紋谷のソコヂカラ

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サッカーアジア杯に思う

投稿日時:2011/01/26(水) 22:16


僕などが分け知り顔で書かずとも
分かっている人は分かっているし、

今さらながらだしなあ 
…とは思うのですが 

やはり 
AKB48は素晴らしい… 
……!?



…いや間違えました。

日本サッカーはうまく(強くではなく)なったなあ
と嬉しくて仕方がない。
今大会のアジアカップ1次リーグ初戦 

対ヨルダン戦
を観て そう思った。

引き分けに持ち込んだ
精神力がどうしたとか
決定力がついた
…とか

そういう話ではなく
純粋にボールさばきがうまい
選手が増えたなあ~と感激した。

大げさに言うと 
今まで生きてきて観戦した
すべてのスポーツの試合で
一番心が震えたのは
“ドーハであり
ジョホールバル”であった
のですが、

実際、この時代、
試合を観ている最中は 

「…なんて下手なんだ」
と怒っていた。

W杯への出場が当たり前となってからも、
「はあ~なんて下手なんだ」といつも
怒りながら観ていた。

負けてしまうのは
点が取れないのは…

“下手=ボール扱いがおぼつかない”
というシンプルな理由以外の
なにものでもないのに
やれフォーメンションだ、
やれアイコンタクトだ

…運動量とスピードの強化で
体格に勝る相手に勝とうではないか 
…だ

どうしてもそうなってしまう
ムードや論調に辟易していた。

簡単にいえば

「大してうまくもないのに、W杯行ってしまって
 みんなが浮ついたまま ここまで来ている」

というのが2006年ドイツW杯を過ぎてなお 
僕の感想でした。


人より体幹が強くキープすると言う技術に長け 
回りを見回せる能力に優れてはいても 
スピードはなく 
自ら突破するドリブルも持っていない 
がゆえに 最後は、誰かにシュートを託さざる負えない  

そういう中田のような選手は 
歯がゆかったんだろうと思う。

それでも 中村俊介よりはフィットしたのは 
前に進むキープ力が優れていたからで 
ハーフウェイラインを過ぎたら 
クロスを上げてしまう中村よりは 
局面を作りやすかったからに他ならない。

決定力云々でいえば、
前田や岡崎が歴代の日本のFWより
巧くなったのではなく、
MFと両方の翼が局面を打開し
展開するためのボール扱いがうまいからであって、

今の全日本で言えば
遠藤 →  本田 
長谷部  →以降の
選択肢が増えたからであります。

もちろん 岡崎の裏への飛び込みのセンスや
前田の天性である 
前に進む力は好きなのですが 

たとえば準決勝の韓国のように 
ロングボールをトラップして 
自分のボールとしてコントロールして
抜いてかわして…シュート

という技術は彼らにはない。


その分、本田 長谷部の先にもうワンクッション 
…それが 香川であり 長友であり 内田であり 
彼らのボール扱いがうまいおかげで 
日本は得点を上げられていて、
ありがとうな訳なのです。

巧い選手が増えてくると試合がしまってくる
…これが観ていて何より楽しい。

やっと日本が楽しいサッカーをしてくれている
そういうことがとても嬉しいのです。

僕はW杯を除くサッカー日本代表のすべての試合は
「負けてもよいので良い試合を」と切望している。

すべての試合はW杯のための
練習試合としか思っていません。


だから、お金目的で2軍を派遣してくる
サッカー大国との親善試合などは観る気がおきません。

本気でない相手との試合に
得るものはないということで、
やるなら向こうに遠征すべきなのです。

負けたら終わりでなく、
仮に負けても「どういう試合をしたのか」
ということに意味があるのであって、
ほとんど負けていて
ごっつあんPKで勝つことがあったとしても
そういう勝ちは次には続きませんから
喜べないのです。

韓国との準決勝は久しぶりに熱くなりました。

戦略的に抑え気味の韓国に対して 
全力で動いた前半は 
ここ10年で最高の内容だと思います。

不条理な1点はおもしろいアクシデントでした。 
ああいう得点を素直に喜んでいない
韓国のメンバーを観て
(表面上はどうあれ、うーんいいのかなあ~
   という心のブレがプレッシャーとなっていた) 
ことが少しのマイナスに作用した。

逆に日本は

“なんて不運な…
頭きたけどいつも通りやるべきという
気持ちが少しのプラスになっていた。

この “少しのプラスマイナス” は 

前にかかる日本の原動力を
押し上げ同点の連携を生みます。

問題はそのあとでした。

同点のままエンドが替っての後半 
始まり~PKまでの内容は
まだまだ日本に課題があることを感じさせてくれた。

ハーフタイムを挟み
テーハミングが新たに注入された韓国相手に
中盤でのボールがつながらなくなり
セカンドボールへの対応が遅れだします。

これは気持ちを切り替えた相手に対して
中途半端に対峙した日本チーム全体の問題です。

とくにチャドゥりの上がりを受けてしまっこと
パクチソンのドリブルを受けてしまったこと 
中途半端さがこういう 受け を呼び
攻守が逆転してしまう。

日本がPKで1点を取ると
事態はさらに悪い方向に進みます。

日本がゴール前を固めるという
愚挙に徹し始めるのです。

サッカーを面白くするのは 
個人の完成された技術ですが
もうひとつは試合の流れを作り出す
リズムとバランス。

これのないチームは滅びます。

後半まだ時間があるというのに、
1点を守るためになりふり構わないというのは 
勝てばよいのだと言う

今さえよければという稚拙な発想です。 

その先に女神の微笑みはないのです。

敵陣のコーナー付近でまるで子供のイヤイヤのように
縮こまるプレーを続ける、本田と長友…

これを評価するセルジオも松木のおっさんも 
(七波はさすがに違った) 

