紋谷のソコヂカラ ブログテーマ:戯れ言

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這えば立つ…立てば歩く…歩けば喋り考える

投稿日時:2009/05/05(火) 19:55

「はい。 ワタシは40歳です。
  妻は35歳…幼稚園に通う…ひとり娘のことで…心配になりまして、
  ご相談できればと…。 

3ヶ月ほど前に、娘が園でお漏らしをしまして、
それ以来、幼稚園に行きたくないと…ええ…
それはもう、大変に駄々をこねていまして。

もう、毎朝、泣き叫ぶんです。
だいじょうぶだからっていくら言って聞かせても、きかなくて。
えっ?…送り迎えですか?…それは妻が毎朝。
はい…共稼ぎです。妻の仕事ですか?
夜は近所のスナックに出ています。
ええ。帰りは遅いです。
 
朝は娘のお弁当を作って、…そうです。
車で5分くらいの距離です、妻が送っていきます。
帰りも妻が迎えにいきます。
その後は、となりに義理の母が住んでいるものですから、
預けて、そのまま仕事に。
はい。私が仕事を終えて、帰りに迎えに行きます。
 
食事は…義理の母の家で、ええ、そうです。毎日。
で、夜はワタシが寝かしつけてます。
なにが気に入らないのか、わからなくて。
…幼稚園の先生に聞いても、別に誰かにいじめられている
ということはないようで…はい
…連絡ノートですか、妻が書いています。
 
…そんな感じですので、たまに幼稚園をお休みするようになってしまって…。
そういう日は、クラスのお友達が、連絡ノートや給食を届けてくれるんですが、
顔も見せず…自分の部屋に閉じこもってしまうんです。
あと、すぐトイレに…はい…日に、何度も何度も
…これまではそういうことはなかったものですから…ええ
…どうしたらいいのか…皆目、見当が付かなくて…
はい…お願いします」
 
◆◆◆

逗子に住むM氏には、2人の男の子がいる。
ひとりでも、やんちゃなのだが、2人揃うと、
そのやんちゃ度合いは、2乗のパワーをもつ。
 
ただ、男兄弟とはそうしたものなのか…
何事にも“お構いなし”に突き進む弟に比べると、
少し年上のお兄ちゃんには、どこか思慮分別を感じる。
 
ひと晩のお世話になり、朝のこと。
お兄ちゃんはすでに小学校に出かけていて、M氏はまだお休み。
奥さんはお勝手に。
リビングには弟君ひとりである。
 
「おはよう」
「……」 
なんの反応もない。ただ、ジロリ…と見る。
 
パンとスープの脇にプレートがあり、
なにか黄色いぽろぽろとしたものを格闘している。
 
「何を食べているのかな?」 
見ると、ゆで卵の白身と黄身を分けて、その白身だけを食べている。
 
「黄身が美味しいのに…食べないの?」
「…ジロリ…」
 
奥さんが、僕の分も用意してくれて、弟君と差し向かいでの朝食となった。
無言のテーブル。
機嫌の悪い、おやじのようである。



突然「行くよ!」とキッチンに声をかけ、立ち上がる弟君。
「はい。はい。」と奥さんが応える。
予め、準備していた、ランドセルを手に取ると、
そのまま玄関へと向かう。
テーブルには、黄身の残骸が残されたままだ。
 
聞くと、歩いて10分ほどのところに、
迎えのバスが来て、それに乗ると言う。
面白そうなので、ついていくことにした。
 
奥さんと弟君が歩く後を、5メートルくらい空けて。
「ああ、この空き地に、もう○○が咲いたね」
「今日は、体操があるのよね 」 
「○○ちゃんはお風邪治ったのかなあ…?」
喋るのはほとんど奥さん。
 
弟君は、「うん」としか言わない。
坂を下り、住宅街を抜けると、バス通りがあり、迎えの場所に着いた。
そこには、バスを待つ、お母さんと子供達が20人くらい
すでに集まっていた。
 
どう考えても 場違いな自分のせいで、あらぬ詮議は申し訳ないと、
「主人の、会社の先輩です」という奥さんの紹介に併せて、
ご挨拶をしていると。
突然、弟君から声がかかった…
 
「僕が一番好きな お友達の○○君」 
とひとりの男の子を紹介する。僕を見て、初めて笑った。
どうやら、僕が着いてきたことは分かっていたらしい。
 
帰り道、奥さんに聞いた。
「いつも、あんな感じ?」
「今朝は、もんやさんがいたんで緊張していたんです」
と言う。そうか、朝、こんなおじさんがいて、
目の前に座ったら、ごはんも食べづらいし、
なんだかとことこ付いてきたら、そりゃあ…気になるわよな。
 
当たり前の些細なことながら、大人は気がつかない。
しかし、この奥さんは大物だと感じた。
見ていて気づいたのですが、いちいち些細なことを叱らない。
だいたいが鷹揚に、わが子を見守っている。
 
