペインの美形というのは、エキゾチックです。

目鼻立ちは際立ち、彫りはあくまで深く。

肌は浅黒く、野生的。

 

男子は剃り残した髭に

少し乱れた感じの長髪。

女子は、長い黒髪を束ね、

豊かな胸元を見せつけています。

 

中には、いわゆるアングロサクソン系の正統派2枚目や、

色が白くブロンドでチャーミングな女性も、混ざっています。

 

僕が座っているカウンターからは少し距離があり、

何を話しているかは、聞こえません。

もっとも、仮に聞こえたとしても

スペイン語はわかりませんから意味はありません。

 

そのうち、スーツ姿のひとりの女性が

大きな声でなにかを喋り始めました。

その女性は、手に書類らしきものを持ち、

その書類を見ながら、声を張り上げています。

 

どうも、名前を確認しているようです。

呼ばれた男女それぞれが、手を上げて返事をしています。

気がつきました。

 

これは合コンだ!……「スペイン風合コン」 

 

そしてここが集合場所。

このイカシタ集団は、

これから恋が芽生える集団なのです。

 

もしかしたら、異業種交流会か、

なんかだったのかもしれませんし、

点呼の後、バスに乗って

どこかのファッションショーに出演する

モデルの集団だったのかもしれませんが、

ここは合コンということにしました。

 

だって、その場には、

「オレッてどう?」


「ワタシはいかが?」


的なオーラが満ちていましたから。

こういう場面に出くわすと、

どうでもいいことを考えてしまいます。

 

この中に混じって遜色のない

「日本の芸能人」は誰か?

合コンですから「戦えるルックスの日本男子は誰か?」

年齢はさておき、ルックスだけで考えると、

いわゆる日本イケメンでも通用するか否かは限られます。

 

※13年くらい前の話ですから、

当時は違う面子を想像していますが、

分かりにくいため、今時に変換してお伝えします。


福山雅治やぐっと若くして、

三浦春馬君タイプは無理です。


サラッとしすぎ…スパニッシュな女性陣には物足りないでしょう。


小栗旬君もダメ

山ピーも赤西君も同様。


キムタクやもこみち君は

うーんダメだな。


顔の縦のラインに「気骨」を感じさせ

さりとてオリエンタルな色気があるタイプ。


岡田准一君や松ジュンなんかは合格かな、

合格だねえ~合格。

そんなことを日本人代表として考えていると、

ベストな日本男子が見つかりました。

 

「竹野内 豊」 彼がベストです。

 

竹野内 豊は 

まさにこのPATYにはぴったり、

必ずスペイン女性を虜にしてくれるでしょう。

 

よかったよかった。

 

◆◆◆

 

 

演技派といいますが、名優と呼ばれる

俳優さんには共通点があるのではないかと思います。

昔、大手の映画会社が映画を製作していた時代、

看板役者さんは、いろいろな役にチャレンジしています。

 

たとえば、大映の看板スターのひとり市川雷蔵。 

 

剣を持っての立ち姿の美しさは、

最高と評された役者さんです。

眠り狂四郎シリーズなど観ると、

時代劇の昭和のヒーローここにありという感じです。

 

僕個人は、雷蔵ものとしては、

彼の数少ない現代劇の映画が好きでして、

中でも 「陸軍 中野学校シリーズ」がお気に入りです。

 

昭和の混乱の時代、シナ占領~真珠湾までの時代の中で、

誕生した日本発の「諜報部隊」を描いた作品です。

 

当時の陸軍からは「へなちょこ」と揶揄されたスパイ活動。

そのスパイを養成するべくひとりの陸軍士官(加東大介)が

立ち上がり、学生を中心に「スパイの育成」を始めるのが第1話。

 

2話以降は、雷蔵が実際のスパイとなり、

日本や上海、香港などで活躍する姿を描いています。

 

今までになかった組織を作るのですから、

この学校では、ありとあらゆることを叩き込まれます。

英語を初めとした外国語。通信機やカメラの組み立て、

各種薬の配合や尾行術。

なかには現役の泥棒を講師に迎えた、金庫の錠前の破り方や、

女性の裸体図をもとに性感帯とはなんぞや(笑)