その先になにもないことを再確認して欲しい。


「シュートにゆくな キープしろ」


この発言に同意しなかった七波が普通なのです。



ゴール前の混雑からの1点… 
この得点自体はたいしたことではなく、
まあたまたまそこにボールが来て 
そこに選手がいて…

なのですが、サッカーの試合はリズムですから 
攻守が入れ替わった時間帯が続けば 
ああなってしまう。

結果がそうだから 
こういうのではなく 
無理にキープし始めたら
おかしいというのは 

サッカーを観る人間の在り方です。



松木のおつぁん 

…嫌いではないのですが


過去の解説でも 
敵のぺナルティーエリア付近で 

「ファールをもらえ!」とよく口にします。


今回の韓国戦でも 

「ああいう不条理なPKが相手に与えられたということは、
 こちらもそういうチャンスがあるということだ」 

こういう発言はそういうものか
…と聞いてしまう小学生もいるので
ほんとうに止めて欲しいと思う。


Jリーグ発足しての名門
読売~ヴェルディー初代監督 

ラモスや加藤久さんとの内乱は
こんな低レベルな話題で起ったのではないはずです。

ついでにセルジオさん 
テレビで聴いていてなんだか
声がヘンだったのが気になったが、
もういまの日本が「やれるチーム」
であることはセルジオさんもわかったはず 

下手だった日本への辛口コメントから 
うまい日本を引き上げる解説をお願いしたいと思う。


うまくなった日本 
決勝までゆけて
また経験が増えて
たくましくなるはず。

岡崎なんて 
試合を重ねるごとにうまくなれて
幸せだと思う。


FWは失敗しても0だからまだよい。

DFはそうはいかない… 

失敗したら マイナスにつながる。


その意味では、
吉田と岩政と今野には期待したい。


それでもキューウェルあたりに破られたなら
それも仕方なし 
大きな本番への貴重な経験ですから。


決勝は オージーであります。 
あのドイツW杯での
悔しさを我々は忘れていない。

ボコボコにしてやって~いいんです!!


…でも まずは 中味。 

中味のある試合内容の先の 
“勝利”で よろしくお願いします。


※余談ですが アジアはどこまでアジアなんだろう?
だってウズべキスタンにヨルダンにオーストラリアですぜ


中国、インドをモーラしていることも考えると 
人口も世界の半分は超える勢力だし
広すぎ 多すぎ 無理があるでしょう(笑)


まあ、そういう意味では30年後は 

いや10年以内(あと2度のW杯くらいの間に)

アジアは世界を獲ることに
なると思うのであります。



 

年の頭に 年末の噺

投稿日時:2011/01/06(木) 18:12

知り合いにしっちゅう風邪をひいている男がいる。

久しぶりに話すと
「いやあ~風邪ひいちゃって」と
いつも言っている。

「いやあ 下の子が 小学校でもらってきて
    …上の子にうつって そのうちにかみさんも熱出しちゃって、
   それで、みんな治ったと思ったら 今度は ボクが… 
   39℃あるんですよ まいったなぁ」

いつも このパターン 

「小学生の風邪って キミはどこまで免疫力ないんだい?
 だいたい40歳過ぎたら高熱なんてあんまり出るもんじゃないよ。
   どこまで、虚弱なの?」

何度、こう言ったことか…

そもそも風邪なんて 暇なやつか 
気が緩んでいるやつが かかるもんで、
日々、忙しく緊張感のある人間には
寄ってこないものだ

かかりそうだの気配がしたら 

寝る 

市販の薬は飲まない 

風邪っぽくても風邪なんだと思わない 

思ったら負け 

古典的だが病は気からである。 

熱がある感じがするのは気がせい 
体温計は持たない 
熱があがったこと確認しても意味ないから…

ああ~やっぱり 9度もあるぅ~ 熱があるぅ~ 

そんなんで自分を追い込まない 
超熱燗飲む 熱い風呂に入るやいなや
布団をぐるぐる巻きにして 
頭に凍ったタオル 

寝る 
ひたすら寝る

~ ほら やっぱり もうだいじょうぶ 気のせいだった 
…こうやって乗り越えてきた

それは 風邪ひいてんじゃん!? 
…いやいや ちょっと弱っていただけ 
…風邪じゃない

風邪引いた …って 
自らそう言うのがもう逃げてる 
なんだか人生の免罪符みたいで潔くない


…… !! ……


12月24日 
世の中が浮かれている夜に調子が悪くなった

まず食欲がない このボクが食欲がない 

…? これはおかしい

頭ががんがんしてきた 咳がとまらない 
「恋と咳は止まらない」と言うが、
ぜんぜん止まらない

熱は…体温計がないのでわからない…が
額でお茶が湧きそうな感じ

いちばんひどいのは 体の節々が“攣る(つる)”のです 
脇腹 肩 旨 手足 
もうところかまわず 激痛とともに攣りまくる

これは なんだ?? 

とにかく 超熱燗 ~ 熱い風呂コースと思うのだが、 
体がお酒を受け付けない
風呂もなんだか 無謀にしか思えない

そのまま 布団にくるまり 
嵐の治まるのを待つしかない 
2日そのまま 
なにも食べずひたすら 寝ていた。

…それでも いっこうに回復の兆しがないので、
ネットで近所の内科を調べて ゲンチャリで向かう

「インフルエンザですね はいA型 だね。
 A型は辛いよね。 体温計は持っていた方がいいよ。
 熱の上がり下がりは重要で、それで、病気がわかるからね。
 …いまはよいクスリがあるから大丈夫。
 それと抗生物質と咳止め 胃の粘膜も保護しときましょ
 はい 5日分 …帰りは向こうの出口からね
 待合室の患者さんにうつしちゃいけないからね。
 …処方箋持って ここの薬局にね 
 …電話入れておくから そこでも外に持ってきてもらってね
 人と接しちゃだめだよ 今日から4,5日は保菌者だからね
 はい お大事に」


訂正:「風邪はかかる時はかかる 気の緩みも 忙しさも 関係ない
    そいつは突然やってくる 気合いでは直せない 
    人生の免罪符なんてとんでもない 逃げているなんて 
    まったくの誤解でした ここに訂正してお詫びします 
    体温計 もちろん これから常備します はい。」