それでも、気づくべきところはちゃんと気がついている。
残された黄身が気になって仕方がない、
僕などは小物だと改めて感じた朝でした。
 
後日、兄弟に“ジェンガ”を送ると、お礼のお手紙が届いた。
お兄ちゃんは「ありがとう」のコメント(奥さん代筆)
弟君からは なにやら “のたくった”イラストに ひとこと…

 あおむし とある。
 
どうも、それが彼のお礼らしい。(笑)
 
材木座の兄弟も、相当にパワーがある。
お兄ちゃんは、クラスにひとりはいる、女子の人気NO1のタイプ。
利発そうな顔でスポーツマン。対する弟はセンスの塊。
その上、大人殺し。
 
例えるなら、新劇の役者のような…
艶かしさを併せ持ち、大人を篭絡する。
 
この奥さんの料理が、また素晴らしい。
うまいうまいはもちろんながら、なにより、センスがいい。
 
食べることに執着心のある母親に育てられると、
食べることへの執着心はひと一倍強くなる。
それがボクです。
 
また、食事のマナーもうるさく躾けられた。
食事の前に間食は許さない。
テレビ観ながらなど言語道断。
ご飯は残してもおかずは残すな。
自分の食べた食器は、自分で洗え。…云々。
 
材木座の兄弟は、回りを飛び回り、我々の食卓に来襲しては、
手づかみで、おかずをさらって行く。
 
大人の邪魔をしてはいけない。と、テレビみたい。と、遊びたい。と、
お腹すいた、がこんがらがった感じだ。
 
そんな、中でも、奥さんは絶妙に、
我々と子供達に、食べさせるタイミングを心得ている。
弟君が、自分の好きなおかずだけを、もう、好きなだけ食べても、
まあよしよし。
遠慮している、お兄ちゃんの分も、さっと用意して渡す。
 
どの料理も、栄養面の配慮が行き届いているから、
どう食べようと、体にうまく、収まるようになっている。
男どもが、どうこようとも 対応できる、プロの手際。

途中、走り回る弟君が、テーブルにぶつかり、飲み物が床にこぼれた。
 
「おい!!○○!!…うるさい!! 
   ……いい加減にしろ!……ごめんなさいは!」とパパの怒声が飛ぶ。
やっちまった弟君を、奥さんは叱らない。
もう、言うべきことはパパは言ったから。
 
さっと雑巾で床を拭き、弟君の顔を羽交い絞めにする。
それだけ。
 
飲み物をこぼしたのは、おにいちゃんのせいだ…
と言い訳をしていた弟君が、その優しい羽交い絞めで大人しくなる。
 
パパがいない時は、ママは違うのだろう。
怒りもするのだろう。 
 
北風も必要だが、太陽も必要。
そういうことを垣間見た。
 
◆◆◆
 
その、告白は、車のラジオでたまたま聞いた。 
ニッポン放送 テレフォン人生相談。
 僕はこう思った。 

「それは スナックで働き始めた奥さんに男ができたんだ。
   それで、夫婦仲がぎくしゃくして
   …そういうことを娘は感じ取って、
    …そうだよなあ…それしかない」…と。 
 
その男性の相談を受けて、幼児教育研究の大原敬子女史が応える。
 
「あなた方夫婦は、機能で子育てをしている。いい?
   …彼女は賢いわよ。幼稚園でお漏らししたことを聞いて、
   迎えに行ったのは奥さんよね?…そこに替えの下着は持っていった?
   忘れたでしょ。それがいけないの。
   彼女は、いけないことをした…恥ずかしい…
   ママは着替えを持ってきてくれなかった…
   ああ、ワタシのことはどうでもいいの? そう思ったの。
   休んだ子に物を届ける役目は、クラスでも出来るお友達になるわよね。
  自分の恥ずかしい失敗をその出来るお友達が来るたびに思い出すの彼女は。
 何をしてもそのことを思い出すの…
   だから頻繁にトイレに行くの。わかる?
   もう、失敗しちゃいけない。いけないって自分に言い聞かせているのよ。
 
    泣くことはいいこと。泣かないほうが怖いわよ。
    泣くには泣く理由があるの、彼女は
    ワタシノコトハ、ドウデモイイノ?って泣いているの。
 
    車で5分なら、明日から自転車か歩きで送りなさい。
    それで、少し早く出て、幼稚園に付いても、
    その回りをわざと1周するの…
    そこでね  “ああ…ママ○○ちゃんとお別れしたくないなあ~”
    って言ってあげるの。
 
     お迎えもそう…彼女が来たら、ひざをついてね。
     彼女の目線でね。思いっきり笑顔で抱きしめるの。
     手首をつかみなさい。そうして抱き寄せるの。
    そうすると、密着するでしょ。そういうことが大事。
 
