紋谷のソコヂカラ

女性の井戸端会議が「世界の嘘を解き明かす」という話し…ではない [本]

投稿日時:2009/11/02(月) 21:35

川上弘美の新作「これでよろしくて?」を
柴門ふみが評していた。



◆男たちが不況だ 政変だ 世界の石川遼だ
と騒いでいる一方、
世界の半分を構成する女性は、
〈日々は些事からのみ、できあがっている〉ことを知り、
目に見える数字や、耳にする言葉以外のことの方が
重要であることがわかっているのだ。

 人は「頑張れ」より「それでいいんだ」を求めている。◆

こういうモノの伝え方は…
分かっていても出来ないなぁと思った。

そもそも読みたいと思っていた小説だったので、
彼女の評論そのものでその気分が変わったわけではなく、
どこにでもいそうな主婦の
井戸端会議ストーリィの意味することを、
端的に本質をつくコメントにしてしまう
柴門さんの表現の力に感心してしまいました。

言われてみれば当たり前で…そんなことは分かってるさ…
と言う話しも、伝え方次第で…
なるほど…と改めて感じさせる力に変わる。

25年勤め、今年の春に役員に昇進したばかりの友人から、
会社辞めるわ…と連絡が来た。
叩き上げと外様とが…まことにもって意味のない闘いを
日々繰り広げる経営ボードを目の当たりにして…
不毛地帯だわ…と愚痴ってはいたが…
もともと先代の会長の人柄に惹かれ、
不採算部門を立て直しに躍起になっていた時代を知っていたので…
これはまたどうして?…
と尋ねずにはいられなかった。

「この前さ…久しぶりにマトリックス観たんだわ…
 でさ…あの黒人の船長がキアヌに言うのさ…
 分かっていることとやるってことは全然違う…って」



「…?…で?」

「役員になって風景変わったんだよね…
 やっぱり 経営が身近になって…
 会社や事業を上や外から見る感覚が生まれた。
 …でウチの会社の社長って、こんなんなんだって…
 想像ついたんだよね」

「…でも やってみなけりやわからないってことなら…」

「そうなんだけど…社長にはなってみなけりゃわからないから…
 なろうと思ったんだけど…
 どうせなら出来上がった今の会社の上に立つんじゃなくて…
 新しく自分で始めようかと」

「マトリックス観て…?」

「マトリックス観て(笑)」

会社を辞めようが、起こそうが、どこにでもある話しではあるので…
特段のことはないが…きっかけがマトリックスというのは…
なんだか面白い。

そもそも…マトリックスにそんなシーンがあったのかも思い出せないし…
あったとしても…ボクの鈍さでは人生訓などとは思わないし…
いわんや、マトリックス観て人生の決断はしないだろう。

後日…

「オマエさぁ…退職して会社作るってことさぁ
 ほんとは前から決めてたんだろ。
 マトリックス観てって…相手がオレだから考えた…後付けだろ?」

「…いやいや…悩んではいたんだけど…ほんと、
 何も決めてなくてさ…DVDがあったからなんとなく観ててさ…
 で…あのシーンでハッ!と思ったんだよ…マジです」

今いる現実の世界は…まったくの嘘で…
その支配からいっしょに抜け出す為に、ともに闘おう…
と誘われるシチュエーションを、彼の今の立場と考え合わせてみる…

なんて陳腐なことはしませんが…
「言うとやるとじゃ大違い」

 使い古された言い回しですが…
マトリックスじゃなければ彼の人生を変えなかった…
ってとこが妙に可笑しかった



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