◆◆◆

インフル襲来の5日前

下町に住む友人夫婦が 
クリスマスのイベントを行うと言うので 
顔を出してきました

もともと工場(倉庫?)を改築して 
イベントスペースをしつらえ、
そこでいろいろ発信しようとしているご夫婦

もとから知り合いの旦那さんは デザイナー 
奥さまは ヨガも教え モダンダンスもご達者
そこに、フルート奏者とアコギのユニットを加えた創作舞台

1部は 聞きなれたクリスマスソングを 
フルートとアコギで奏でてゆく 静かな時間



小さい舞台は 淡い間接照明と 
蝋燭(廃油で作ったオリジナル)の灯り 
観客は30名みんな床に体育座り 

途中休憩をはさみ2部は 
クリスマスにちなんだ朗読や 
修道女に扮した奥さんの踊り 

そして、メインは 
世界の民族音楽やフルート奏者のオリジナル曲に合わせ 
一面の白い壁に 友人が即興でイラストを書いてゆく 
世界のさまざまな国の人がクリスマスを楽しんでいるイラスト 

ご夫婦は この下町のみなさんも巻き込んで 
地域を活性してゆきたい思いもあり始めているイベント
…ゆえに 観客には ご近所さんも多い

1時間と少し 楽しめました 
終わって 飲んでいると 
自然に こうしたらよいとか 
こんどはああしたいとか
…そういう時間も含めて
とても楽しかった 

感じたのは 

「こういう舞台と与えられたら
 じぶんなら なにを発信する
 …発信できるのか
 …したいのか」ということ

同じく観ていた 後輩に問うと、

「わたしは …とくに ないんですよね
 世間に言いたいこと うーん なんだか 
 毎日 仕事していればそれでいいっていうか
 …改めてなにかを表現したい…って 
 とくに ない」

まことに正直な感想で 笑えた 

翻って自分は どうなのか

押しつけでなく 説教くさくなく 
楽しんでもらえるもの… 
自己満足からでもよいから

同じく 観ていた友人は

「もんやさんは 説教がいいんじゃないんですか
 みんなに説教する そういうの」

説教か …やっぱり(笑) 

BACK はゴスペルですね そうなると


◆◆◆

インフル襲来の直前23日

「立川談志の 近年の傑作と言われた
 2つの噺を 映像での上映会 」

2つの噺というのは 

「文七元結」と「芝浜」

実はこの日 
夜の部では実際に談志が 
芝浜を生で聴かせるライブショーがあって 
そちらは当然 完売

完売だからの言い訳でもなく、
また 落語はナマで…が当たり前
ということも承知の助なのですが、

僕はあえて、このふたつの噺が 
いかに素晴らしかったのかを味わいたかった。

たとえば「芝浜」は2007
おなじよみうりホールで演じた 
ご本人が「神が降りた」と評した伝説の独演

こういうモノは、
同じ芝浜だから よいのではなく 
たとえご本人が生で
目の前でいま噺して聴かせてくれたとしても
それは、あくまで今の「芝浜」でしかなくて、
 
同じ噺だから なんでもよい
というものではないところがよいのです。

落語家には 

「笑える落語家」と
「聞かせる落語家」がいて 

いまでしたら、前者は 
柳家小三治 春風亭昇太 あたりであるのに対して、
後者は 圧倒的に立川一門であります。

志の輔や談春などは 笑いももちろん “取りにくる” のですが、
頭から笑いを取りにくるのではなく、

「笑わせようとすれば、できちゃうんだけど、
 ここは泣かせるね」って
達人の余裕があるのです。

だから、ゲラゲラ とにかく笑いたい派は 
そういう噺家さんを 

人情噺の深みにはまりたい方は 
そういう噺家さんを選んで聴かれるとよいです。

「文七元結」も「芝浜」も古典も古典 
もう わかりやすい 噺です。

「あん時の芝浜が最高だった」などと自画自賛って、
そもそも古典古臭いじゃんと文句ばかり垂れていた 
異端児の談志が この歳になり 癌を患い また生きて
 
それでも 「ありがちな古典にゃしねえよ」
の気構えを全身にみなぎらせてやってくれる 
そこのところの「芝浜」が よいのです。

堀井憲一郎さん曰く 
「立川一門は おそらく落語をいちど体の中に通す 
その上で言葉をすべて自分のモノに変えて喋る 
そこが刺さるか否かの分かれ目なのかもしれない」と 
言っていました。

が、そういう修練はどの噺家さんもやっていて、
格別立川一門が特別ということはないのでしょうが、
やはり、そこは談志のチカラ 
としか言いようがありませんね。

「文七元結」 
五十両落として死のうとする男を 
欄干でどう止めるか 
…こういうシーンでは 話しながら談志は

「うーん ここがおかしいんだよなああ~ 
 こういう風に手を差し伸べるのは無理がある 
 こうじゃない こうじゃなくちゃ ならねえなあ~」

なんて 話しながら演じながら 
自分でダメ出しをする 

そういう 興ざめになるような 
楽屋でしなさいよ的なことをはさんでも 
全体的にだらけないのです 

むしろ味が生まれる。

そういう作りものの噺なのに 
それでよしと 流せばよいのに 
話しながら 自分で修正するなんて
禁じ手を出してくる。

「どこまでいっても 作りもん だからね」 

こういう斜に構えながら 内実、
どんどん引き込んでゆく手腕は、
さすがに本物の芸と 久しぶりに熱くなりました。 

映像の上映でこうなのですから 
ナマではどれほどのものだったのか…

「芝浜」はラストを変えてしまったと聞いていましたが 
実際そんなことはなく、ラスト前のつなぎのところを
大きくいじってはいて、そのいじりのせいで 
ラストがより際立ったという内容でした。 

満足。

えっ? どんな噺かって…? 