     あと、連絡帳には、親の感想ではなくて、
     今日、娘がなにしたを書けばいいの。書けないのは見ていない証拠。
     いっしょにいる時間じゃないのよ。
     旦那さんやお母さんに聞けばいいの…それだけ。
 
     あと、お母さんところで食事させてるでしょ。
     何を食べているか知っている?ジュースとかお菓子ばかりあげてない?
     甘いものは辛抱がなくなるのよ。
     今は泣いているだけだけど、小学校3歳4歳で、
     このままだと、彼女キレルわよ。」
 
下世話な発想しかできない自分のレベルの低さに恥じ入り、
まるで、謎を解く名探偵のごとく、
立て板に水で叱咤する大原女史に感服。
 
「子供は、親とは別の人格ということを理解できないのは、あなたが子供だから」
という持論をお持ちだけに、手厳しいが、
同級生と先生のお尻を蹴飛ばし、逃げようとする子供を、
壁に押し付け、叱責した先生を…ただ体罰はけしからん!
…と訴えるような親のいる現代、
誰かのせいにするまえに、ぜひラジオでもつけてみてはと思う。
本気で思う。
 
僕の回りの、夫婦はみな、このへん
…子育てのツボ(愛のあり方とでもいうのか)
このあたりがが分かっている。 
特に奥さんが見事にわかっている。
 
…そういう奥さんを見つけた、
旦那がすごいということになるのか。うらやましい。


 
(注)相談者 大原女史 両コメントとも
ラジオでその場で聴いた限りのため、詳細…とくに言い回しや順番は
100%正確ではありませんが、80%は確実にこの通りです。
念のため。


父からの便り

投稿日時:2009/04/13(月) 04:19

高速料金値下げについて、
利用者は概ね「ありがたい」という感想なのが気になった。
 
念のためこの値下げは、高速道路会社が
大盤振る舞いをしてくれたわけではない、
値下げ分は国民の税金で補填される。
 
一般に、税金は社会全体の問題解決に使われるので、
個人レベルで受益と負担の比率を論じるのは
不向きかもしれないが、今回の値下げは、
割り勘で酒を呑むようなもので、
飲めば飲むほど…いや、走れば走るほど、
受益の比率を上げられる。
 
「土日、休日上限1000円」と「平日昼間3割引」を
2年間実施するためには、年間50億の血税が投入される。
 
つまり単純に人口で割れば、一人当たり割引額が
4000円強になるまで走らないと、
「割り勘負け」をする勘定になる。
 
そうはしたくないからと、無理に呑む、
いやは走るというのもおかしいし、
ましてはCO2を減らそうという時代でもある。
 
そもそも、車にETCがない人には、受益はゼロであり、
一滴も呑めない友に、割り勘を強要しているようなものだろう。
 
利用者がこぞって喜んだとのニュースは多いが、
この割り勘負けの報道が、少ないのはおかしいのではないか。
…とまあ、こんな感じで父からの便りはやってくる。


 
そもそも今回のテーマは、わが実家で購読している、
新聞のコラムを読んで、その内容を父なりに解釈しているようだ。
 
父からは 暇つぶしなので返信は無用とある。
 
前回の便りでは、
「癌が難病指定ではない理由はなにか」と言うテーマ。
 
この世で一番のれっきとした“難しい病気”ではないか、
厚生省が認定し医療費に対する補助を制度化すべきではないのか。
という内容でした。
 
解釈としましたが、これら父からの便りのテーマは
「おかしい」と感じる世の中の出来事に対する疑問がほとんどで、
その多くは、それなりの理屈はつけられるが
本質的には間違っているという答えが存在する
そういうテーマになる。

世の中の不平等、不条理を憂うのは簡単だが、
甘んじて享受するのはいかがなものか…ということである。
 
先週、父の姉が今年の米寿の誕生日を前に亡くなった。
去年末に長兄が、先月に母の義理の兄が他界し、
立て続けである。
 
生前、父は姉に対して、このように、
思いついた事柄を手紙にしたため、
月に1度は出していたようで、そのあて先が他界し、
矛先が僕に回ってきたというわけらしい。
 
この姉は、生涯を独身で通したのだが、
甥の目からも大した才女であり、
なにより、あいまいさを良しとしない傑女でありました。
 
晩年は、自ら進んで老人ホームに入居し、
誰の世話にもならぬ幕引きを
当たり前のように選んでいたようで、

死んだ後の葬儀全般や納骨の手配も、
亡くなる数年前に自ら終えているばかりか、
遺言も書き残していて、
我々、親族があたふたとすることがないよう、
一切の取り仕切りを終えてあり、
一同「さすがおばちゃんだ」と
改めて感じ入った次第です。
 
出棺には、老人ホームの入居者や職員が、見送りに出てきてくれ、

「みなさまお世話になりました。
  私はみなさんと一緒に生活できて嬉しかった」と
これも予め用意されていた手紙をもう一人の叔母が代読する運び、

そして

「…わたしはこういうはっきりとした性格でしたから…
 不快に感じたこともあかもしれません…ごめんなさい」
という配慮の一文も。
 いやいや、なんとも見事な旅立ちでございました。
 