…なんてことまでまじめに。

 

それでも、愛する婚約者はもちろん母親にも告げず、

戸籍を消去し、正当な軍部からは疎まれ、

それでも、受けた指令をまっとうすべく、立ち向かう雷蔵。

 

ストーリーも面白いので興味のある方はぜひ。

大きなレンタルショップにはあると思います。

「陸軍中野学校」

「雲1号指定」

「竜3号指令」

「密名」

「開戦前夜」

 

雷蔵の代表作、眠り狂四郎シリーズの前、といえば、

 

映画「大菩薩峠」です。


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 ※楽天レンタルは、会員登録(無料)が必要です。

 

 ※本日16日、13:00まで片岡千恵蔵主人公の

 レンタルDVDを紹介してました。スミマセン!




ここでの雷蔵は、のっけから、

辻斬りで罪なきおじいさんは切っちまうわ、

奉納試合の相手の奥さんは手篭めにするわ


剣は達人ながら、正確は最悪という人物を演じます。

シリーズを通して、僕としてはストーリーがつまらないので

お勧めはしませんが、市川雷蔵を大スターたらしめた

いわば出世作。

美形スター雷蔵の伝説はここから始まったのでしょう。

 

ここで「悪役」を演じたことが

彼のイメージを確立したのだと思います。

 

「綺麗なだけではない役者」「妖艶な怖さ」

とでもいう彼のイメージを。


市川雷蔵などは、演技力がどうこう評される役者さんではなく、

その存在感で飯が食えるタイプ…


> 大菩薩峠でも、 奉納試合に手心を加えて欲しいと

頼みに来る奥方(若かりし中村玉緒…目力がすごい)に、


「お家のために、拙者の武士の魂を捨てろと言うが…

 

 そなた女の操を捨てる覚悟はあるのか」

 


と訳の分からぬこじつけで追い返したと思ったら…

下働きの男に命じ、奥方を拐かし…

水車小屋で…あれぇ~帯がしゅるしゅる…

にもかかわらず奉納試合では、旦那さんを一刀両断にする。


なんて非道やつだと思っていると…

殺された旦那の家臣たちが仕返しにくることを告げに、

奥方がやってきて…

 

「あなた剣はお強いけど女にもお強いのかしら」と…

「私とどこか違う場所で暮らして」


という展開になる。(笑)


> この間…雷蔵はセリフはほとんど喋らない…

黙って“苦味走っているだけ”で

周りがどんどん話を進めてくれるのです。


またどんなに理不尽でも、

雷蔵ならば許せてしまうのですから、

そういう存在感はずるいなぁと思います。

 

同じ存在感でも雷蔵の“静”に対して、

“動”なのが勝新太郎。


当時の大映2代看板スターですが、タイプは正反対。

 

顔や体型以前に…

あの押し出しが強烈な役者さん。

「悪名」「兵隊やくざ」などのエネルギー全開の演技は、


 


観るもの巻き込む強さがあり飽きさせません。

当時の観客は、“円月殺法”と“仕込み杖”

対決させたらどちらが強いかなんて言っていたのでしょうか。

 

高倉健さんは雷蔵タイプ…

背中見せているだけで話が進みます。

 

ただ、雷蔵のような“非道な悪役”は終ぞ演じなかった。

「網走番外地シリーズ」「任侠シリーズ」一貫して…

男のあるべき姿を背中で泣いてる唐獅子牡丹。

僕は、東映から松竹や他の映画会社の

現代モノの作品に出始めてからの健さんが好きです。







>マイベストは

 

「海峡」









「駅 STATION」









「夜叉」









「冬の華」









君よ憤怒の河を渡れ」

 


「野性の証明」

 








また、テレビドラマへの出演は数は少ないですが…

 チロルの挽歌」 の健さんが好きです。

 