どうしようもない 
のんべえ親父の噺ですよ 

両方とも。

ちなみにDVDで発売されていますから 
だまされたと思わなくて…
味わってみましょう 
こういうものを。



フォルム上映のみ 本人の出演はなし 

…そういう触れ込みでしたが 
合間にご本人お顔をだしてくれたのは 
嬉しかった。

むずむずされたのでしょう おそらく。

知らずに シネるか 2010

投稿日時:2010/12/18(土) 11:58

司会:L.B ジャッキー 

もんや vsアロハ坊主 

◆◆◆

もんや「今年も懲りずに 開催できました(笑)」

アロハ「はい。よろしくお願いします」

もんや「今年は、ジャッキーさんが司会進行を務めてくれます」

アロハ「ジャッキーさんの 名前のL.B…って
           どういう意味なんですか?」

ジャッキー(以下J)「ロングビーチ です。」

アロハ「ロング…長い ビーチ…浜
           …長浜さんですか? 」

J   「…ははは まあいいじゃないですか。
    それでは早速、お二人に今年、お勧めの
       映画ランキングを発表していただきます。

    しらシネ の主旨は “知らずに死ねるか”って
       ことでしたよね。」

もんや「そうです。内藤陳さんの面白本紹介コラム
           “知らずに死ねるか”から頂いています」

アロハ「死ねをシネに… ですね」

もんや「つまんない映画にお金と時間を無駄にしているうちに、
             よいものを観る力がどんどん衰えちゃうよ…
              っていうわりと強い意味もあるんですが、
              まあ 大きなお世話な企画ですね」

アロハ「お互い、すべての上映作品に触れているわけではないですし、
              どうしても、好き嫌いにはなってしまう」

J    「つまるとこ 好き嫌い いいじゃないですか。
         大きな声で言いましょう…では、
         お二人のランキングを発表してください
         ♪♪ジャジャ~ン」

◆◆ もんやのBEST10 ◆◆◆
 
第1位:「ノーウェアーボーイ」

第2位:「義兄弟」

第3位:「君に届け」

第4位:「リミット」

第5位:「ヒックとドラゴン」

第6位:「クロッシング」

第7位:「ハングオーバー!」

第8位:「マイレージマイライフ」

第9位:「バンテ‐ジ」

第10:「スタッフ・ベンダビリリ~もうひとつのキンシャサの奇跡」



◆◆ アロハさんのBEST10 ◆◆◆
 
第1位:「悪人」

第2位:「第9地区」

第3位:「川の底からこんにちは」

第4位:「シングルマン」

第5位:「十三人の刺客」

第6位:「トイレット」

第7位:乱暴と待機

第8位:SR2/女子ラッパー傷だらけのライム

第9位:RED LINE

第10位:ハーブ&ドロシー
 
◆◆◆

J  「これはこれは、見事にかぶりませんね。
        確か昨年は 1位2位とまったく同じでしたよね。
        なにが違うんでしょう今年は?」

もんや「…確かに、ぜんぜんかぶってない(笑)
           まあ、そんな気はしましたけどね」

アロハ「水準が高いですよね今年は、
             どれをとっても惹かれるものが
             多かったように思います」

もんや「圧倒的な1位2位があるというより、
              僕も6位までは、どれが1位でも
              おかしくないなあ~と思ってつけました」

J     「分かりました では1位の作品について
          おふたりからご紹介ください」

もんや



「ノーウェアーボーイ …英国の作品です。
ジョンレノンの青春時代の実話をもとにしています。
僕自身、ビートルズの熱狂的な信者ではないんですが、
この映画は心にきました。

ジョンには、育ての母と生みの母
…ふたりの母親が存在するんですが、
その間での、主人公の葛藤や次第に音楽にはまってゆく様子 
ポールとの出会いなんて 
流れがとってもリアリティーがあって 
単なる青春バンド物ではない力を感じました。

特に、継母役のクリスティン・スコット・トーマス 
彼女は素晴らしかった。
ラスト近く、姉妹が裏庭の陽だまりで
椅子に座っているシーンは大好きですね」

アロハ



「悪人 …なんといっても満島ひかり 
深津絵里が良かった。
女性の描き方としては群を抜いている感じです。
もんやさんの好きなポンジュノを
彷彿とさせる映像も最高でした」


もんや「僕は、観てないんです。
              原作は、本屋に並んですぐに読んで、
              読み終わって放り投げちゃった…
              つまんね!って。

              でも、映画は観たかったんです。
              妻夫木君は、悪役が似合うと
              ずっと言ってきましたし、
              映像にも惹かれていたから…

             でもアロハさん、満島ひかり好きだよね(笑)

         3位の川の底から…も出てる(笑)
            …確かに、去年の  愛のむきだし  強烈でしたからね」

アロハ「…そうですね そう 好きだ」

J    「2作品とも主人公は男性ですけど、
        おふたりとも女優さんで評価しているような…
        では続いて第2位!」

アロハ「第9地区 …はじめは異星人のキャラつくりとか
            笑ってみていて なんじゃこりゃって…
              でも主人公が奮闘するラスト近くから
              どんどん引き込まれてしまいました」

もんや「ドキュメンタリーチックな映像が
            新しいこういう作品はなかった」

J      「確かになんというかグロいし
         感情移入しずらいんですが 
           …その分、ラストの流れのギャップが
          響いたってことですね」

アロハ「そうですね」

もんや「義兄弟… 
              このタイプは僕のストライクですから
           仕方ない って作品です。
             もう、ソンガンホらしい役柄で…
           監督はキム・ギドク監督の愛弟子で、
             前作映画は映画だがいまひとつ消化不良でしたけど
          今回はやってくれました」

アロハ「北と南のテーマは旬ですね」

もんや「6位のクロッシングも南北問題という
              テーマは同じですが、シュリあたりの描き方から
           最近はどんどん変わってきていますね。
             タブーがなくなって先鋭化してきている」

もんや「ラスト が ああじゃなければ
           1位だった気がします。
             なしではない終わり方ですけど
           冒頭とラストの銃撃シーンが見ごたえありです。