こんな叔母を相手に書かれていた父の手紙、
その間にはどんなやりとりがあったのかは知りませんが、
叔母が他界し、今度は僕に届くとなると…
いくら返信無用と言われても、
いくばくか、責任を感じてしまいます。
 
先日、30年近く交流の在る友人と酒をともにした折、
図らずも、彼とは離れてひとりで暮らす母親への思い、
そもそもの息子の責任の所在や相容れぬところもある
お母さんのご自身の心情…など、彼の心中を聞き、
我々の歳になって味わう、親への思いと、
自身が置かれている現実と、
本来あるべき親子の姿…などを語り合いました。
 
そのせいか、この父からの便りにも、
何がしかの意味のある返事を書かねば…
そういうことからだろ、と思ってはいるのですが、
どうにも、こうにも、
気の効いた返事と言うのが思い浮かびません。
 
割り勘では、負けたたことがないので…
負ける側の気持ちと言うものがわかりません…
違うなあ。
 
利用するものが限られた優遇措置は、高速道路に限らない。
高速道路料金では負けても、他で勝てばよいのではなかろうか…
これも違うなあ。
 
そもそも、減価償却が終了しているのに高速料金を徴収する
もしくは、一律で徴収する、
この発想からしておかしい…
これも違うなあ。
 
こんど、ドライブに行きましょうか……
ううむ。
 
マスコミは偏ったプロバガンダでしかないから、
あまり気にしても仕方ないよ……
違うなあ。
 
黙って読んでおけばよいというのが一般的な正解なのでしょうが…
なにか諸兄のアドバイスありましたら…


毛はじゃんじゃんと生え…少し怖いプールの話し

投稿日時:2009/03/11(水) 17:13

年末12月に最後の抗がん剤を入れてから、
3ヶ月…キレイに抜け落ちた体中の毛が、
じゃんじゃん 生えてきました。
これはつまり、骨髄などに溜まってしまう、
薬の成分以外は、体から抜けたというサインであります。 
 
以前にも書きましたが、
抗がん剤の副作用は、さまざまあり、
それは患者の体質やその薬の成分や投与する
量の違いでもあるのですが、体毛が抜けるというのは、
みな一様のようです。
それでも、薬の種類×個体差はあります。
 
僕の場合、顔の髭や頭髪が抜け始めるのが
薬投与後の2週間後くらい、
髭と髪の毛は同じタイミングでバサバサお抜け落ちてゆきます。

もう、慣れたもので、
「おお…そろそろ来るかな」てなもんです。
 
2回目に試したTINという薬のセットでは、
いままでは抜けなかった、眉毛やまつげ、鼻毛までもが抜け落ち、
改めて、彼らの存在意味を再確認したと…
これは以前お伝えしました。
 
この場合は、まさに「全身パイパン状態」…

以前、新宿2丁目のオカマのマルオさんが、
「私、全部…剃るの…毛ってさ…
 昔の自分を思い出して嫌なの…
 だから、全部剃っちゃってね… で、描くのよ」
と言っていましたが、

その方面の趣味のない僕には、
何をいっているのやらさっぱりわからず、
…ただ今更、同意するのは、体毛がすべてなくなると、
子供に帰った気がするというニュアンスです。
 
「よお、ボウズ…ちんちんに、けぇ~生えたか」
なんて言いますが、大人=毛(笑)みたいなことは、
大人になって、なくなってみて、改めて感じます。
 
女性の場合は、大変なようです。
癌センターの各ナースステーションには、
「散髪希望」を記入するノートが置かれています。
 
身だしなみを整えるという目的は、表向き。
抗がん剤で抜け落ちてしまう前に、坊主にしてしまいたい、
こういう患者さんのためにこのノートはあります。
 
散髪には、委託された美容師さんが、やってきます。
以前、この美容師さんに僕もお世話になりました。
 
「呼ばれて病室に行くと、カーテン締め切っていて、
声をかけても返事をしない、あきらめて帰ろうとすると、
どうぞ…と招かれる、
ではと、準備をしていざ、ハサミを入れると…
そのまま大声で泣き崩れる…
女性の場合、こんなことはしょっちゅうですよ」
 
「抗がん剤で抜けた髪は、また生えてくる、
 なんて言ってもね。
 今、なくなってしまう髪の方が大切なのでしょうね」
やはり、髪は女の命 辛いものなのです。
 
 
さて、抜けた体毛ですが、ではいつ生えてくるのか
といえば、これも個体差らしいです。
僕の場合は、投薬後、2ヶ月でまずは 
顎の髭が生えてきます。こいつが一番。
でも、はじめは、赤ちゃんのような
ふわふわした産毛が生えてきます。
しかも、全部、白髪だったりします。
 