国鉄の技術職員の健さんが奥さんに逃げられ…

北海道に赴任…リゾート開発に携わるという話。

 地域復興の目玉がチロル村…

ヨロレイホゥ~ですね。


> 観光客目当てにプロジェクトを進める市長と商工会の面々…

対するは「土地は売らねー」と言い張る牧場主


…こう書くとお決まりの構図かと思いきや、

そこに逃げた女房とその男が絡んできますから、

話はややこしく…情けない健さんも楽しめます。


背中を見せている暇などまったくなく…

よく喋り感情も露わに奮闘します。

> 脚本、山田太一


> 健さん(裕次郎さんとかも)などは稀ですが、

役者さんの真価は“悪役”にこそあるのではと常々思います。

 

現在、押しも押されぬ名優…

現役古参組と言えば…

三国連太郎、山崎務、仲代達矢さんあたりでしょうか。

 

皆さん、若かりし頃は、

だいぶんやんちゃでいらっしゃいました。

 

高倉健や裕次郎や三船さんが、正義を演じる為には

対する“悪玉”の存在が欠かせませんから、

 

ヤクザから軍人から代官から政治家まで…

ありとあらゆる悪役を演じる羽目になり…

でもその経験が芸を肥やし、

いま名優と呼ばれるまでに押し上げてくれたのでしょう。

 

逆に“正義”しか演じなかった役者さんは、

途中で消えてしまうか…

名優という誉は貰えていない気がします。

 

■緒形拳 俳優生活50年。享年71歳。

 

「齢を重ねると 力は弱くなるけど 心は強くなる

 だから(俳優)出来ているんだと思います」

 

最後のテレビドラマの制作発表の

インタビューでこう言われていました。

僕に「老いはつらい…体の力で演じることができなくなるから」

と聞こえてきました。


代表作は文芸作品や大作が多く、

老いてこその「分別」と

時折の「茶目っ気な笑顔」のギヤップは、

他の役者さんにはない魅力。

若い頃のちょっとした脇でも存在感は抜けていました。

 

彼もやはり“悪”で名を馳せた役者さん。

“日本一女衒の役が似合う俳優さん”だと思います。

 

オマージユを込めて紹介すると、

「火宅の人」 、「楢山節考」 も良いですが、









やはり 「鬼畜」

 


 

 





ベスト1は、なんといっても79年

「復讐するは我にあり」です。










殺人と詐欺を繰り返す男の逃避行…

人を騙す狡猾なインテリと

内に秘めた狂気を演じる力に圧倒されます。

 

最近の映画は主人公の行動に

“理由”を求め過ぎ、なぜそういう行動にでたのか?

を一生懸命紐解くパターンが多いように思います…

幼少期のトラウマや社会との不適合などが

その“理由”として描かれるお決まり。

その紐解きに躍起になることに終始します。

 

「復讐するは…」では、

この紐解きは一切描かれません。

だから…恐い。

犯罪者の狂気と普通の人間臭さのギャップが…怖い。

あの茶目っ気な笑顔も…余計に恐い。

 

ストーリイは、主人公の犯罪逃避行を軸に展開する

ロードムービーなので、メリハリがあって飽きません。

また、映画の見所は周りを固める役者にもあって…

父親役の三国連太郎と嫁(緒形に翻弄される妻役)

賠償光子との微妙な関係が、物語に厚く深みを与えます。

 

経営する宿の露天風呂にひとり入っている三国…

そこに小さなタオル一枚の全裸で入ってくる賠償…


「私がこの宿に残っているのは…

 あの人(犯罪者の夫)のためじゃありません…」


で始まるエロティシズムは、

日本映画史に燦然と輝く“入浴シーン”だと断言します。


とにかく面白い映画ですから…

ご覧になっていない方はぜひ。

 

◆◆◆

 

今後、竹野内豊という役者さんが、

悪を演じ、魅力が出るという話ではありません。

ただ、彼がマドリッドで合コンに参加すれば、

日本男児の面目躍如だなあ…と考えていたら、

男の色気…と顔の造りは無関係ではないか…

と思い立ち、そんな話にしようとしたら…

緒形拳さんの訃報を想い、

名優の共通点というテーマで、

盛り上がってしまった訳でした。


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