              ハリウッドや日本じゃああは撮らない 撮れない。
           北の刺客が こわいこわい」

J      「アロハさん 川の底から…は?」

アロハ「しじみ会社を立て直す満島ひかりの
            面白くもたくましい 描写がよいです。
              監督 剥きだしニッポンの石井裕也 

             この監督の製作作品にはどれも独特のリズムがあって
          そこんとこの、オリジナリティー推しです」

J   「…アロハさんは、オリジナリティー溢れる作品が、
        今年のテーマですね。」

アロハ「はい。万人に喜ばれるってことより、
              大好きが少数いる…それでよいかと」

J「おっ?以外ですね 
       もんやさん 君に届け…3位ですか?」

もんや「多部未華子…に尽きますね。
           この手の学園恋愛ものってもう食傷気味じゃないですか
           でも、これは飽きない。
           なんと2時間の映画なんですが、
             やたらのご都合シナリオじゃなくて 
             風変わりな主人公が活きているんです。

          ARTAの先生役も以外にはまっていたり、
            脇の同級生も活躍している。
          
            このジャンルでは 久しぶりにヒットでしたんで、
            あえて3位にあげてみました。
            これは、今の高校生みんなに観て欲しいかな。

            僕もオリジナリティーは尊重したいです、
            でもアロハさんより、少しだけ間口が広いのかも…」

アロハ「…僕も広いですよ (笑)」

J    「4位は いかがですか?…」

アロハ「シングルマン…これも、はじめは大したことないか
               …って思ったんですが 随所に挟みこまれる
            映像が美しくて、このショットの挟み込みが、物語をダレさせない
            …で観てゆくうちに、この愛すべき中年オヤジの
           主人公を応援していたんです」

J     「トム・フォード…デザイナーなのに
          デザイナーがゆえに映像はほんとうに美しい。
             ニコラスホルトがああいう成長をするとは思わなかった」

もんや「確かに。ぽっちゃり坊やが(笑)
           冒頭の水の中のシーンから 絵のつくりはただものじゃない
             って感じでしたね。
            ジュリアンムーア好きなので、話にもう少し切れがあると
          個人的にはよかったかなあ…と」

J      「もんやさんリミットは?」

もんや「これは言えないですね。
           まあ 観て ってそれしか言えない。 」

アロハ「僕は、まだ観てないんですが
           たしか…埋められる男の…」

もんや「しー」

J      「携帯電話で…」

もんや「しー」

J&アロハ「それじゃ わかんないですよ」

もんや「しー(笑)
              ……ソリッド系のシチュエーションムービー、
             今風だとこういう言いかたなんでしょうかね。
          すごくつまらないと感じる人が
            10人中7人いるような作品です」

J&アロハ「もんやさんは3人の方…?」

もんや「しー (笑)」

J   「なんだかわかりませんが、気を取り直して
          …5位をお願いします」

アロハ「十三人の刺客 リメイクですが
              …三池の才能満載です」

もんや「伊勢谷と吾郎ちゃん お見事!
              …岸部さんのおかま堀りのシーン
         よく撮ったよね
         あれは三池監督のエゴ? 」

アロハ「あのシーンと手の…グロいところは、
              台本になくて現場で三池さんが撮りたいと?
           プロデューサーもお任せだったそうです」

もんや「なるほどね。
            今年、時代劇ブームを演出してたけど
           これがいちばんでしたね。
              最後の忠臣蔵は観ていないけれど」

アロハ「もんやさん ヒックとドラゴンは 
             …よかったですよね。あのドラゴンの飛ぶシーン
             …アバターよりぜんぜんよかった」

もんや「はい。このアニメ映画は、
              男の子を持つお父さんは 
              絶対にいっしょに観て欲しい。
           大きな声で言いたい作品です。」

アロハ「随所におしゃれだし」

もんや「そうそう ラスト前 目を覚ますヒック
            ここからのシーンは注目ですただのアニメ映画じゃない
            演出が細かい」

アロハ「大作ほど演出が雑になる、
              アバターもこの映画観て勉強した方がよいです」

もんや「完全に同感ですね 」

J    「おおっ 盛り上がってますね
        それほどよいですか?
        同じアニメで、トイストーリィー3も評判でしたが・」

もんや「よかったですよ すごく。
           同様にテーマがちゃんとあって
             トイスト3も観ていない人はぜひ家族で

              …でもどちらか推せ…となると、ヒックとドラゴン
          もう文句なし100点です」

J     「わかりました。では、あとの6位以下は
         ひとことづつ掛け合いで、ご紹介ください」

アロハ「トイレットは社会性がストレートに伝わってきた」

もんや「メガネ~プール
            とどんどんつまんなくなってましたからね」

J     「そうですね その意味ではかもめ食堂より
         ぼくはトイレットの方が上かも」

もんや「クロッシングも 家族で観て欲しい。
              個人的には北朝鮮のところはもう少し描いて欲しかったけれど、
              十分に伝わる内容です」

アロハ「ラストは あれしかない?」

もんや「あの逆でも 評価は変わりません」

アロハ「乱暴と待機は 
              浅野がはじめてみせた方向性がよかった」

もんや「でた 浅野! 
              …アンニュイ路線ではなく
           おとぼけ3枚目への転身を早く定着すればよいのです。
             事務所がこだわっているのかなあ?」

アロハ「今回は冨永監督がうまい
           不条理感とユーモアの融合ですかね
          小池栄子よいです」

もんや「原作の本谷有希子さんは
           演出家として興味があるので
           舞台もぜひ観てみたいです」

アロハ「SR2は 1と連続で観て欲しい。
              ふたりの主人公にどんどん愛着わきます。
           乱暴と待機とSR2は、今年の中では
             断トツのオリジナリティーです」