いったん抜け落ち、生まれ変わって…
毛そのものの性格が変わったのか?
などと思いますが…いったん剃り、
また待っていると、
普段どおりの髭が生えてきます。
 
その次は下の毛と腋の毛、
このあたりが映え始めると、
髪の毛もぽつぽつと生えてきます。
 
で、まあ 現在は、こんな感じなのです。


 
一昨年、1ヶ月単位で、抗がん剤を投与していたときには、
生える間もなく、次の投与…でしたから、
この生えてくる感覚と言うのは、なかなか嬉しいものです。
 
髪が抜けて、つるつる頭でいても、
そのまま外に出歩くことは、苦ではありません。
むしろ、好きだったりするのですが、
僕の場合、そのまま外に出ると
「怖い人」に見られるらしいので、
それは、平穏な社会にいらぬ動揺を
引き起こしてはいけないと思い、
普段は帽子をかぶっています。
 
顔の髭は、いったん生え始めると、
その勢いはすごいもので、
髪の毛の育つ10倍くらいの速度で成長します。
 
つまり、頭は生え始めの「坊主」…
顔は髭だらけ…という状態に今、
ある訳で、これはこれで、へんな人です。
 
ただ、顔にも頭にも毛がないと、
いくら元気に振舞っていても、
病人に見えるらしいのですが、
こんな、へんな状態でも、
毛があるもんやは、元気そう…と言われます。
 
まあ、「元気なさそう」より「元気そう」の方が、
嬉しいので、これもこれで良しです。
 

手足の麻痺が取れないので、体が鈍りまくり、
あまりに重いので、年明けから、
スポーツジムに通い始めました。
 
といっても、マシンはもちろん、
走ったり、漕いだり、飛んだり跳ねたり…
がそもそも出来ないので、泳ごうかと。
 
初めは、公共施設でないものかと探しましたが、
プールそのものがなく、駅前のフィットネスクラブは、
なんかこ洒落ていて、性に合わず…
それでは範囲を広げて探したところ、
戸塚と藤沢の間くらいの住宅街に“S”を発見しました。
 
まずは、見学に…と行ってみると、
住宅街のど真ん中なのに、畑に囲まれています。
 
しかも、入り口には大根やらかぶやら…の100円市が。
しかも施設がかなり年季が入っています。
 
でもまあ、のんびりしていてよかろう…とさっそく、
格安で、プールとサウナのみ利用のコースを申し込み、
翌日から通うことに…
 
行って、びっくり、あまりの体力のなさに愕然としました。
 
僕は、泳ぎは得意を自負していて、
小学校時代から、大会の選手でもあり、
早くも遠くにも泳げる自信があったのですが、
ぜんぜん体がついてきません。
水に乗れないどころか、初めの50M泳いで、
もうヘロヘロなのです。
 
50Mプールの8コースは、スクールに3コースが取られ、
残り、5コースのうち、1コースが歩いて往復するコース、
後の4コースのうち、2コースが1レーン往復…
残り2コースが一方通行で、泳ぎが達者な方のコース、
当然、こちらで泳ぎ始めたもんやでしたが、
どうみても70歳に近いおばさんに、
追いつかれ、置いていかれる始末。
 
「これは、まずい。これほどとは…」と改めて、
今の体力のなさを再認識しました。
 
はじめは1kmをその日の目標にと考えていましたが、
死に物狂いで500mがやっとの初日でした。
 
友人Y君からも、
「そんなもんですよ。徐々に徐々に…無理せず、
 ゆっくり、継続してゆくことが大事」
と諭され、翌日からは、
とにかくゆっくりと泳ぐことを心がけました。
 
…2ヶ月たち、いまではしんどいものの
1Kmは普通に泳げるようになりまして、
体の切れも戻ってきました。
 
こうなると、余裕も出てきて、
回りを見渡すようになってきました。
 
このスポーツジム…
正確には、このプールには若者はひとりもいません。
若者どころか、ほとんどすべてが60歳以上の
おばちゃんとおばあちゃんなのです。

余裕の出たある日、プールを見渡して数えてみました
 
「…ひい…ふう…みい…よお…」
 
プールの中に人は30人 
うちどうみても60歳以上が30人 
うち女性25人。
 
ここは老人専用のプールなのか? 
いやいやそうではありません。

では、この時間帯がおかしいのか…
いやいや今日は土曜日の昼さがり…

もちろん、そもそもは体力回復とシェイプアップが目的…
別に回りに誰がいようがおかまいなしなのですが…
それにしてもあんまりに極端な光景…。
 
体型も女の命…なのでしょう。
健康の為もあるのでしょう、
お喋りの場でもあるのでしょう。
 それにしても…。

…で、どうも、最近、お尻に視線を感じるのです。
 
もちろんご存知の方はご存知だと思いますが、
僕はシリ…尻…ケツが自慢です。
 
小学校3年のプールの授業の時に、担任の相場先生に

「もんや君のお尻はかっこいいわねえ」
と褒められて以来、僕はお尻だけは人に自慢できる
“部位”なのです。
 
どうも、最近、このケツに視線を感じるのです。
プールのおばちゃんは みな元気です。 
水着もカラフルです。
筋骨隆々のおばちゃんもいます。

さっきから、休みなく泳ぎ続けている女性などは、
遠泳の競技に参加するがごときスタイルです。
 
老人が元気な場所です。健全で素晴らしい光景。
 
視線…? 
自信過剰なんじゃないの? 
そうですよね。 
そんなはずはないですよね。
 
…それに見られても減るもんじゃなし…
ですしね。
 
温水プールなのに…サブいぼが…
これも気のせいですよね。
 
おわり。

春は…徒然

投稿日時:2009/02/18(水) 22:16



昔、お馴染みだった 銀座のホステスさんから、
立て続けに近況報告のメールが届きました。
 
当時、彼女たちは、イケイケでした。 
ホステスという職業は、まじめにやればやるほどキツイ仕事。
会社の看板や商品のバリューがあるわけでもなく、
お店はただの箱。保証もない。わが身ひとつで勝負。
 
かぼちゃがお財布持ってやってきた…と思ってはみても、
そこは人の娘、こういう日常はむなしいと気づいたりする、
そんな気持ちを、お酒でごまかし、同伴、アフターと
ノルマ達成が自分のがんばり…と毎日を過ごす。
 
夜の早い銀座は…1件目。
タクシー飛ばして六本木のサパーや麻布のカラオケ屋へ。
朝になっても終わらない。狂騒の宴。
 
やってもやっても先は見えてこない、
お客さんが増えれば、それだけ面倒も増える。
 
取った取られたは日常茶飯事。
いつの間にか、来なくなったお客さん…
へんだなあ??と思っていたら
可愛がっていたヘルプが、新しく移ったお店に通ってた。
 
当時、銀座は、古きよき大人の社交場ではなくなり、
マネー'sパワーの時代と変わりつつある時代。
 
ロマネだかなんだか知らないが…
ちまちま飲むのは性に合わない、
オレはシャンパン…向こうが2本なら、
こっちは5本だ…全部飲むまで帰らねえぞ。
…そんな光景を肴に たまにちまちまと
お酒を飲むというのはなかなかの一興でした。
 
僕の席は地味な席…ホステスさんは休憩しにやってくる。
 「はあ…疲れた …しつこいんだよね ○○の会長」
 「毎週じゃない…気をつけなよ。
    □□さん…△△ちゃんも口説いているらしいから」
 「せこいんだよね。東京出張の度に 元取ろうと…してさ。 」
 「太いお客は美味しいけど…売り掛け三桁行ったら気をつけて、
    パンクする兆候…教えるから」
 「!…あらまあ ごめんなさいモンちゃん…こんな話し聞かせちゃって…」
僕の席は地味な席。
 
Mさんは その店のNO2 イケイケ度合いも半端ではなく 
彼女の出勤前は 同伴を狙う男が群がる。
同伴にフラレタ男は、店で待ち構えている。
…彼女が店にやってくる前から…
同伴を勝ち得たお客は得意顔。

同伴男は仕方ない。 
次はどの席に来るんだ。もちろんオレの席だろ。
男達の嫉妬がうずまく。
 
お目当てのMさんがやってきた。
まずどの席からごあいさつしようかと悠然と店内を見渡す。
 
…僕と 目が会うと… ニコッと笑いやってくる。
 
「おいおい!!やめてくれ、オレは待ってないし、
   ……そうかいわざとかい。悪魔の所業だね…
   ほらみんな睨んでる。勘弁してくれ…
 オレは傍観者…単なる地味な傍観者」
 
そのMさんが真夏の深夜 
銀座の並木通りを駆けて行くのを見かけたことがある。
裸足で…しかも泣きながら …車道を…
 
真っ赤なドレスが きれいだなあ~なんて
間抜けに見とれていたことを思い出しました。
 
そんな彼女も銀座をあがり…もう4年。
「今日、就職が決まりました。初の社員です。
 3月から宇都宮で研修です。頑張ります」と。
 
1流のホステスは、優秀です。 
 
相手の気持ちを見抜く力。お金を引き出す営業力。
いっぺんに多くのことを考え遂行する段取り力。
メンバーを育成するマネジメント力。
そしてなにより、目標に対する高い達成意欲。
 
すべてが備わっています。
だから 大丈夫。 がんばって。
 
もうひとりはYさん。
こちらからは
「いま、伊豆のリゾートホテルでセラピストしてます。
 去年1年間、沖縄の学校に通い。就職しました。
 緑がキレイで 静かなところです」 …と。
 
違う形で人とかかわり、希薄でいて妙に濃かった 
銀座の人間関係があったから、
いまの仕事を選んだのでしょうか?  
 