もんや「ハング・オーバーとマイレージマイライフ
           両極端ですが 今年のハリウッド公開作品では
            この2作品を推します」

アロハ「ハングは…どこが?」

もんや「この手は アメリカ人にしかわからないつくりが多いのですが
           この映画は、洒落ていて楽しめます。
              役者のキャラが個性的に立っていて、
              話にのせてゆく掛け合いが好きですね。
           マイレージは、大人が大人向けに作った秀作です。
              ジョージクルーニーになりたいと思いました」

アロハ「バンテージ入りましたか
               …うれしいですね。
              音楽モノですと BECKでしたか
           あれと比較してどうですか?」

もんや「BECKはもう残念ですね 
              期待していたのに 原作の良さ台無しです。
           バンテージは、はい!
      なんといっても北乃きい(笑)
              なにはなくても、北乃きい!!」

アロハ「ははは 相変わらず絶賛!!」

もんや「ストリーはなんてことなくて、
             バンドの崩壊と再生みたいな、
             過去にもいくつもあったテーマ。
            
             でも、彼女がいることで、どんどん深みがでてくる。
             間違いなく この年代のナンバーワン女優でしょう。
           
             ほんとうに日本の映画界は彼女を大切に育てて欲しい、
             心からそう願います 」

アロハ「赤西くんも意外によかった」

もんや「普通 あの役の設定で赤西クンだと、
              ブチ切れる感じになるのが普通なのでしょうが、
              見事に押さえた演技でしたね。
              アメリカなんか行かなくて
              日本で俳優やれば成功する予感がしました」

アロハ「RED LINEはつくり手の情熱に負けてしまった
              ハーブ&ドロシーはドキュメンタリーの痛々しさの中に、
             心のなごみ…人生を豊かにするヒントを感じさせてくれます」

もんや「僕も10位は ほぼドキュメンタリーもの。
            コンゴは昔、行ったことあるのですが、
              あの世界にこんなやつらがいたののか
              …って嬉しくなりました。」


J     「…ありがとうございます。
          総括して感想はありますか?

         去年はおふたりのランキングをひとつに集約しましたけど」

もんや「今年は、それぞれってことでよいのでは」

アロハ「はい。そう思います」

J      「もんやさんは、それぞれの好き嫌いの先に
             …前に?

         “ほんとうに面白いものはある”って
      
          主義でしたよね」

もんや「はい。そうです。
              なんでも、好き嫌いで片付けちゃいけないと
              信じています。

              でも、アロハさんとは、ベースの
             “観る価値のあるクオリティーか否か…”
              って部分は、共有出来ていて、
             その上で、個人のお勧めをしています。

         だから、無理やりに合せた
            ランキングにしなくてもよいかな…と」

J    「そうですか。わかりました
           …ちなみにランキング外で、お勧めは他にありますか?」

アロハ「パーマネント野バラ
           マチューテ
           堀川中立売 」

もんや「ヒーローショー
            シークレット
            小さな村の小さなダンサー
            息もできない」

J   「ありますね~」

もんや「観ていないのも多くて…
           玄牝
           闇の列車光の旅
           瞳の奥の秘密
      
           このあたりは見逃しています。すいません
              でも、まずは、ランキングにあがった20作品
            DVDで良いので、ひとつでも観て欲しいですね」

J   「来年に向けて…なにか」

アロハ「僕は 独自の世界観、作り手のオリジナリティー
              …に最近どんどん惹かれてしまっているので、
             来年もそういう作品いっぱい観たいと思います」

もんや「僕はシナリオ(台詞回し 役者の演技含め)70%
         映像や音楽30% という見方は変わらないと思います。
              とにかく、面白いかどうか
              …ここに絞って 紹介してゆきたいです
           来年もぜひよろしくお願いします」

J    「それでは みなさんさようなら 」

もんや アロハ 「よいお年を…」


アロハ「 …長浜さんなのに、どうしてジャッキーさんなんですか ?」

J「……それは秘密です」 







 

若きゆうさく の悩み~高2年の冬~

投稿日時:2010/11/28(日) 18:15




実は 悩んでいたのは僕であります。

“人みしり”をしないことは、まあ特技と自負しているのですが、
高校2年生の男子と、何時間も面と向かって…
いったいなにを話してあげればよいのか…

前日の夜も 布団に入り 
いろいろと考え込んでしまいました。

相手を、一人前の大人と扱うことは決めていたのですが、
見ず知らずのおじさんの家に突然(※)、連れてこられ、
ああだこうだ言われたら、自分だったらどう感じるか
(自分が高校2年のあたりの記憶を思い浮かべ)…困る、

むしろ嫌だろうなあ~

彼の母親からは、
「態度は、悪いけど 根は優しく気が小さいので…
よろしくお願いします」
とメールがくる。

どうも、話すのが苦手らしい 

…となると 彼自身が抱えている
“なにがしかの明確な意志”を探し当てないと、
両者にとってつらい時間になるし、
そのためには“実体験から生まれた引き出し”の
数がどれだけあるか…ということにかかってきて、
そこに僕がコミットメントできるかが勝負の分かれ目で…

高校2年の16歳、それほどの引き出しがあるはずもなく
…などと考えていると 
ますます眠れなくなってしまった。

※事前に僕のことをどういう風に紹介しているのかは、
大切なのですが「知り合い 社会勉強」
としか伝えていないらしい。

つまり、心の事前準備はなく

「うるさい母さんが俺のこと心配して
 まことにうぜえけど、仕方ないから 行くか」

とやってくることを覚悟しておかなければならない 
ということであります。

就活中の学生には「明確な意志」があり、
若い社会人には「明確な問題」がある。

そういう相手は、ある意味“楽”であります。 

解決する方向は見えているから…


こういう時に 世の中の父親はいかがしているか…
などとも思うが、自分の息子と他人のそれでは
だいぶん違う訳で、
同じ世代の息子を持っているからといって、
他人の息子の心持ちを斟酌できるか
とは限らないのだと思ってみる。