真相はわかりませんが。
こちらも大丈夫。 がんばって。
 
銀座の店を手伝ってくれていた学生たちも、
この4月から社会人。
 
ひとりは「人材関係の会社」に就職。
営業として。
 
とても気性の優しい子で、
お母さんの愛情を強く受けているから、
営業…どうかなあ…とも思いましたが、
新しいことを取り入れて、成長してゆく
伸びしろがいっぱいある子ですから、
どんどん先に進んでくれることでしょう。
 
学生時代の4年間。
想ってはフラレ 想ってはフラレ…
そんな彼が、先週「僕の彼女です」と
女性を伴って現われた時は、
うれしいやらはずかしいやら、でした。

ひとつ年上の聡明な女性でした。 
よかったよかった。
 
Sちゃんは、新聞社勤務のお父さん転勤にあわせて、
台湾にゆくそうです。
 
いまは、語学習得に専門学校に通う日々。
いまの日本での就職よりも、
違ったなにかが見えてくる気がしたのでしょう。
 
才能豊かな女性ですから、自分に合う、
目的を探し出すことでしょう。
 
カフェをやりたいAさんも、 
就活はさっさと見切りをつけ、
バイトしながら模索中とのこと。
 組織やビジネスは似合わない彼女ですから…
それもよいでしょう。
 
ニュー新橋ビルには、中国系のマッサージ屋さんが多くありますが、
なかのひとつに勤める20歳の陳さんとはお友達。
 
生まれは広東省。父さん母さん 
弟妹とおばあちゃんと故郷に残し、
日本に来て3年。
 
自分で稼いだお金で日本語学校を卒業。
4月からデザインを学び 
ビジネスを学ぶ大学に通う予定だそうです。
 
午前中~深夜の12時近くまでの力仕事。
土曜日も休まないそうです。 
もっと稼いだら 故郷に帰る。
強い意志が彼女にはあります。
 
みんなまだ若く これからこれから。
 
経験は積みすぎると邪魔になるといいます。
 
判断の軸をもてない、
器用に立ち居振る舞いはできるものの…
流されているだけで…強さがない。
とでもいうことなのでしょう。
 
それでも、経験がないことは 
引き出しのないこと…
凡人が生き抜くためには 
他人と関わるためには、
まずは、幅広い経験をして、
多くの引き出しを産むこと、
これが大切です。
 
適度な引き出しが持てたら、その上に自分の主張を…
アイデンティティを作り上げる…
そういう風に出来ればよいのでしょうが…
なかなかそう簡単にはゆきません。
 
このたび、某大手の企業で部長に昇進した友人が…
言ったことがあります。
 
「自分のことじゃなければ、どんなことでも頭を下げられる
 …これが僕の能力」と。
すげえなあ~と思いました。
 
普通に聞くと、
冷たい言葉に聞こえますが、出来る人は少ない。 
他人が出来ないことを身につけられたら、
その人生は価値があるのです。
 
ただ、それなりの企業で、部長になるということは、
経営の一翼に参加するということ。
プレイヤーを兼ねた 課長職とは 
その働き方が違ってきます。
 
クライアントに向けていた視線を 
会社に向ける比率が多くなる 
…そんな時にも潔く、たとえ不条理なことでも、
頭をさげることができるのだろうか?
 
出来るんだろうなあ ~彼なら。(笑)
 
春なので なんとなく 徒然な話しでございます。

大阪再発見

投稿日時:2009/01/15(木) 16:30

「大阪は ほんまにごっついとこやなあ」
「どこがあ?」
「メリハリが あるわ なんちゅうても」
「めりはり?」
「そや。はっきりしてんねん。なにごとも」
「なにがあ?」

「まずなあ 女の子がきれいやねん。 
   おしゃれだし イキイキしとる」
「それは おもいこみちゅうもんやで」
「いいや ちがうでえ 東京モンはみんな、すましとる」
「まあ たしかにな 東京の女の子は、見られとること
   意識して歩いとる感じわするわな」
「そやろ。こっちはちゃうでえ。
   他人がどう見ようと関係あらへん。
   自分の道をまっすぐに…や」
「なんやそりゃ」

「心斎橋でな 全身真っ黄色…の女の子がおったんや。
  帽子もコートもスカートもブーツも黄色。
 スカーフも手袋も…耳あてもな…ぜえ~んぶ黄色や」
「そりゃすごいなあ」
「でな、横に連れがおんねん。そっちはな…ぜんぶ青いんやで」
「ほんまかいな」
「ほんまや。同じ格好やねん。
 たぶん同じ店でぜんぶ色違いで、おそろいにしたんやで」
「気合入っとるなあ」
「そやろ。自分の道や」
「そりゃすごいなあ…もうひとり赤がおったら…信号やなあ」
「そうそう。わしもそう思ったんや。
 でもな、考えたら赤はあかん」
「なんでや」
「赤だけに…止まってまうやろ」
「……くっさいなあ」
 