むしろ他人であるから客観的で
冷静に対することができるはずなのですが、、 
意味のない時間とお互いが感じることを避けるとなると、
難しい。

翌朝は見事な晴天 … 

まずは家の前のミルキー公園
(先月からこうネーミングされました)で、
サッカーボールでも蹴りながら、
頭からっぽにして それから話そうか と 

ボールを用意して… 自己紹介をお互いする際に、
見えてくる引き出しから入るしかない…
と決め、100均で2冊のノートとペンを用意して
彼を迎え入れたのでした。


登場したのは若きイケメン 
なかなかどうして目に意志が宿っています。

B-BOY風ファッションは今時としても、
足元の使いこまれたナイキや
ちょっとした体の仕草は…
スポーツをちゃんとやってるなあ…
という精悍な感じが漂っています。

あいさつもそこそこに、
自宅まで車でふたり… 

軽い会話…

口は重い…
はてしなく思い 
あいさつの声も小さい… 

救いはこちらの目をちゃんとみて
話そうとしてくれるところ。

家に着き まずはカルピスを飲む 
こういう時はカルピスだと用意しておいた。

…………………

それからの3時間近くは 
思えばあっという間でした。

気がつけば 公園でサッカーをやるには
あたりは暗くなってしまっていたほど。

カルピスを飲みながら 
まず今日はなんのためにきてもらったのか、 
僕がどんな人間なのかを簡単に話す。

急に連れた来られて戸惑ったでしょう? 

…「いえ…別に」

母さんにはなんて言われて来たの? 

…「とくになにも…いけばいいから…とだけ」


今からこのノートにお互いの自己紹介を
書きながら 話してゆこう。

僕も本音で話すから 

ゆうさく(本人がそう呼んでよいと許可をいただき)
もお願い

… 「はい」

質問は簡単に書き終わって 
お互いノートを交換 
質問し合う 
という感じではじまった。


あやのこうじ ゆうさく(仮名) 
16歳 B型 
神奈川県出身 
○○高校 普通科

●好きなスポーツは
  サッカー フットサル 観るのではなく やること

●なにをしている時間が好き
 フットサル 学校の休み時間に友達と話すこと

●行きたい外国
 スペイン 

●好きなアーティスト
 EMINEM  

●家族からどう思われているのか
 静か バカ

●友達からどう思われているか
 バカ ○○

●好きな教科とその理由
 現代社会 おもしろい

●最後の晩餐
 和食の朝食

●いまの自分は何点とその理由
 30点 やることをやっていないから


※○○とあるのは バカ バカ 
が印象的で 忘れてしまいました



…みなさんどう感じます この答え ・


僕としては、なかなか愉快な答えで 
こちらとしては突っ込みところ満載

でも、一番気にしなきゃいけないのは、
僕の方のノートを見て、
ゆうさくから質問が出てくるのか?
…っこと。

彼自身の覇気を少しでも引き出せないと
意味はないのですから。


僕からの質問の総量と彼からの質問の総量が
同じ程度なら理想ですが 
それは望むべくもなく 
少なくてもよいから
彼が自分の意志で質問してくれないと
単なるワンウエイな時間になってしまう。


結果として 
僕の答えに対しての食いつきは

「1961年の時代背景は どうだったんですか?」 

「ハン イエスルって 誰ですか?」

「自転車乗らないのですか?」

「現代国語のどこが面白いですか?」

「静岡の人って サッカーどこを応援しているのですか?」

「島をさまよう ってなにをするのですか?」


だいたいこんなところ。


対する僕の方は、

「バカ バカ って 思われていて腹が立たないのか?」

「和食の朝食…ってなぜ?」

「現代社会のどこが面白い?」

…このあたりから突っ込みがはじまり 
最終的には ゆううさくは

「みんなが行くから…という程度の
    動機しかないが大学生にはなりたい
 でも期末試験である程度の成果を
    上げられないと・・・

   まずは、3年制への進級があぶない

 テストまであと1週間とちょっとで…
    勉強しようと思うと遊びたくなり

 そういう自分はいけない
   と思っているんだけど、

   なかなか思うようにならなくて
 大学は父さんはできれば行けばと言い、

 母さんは飯は不味いが、うるさくて
    行かなければ家を追い出すと言う

 それ以前にダブりは格好悪いから
  …と自分でも思うし」

ということとなった。


井上雄彦の漫画にリアルな迫力を感じることや
好きなテレビゲームが似ていること 
デルピエーロとヨーロッパサッカーについて
などももちろん話した

こういう話は合わせる苦労もなんもない。

問題の進級は、総合の点数
(偏差値とは違うらしい。
 もう偏差値教育はないのでしたか)

次第で 詳しく聞くと 
現代社会以外は「低位安定」 
もっと詳しく聞くと 
教科によっての嫌いや苦手はそれほどなく 
であれば、得意を伸ばせ…とそのスタンスの話をした。

また現代国語に関しては 
思いがあっても他人に伝えられないのは 
意志とスキルの問題で 
スキルは現代国語で補えるから 
好きな教科とは別にかならず勉強を怠らないこと… 

などや 実は志望大学があることから 
そのあたりへの意志固めなど当面の話し 
学生の本分など 柄にもなく喋ってしまった。

終わり 

飯を食い 

駅まで送る。

改札を入る姿を見送っていたら 

情が湧き 
「がんばれ」と心でつぶやいた 

…と彼が振り返り 

ぺこりと頭を下げた。


…とここまで書くと 
なかなかいい感じであったように
思われるかもしれないが 
正直 手ごたえはない。

僕との会話で 彼がなにを感じ 
明日からの日常にどんな影響が生まれるのか 
まったくわからない。

最後まで なんだかわからんおっさん 
であったのかもしれない。

これでもへとへとに疲れたが 
それは僕が彼の“若さ”に当てられたことと、
自分の無力さのせいでしょう。

答えは見えている

「どうあれ若者は成長して
 自分の手でいろいろつかんでゆく」
 

「期末試験の成果は 人生のほんの些細なことと」

と考えるのは他人だからであり
答えを生きてきた経験者の分け知り顔でしかない。

今を生きている彼は、今がすべてなのだから。

期末試験の結果次第では 
学期末試験に向けての 
こんどは勉強そのものの手助けをしてあげたい 

と思う。

同種免疫療法

投稿日時:2010/11/11(木) 22:05

細胞が出来る場所…“胸腺”