「ほかにもな、食いモンがごっつう美味い
 しかも安いんやで」
「そういうわな」
「新世界のな、串揚げ食うたことあるかあ」
「ないで。人気の店は…並んどるんやろ」
「そうやで。行列や。
 でもな。そんなたいそうな店じゃんくてもな、
 どこでも美味いんや」
「そうかいな」
 

「串揚げだけやないで」
「ほかにもあるんかあ…粉モンが有名やね」

「かすうどん」
「かすぅ?」
「ぼけ・かすのかすかあ?」
「そや」

「ホルモン味噌丼550円」
「なんやそれ うまいんか?」
「きっついなあ」


「またな、夜の新世界がええねん」
「なにが?」
「夜中なのにな、おっさんみんなで将棋しとんねん」
「おお!王将やな」
「そやそや」
「赤井秀和や」
「そやそや」
「熱気がな、すごいんや」
「とうきょうのおっさんは、元気ないもんなあ」
「ないない みんな下向いて歩いとる」
 

「店のな看板がな またメリハリ効いとるんや」
「どういう意味?」
「わかりやすい 思わず引き込まれるつう感じや」
「なるほどなあ」
「そういう看板が、夜の新世界では
 あっちゃこっちゃで、キラキラ光っとんねん」
「きれいやなあ」
「きれいや」
 
「でもな、なんちゅうてもこの看板が一番や」
「~きてやこうて屋~?」
「ええなあ」
「ええやろ。この最後の“屋”ちゅうんがな」
「ごっつうおしゃれや」
 
 
「その先に見えるんが、通天閣や」
「知ってるでえ…
 でもな大阪モンは実はあんまり登ったことあらヘンらしいで」
「当たり前や…」
「通天閣は登るもんじゃないで…見るもんや」
「そないなもんか」
「登ったら…見られヘンがな」
「そりゃそや」

 
「ビリケンさんや」
「あれはおかしいなあ」
「おかしい…あれでご利益があるちゅう
 そこんところが分からん」
「たしかになあ~ 足の裏触るんやで」
「なんでやねん」


「ごっついなあ」
「ごっついやろ」
 
「大阪ゆうたら…UFJやろ」
「…それをゆうなら…USJや」
「はやっとるらしいな」
「あれのせいでな。昔、ビルの間走っとった、
 ジェットコースター潰れたらしいで」
「ビルの中、ジェットコースター走らせたんか?」
「そや」
「そりゃ潰れるわな~」
「潰れる潰れる」
「おかしいなあ大阪」
「おかしいおかしい」
 
「でもな、なんつうても今はな。なんばグランド花月やで」
「お笑いやね」
「やっぱり、ライブで見んとあかんで」
「そうかあ」
「テレビはな、漫才とか、ひと組の持ち時間、短いやんか?」
「長くても4分とかな」
「あれは可哀想や」
「テンポがあってええやん」
「違う違う…それは誤解や」
「そうかあ」
「なんばの舞台だと10分なんや。まずはイジリからはいんねん。
 ~空席以外は満員御礼やなあ~とかなんとかいうねん。
 でな、じっくり笑いをつくっていくねん。
 その感じがな、なんともプロやねん」
「ふーん」
「おばちゃんとか多いとな。~名古屋から西はな、
 50歳過ぎるとおっちゃんもおばちゃんも
 かわらヘンねん~とかいじりよるんで」
「わかるなあ」
「わかるやろ」
 
「ごっついなあ~大阪」
「ごっつい ごっつい」
 
「セクキャバ とか知っとるか?」
「なんやそれ」
「セクハラキャバクラや」
「なんやねん。そのネーミング」
「そのままやねん」
「なんや、じぶんそないなとこ行っとるんか」
「ちゃうちゃう 聞いた話や」
「ごっついんか?」
「ごっついでえ…いや…ごっついらしいでえ」
「あんなこともこんなこともか」
「あんなこともこんなこともやでえ」
「ごっついなあ」
「ごっつい ごっつい」
 
「お土産はな。蓬莱件の肉まんがな、お勧めや」
「うまいうまい」
「あれは、肉まんちゅうより…
 シュウマイやな。でかいシュウマイ」
「冷凍で買っちゃあかんのやろ」
「しっとるねえ。そや。ほかほかで買って、
 ウチで温めなおすねん」
「通やなあ」
「そやろ」
 
「あのな ゆうてもええかあ」
「なんやねん?」
「関西人はな。東京モンがな、
 こういう適当な関西弁喋るのムカつくねん」
 
「しゃあないやろ。一人二役だしな」
「静岡生まれだしな」
「気分でえへんしな」
「でえへんでえへん」
「大目にみてもらわんとな」
「そやな」
「そやそや」
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