まだ、未熟な細胞の段階で感作させようと、

この胸腺に向けての免疫療法が始まりました。

といっても、なにか特別な治療を施すということでなく、
20分寝ている間に点滴を入れる 
というだけのことです。

副作用のきつい抗がん剤治療から比べれば、
負担はまったくありません。

ただ、この治療は、まだまだ治験レベルといってよい段階
個体の差をどのレベルでカバレッジできるのか、
完全に解明されているとはいえません。

感作させるための、分離には、
許認可されたもの以外の、試薬も使用します。

実験に近い要素もたぶんにあるのです。

前回の免疫療法で、
「大人に成長してからでは、影響を受けない」と、
その“頑固さ”にお墨付きをもらった、
わがリンパ球軍団。

点滴後10日~2週間を経て、未熟な細胞が、
大人の活性Tリンパになった段階で、
どれほどの効力を発揮してくれるかは、

…未知数です。

点滴は2週間に1度
4回に分けて行いますから、
1クール終わるのが年末です。

まあ、なんだかんだで、1月の中旬には、
なにがしかの結果が出てくると思われます。

癌センターの方とも併せ相談はしていまして、
1月の末にCTと血液検査の予約を入れ、
その結果次第で2月頭から抗がん剤投与
と段取りをつけています。

なにしろ、すでにマーカー値は3万を越えました。

癌センターの主治医は、

「もんやさんの場合は、
 癌細胞が増えやすい体質ですねえ」
 
などと、のんきなことを言っていますが、

これも、異常な症状が出ていないからこその発言、
ここだけみればまことにラッキーな体です。 

…あくまで、今のところですが。


免疫の治療を受けるクリニックは、原宿にあります。

原宿も原宿 

表も表 

…竹下通りにあるのです。

久しぶりの観光名所は、
ギャル ギャル 外人 

ギャル ギャル 

またギャル♪…

です。



その脇で、免疫の先端医療の話を
伺っているのは、なんだかへんな感じです。


「癌細胞は、突然変異した細胞だから、
 細胞の表面にあきらかに違うマークがあって、
 リンパ達はこれを目印に攻撃するんだけれど、
 中には、表面のマークを、細胞の中に隠すヤツ
 サープレッサ(Tリンパの動きを抑制するリンパ球)を纏い、
 リンパの攻撃を避けるヤツ 
 そういうずる賢さを身につける癌細胞もある。

 こうなると、T細胞には見わけが
 つかなかったりして攻撃が出来ない。
 そこで、たとえマークを隠しても
 異物であることを認識して攻撃する
 (なんでもバクバク食べるという方が正確かも)
 NK細胞の資質を持ったT細胞…

 “NKT細胞”を送り込むということを考えている。
 …でも、まだまだこちらは試験管レベルでの話しですが…」

なんて話を「ふむふむ」なんて、
聞いていたりする。

もう取材している感じですね。
自分のことなのに、取材モードに切り替えると、
気楽に質問も出来てしまいます。

研究者のお話しは、

「ご本人は熟知されていることですが」

…素人には耳になじんでいないことばかり、

こういう話を読んでもらっても、

「TだNKだ、胸腺だ感作だ …とか言われてもね」

…ですよね。


いつか 誰かの、なにかの役に立てばと
…あえて書いています。

そして、なるべく正確に書こうと思うのですが、
わかりやすくする過程で、多少はアバウトであり、
多少はズレているかもしれません。

そういう個所は、分かった時点で
訂正しますので、ご勘弁ください。

そもそも、こういう先端医療を受けられること自体、
恵まれた話し、治験のモルモットにも
どんどんしてくださいってなもんですし、
そこで知りえたことは、他の方にも
どんどん伝えてゆきたいと思っています。

自分の人生観をひけらかすのは、
格好悪いと思う人間ですが、
この際、ひとことだけ言うなら、

「自分が、回りの人たちの為に、
 なにも出来ないのなら…生きていても意味はない」
 
と本気で思っています。

人生は、他人の記憶に宿るのみ
…と考えて疑わない人間です。

僕と関わって、悪かった 
…をなるべくなくし、 

意味があったと思ってもらいたい
それが僕の生きる意味です。

…と偉そうにいっても、
お力になれる要素は、範囲は、手段は、コンテンツは
…限りなく狭い(笑)

ボランティア精神に溢れてもいませんし、
愛国心や環境問題を声高に叫ぶタイプでもなく、
もちろん大金持ちでもなく、ステイタスもしょぼいし、
政府高官にネットワークがあるわけでもありません。 

必然、スケールは小さいです。

まあ、それでも、
出来ることはあると信じているわけです。


いま、高校生の男子の
家庭教師を頼まれています。

といっても、単純に偏差値をあげてください
…という話しではなく、

「生きるチカラ」を少しでも
宿らせて欲しいというオーダー。

彼は、ある出来事で、挫折をしてから、
まったく覇気をなくした 

友達もいない 
なにをしたいのか? 
がぜんぜん見えない…
という母親からのSOSです。

なんじゃ そりゃ ? 

なんですが、
とにかく一度、会ってみようと思っています。

母親の視点がすべてはないでしょうし、
高校生といえば、もういち人格者です。

彼なりの美学やポリシーがあるのかもしれません。

伝えきれていないだけなのかもしれません。

二十歳過ぎたらチャンチャン
…なんて、笑い話しの類かもしれません。

ただ、今は、“デリケートな生き物”には違いない
と思っているので、そこのところ、
慎重に接してあげないと。

関わるかどうかは まだわかりませんが 
するならば 僕自身も“正面から向き合ったなぁ…”
と実感を持ちたいです。

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