紋谷のソコヂカラ
無題
投稿日時:2009/06/30(火) 15:36
どうして、その場にボクが同席したのか よく覚えていない。
営業マン同士、しかも役職者同士の打ち合わせといっても、
同じ部署内のことではなく、事業としての関連はあるものの、
直接の利害は一致しない2人の間のミーティングでありました。
…が 目的は片方にとっては、
営業戦略上どうしてもお願いしたいことで、
もう一方にしてみれば、やっかいで面倒臭いだけの話し。
まあ、よくある打ち合わせ。
直属の上司からの指示があれば、仕方ないなあ…と
お義理も含め参加するような内容の場です。
よくある話だけに 一方の依頼を聞き、おざなりの質問をして、
「わかりました 部署内で共有しておきますよ」
あたりが予定調和と思っていた。
ボクのその場での役割は決まっていないのだが、
他部署への依頼と言うこともあり、同席することが、
役目でありました。
だから、その打ち合わせの内容は一編も覚えていない(笑)。
それでも、いまなお記憶にあるのは、
片方が、打ち合わせがはじまり、ものの5分と経たないうちに、
「ごめんなさい 協力はできません」
と席を立ってしまったことが印象的だったからだと思う。
一方は、真っ赤になって声を荒げた
「おい。その態度は失礼じゃないか…」
片方は、じっと相手を見つめ、
「それは、ボクがしなければならないことではなく、
そんなことやっている暇はないのです」
と静かに言い放った。
だいぶ経ってから その彼と個人的に話す機会があった。
「ボク、営業が好きなんです。
売れといわれれば、なんでも売るんでしょうね」
と言うので、
「商材やサービスの別はないの?」
と聞くと、
「関係ないのですこれが、売ることに向き合えればそれが一番。
そういう環境さえあればそれが楽しい」
と言う。
いつかの打ち合わせでの彼の態度を思い出し、
「売ることに向き合えない仕事はしたくない?」
「…ええ」
「でも、それでは成り立たない場面もあるんじゃないの?」
「…しませんよ。 笑って逃げちゃう」
「それでも、お鉢が回ってきたら」
「…それが いかに意味がないか…説得します」
「上司に」
「ええ…上司でも誰でも」
そうか。
ボクも含め、世の凡人は、
やりたい事と、実際に出来るか…と言うことには、
大きな隔たりがある。
でも、彼にとっては 当たり前のことなんだろう。
それほどに、自分の歩むべき方向を見据え、
行動している彼に、新鮮に驚いた。
「おためごかし」を「おためごかし」と拒絶する潔さは、
触れていて気持ちがよかった。
また、結果、営業成績が抜群であったからこそ、
成せる技だとも思うが、
ここで、間違えてはいけないことは、
「業績が上がっているから意見を通した」 のではなく、
「業績を上げたいから意見を通す」なのだということを。
その後、彼が会社を辞め、独立し、営業として名を上げてゆく
過程を詳しくは知らない。
知らないが、彼が、本気で向き合える商材かサービスに出会え、
そこだけに向き合える環境を作ることに
成功したのだろうと、勝手に想像していた。
それから、数年が経ち、再会した。
「立派だなあ~って門の前で、財布から50円玉出すんです。
で、門の横のチャイムを鳴らす…
出てきた家人に、これ、門の前に落ちていましたよって…
そこから 営業始めるんです。
聞いてくれるんですよこれが けっこう…」
楽しそうに話す。
「通勤では、グリーン車にあえて座るんです。
そういうところで、耳を澄ましていると、
ボクが仕事を取りたいと思う…
お客さんの興味が見えてくるんです。
それで、習い始めたのがゴルフ。…で、
理論を勉強してゆくと…
○○プロのゴルフ論が自分にはあっていることに気づいて、
彼の出場している大会に付いて回るようになりました。
何度も何度も顔出しているうちに、
なんと、○○プロ本人から、
“いつも見ていただいてますよね。
今度、ご一緒にラウンドしませんか”
と言われたんです。
“○○プロと知り合いで、一緒にラウンドしたんです。”
なんて言うと、今まで歯牙にもかけてもらえなかった
お偉いさんたちが、みな、膝を乗り出してくる…(笑)
そこで、ボクは言うのです。
“ご一緒に回るのでは構いませんが、ボクも仕事で伺っているので、
その後のお付き合いをお考えいただけるのなら…”
って。パシッとね。(笑)
出てくる、出てくる…営業という仕事を、
これほど楽しそうに話す人間にボクは会ったことがない。
商品やサービスに、差別化が図れない時代、
やはり売るのは人間という個性。
逆に、差別化が、わかり易く図れてしまうものがあれば、
それは誰にでも売れるのだろう。
仕事は、その仕事自体をどこまで楽しんで出来るかと言う…
とてもシンプルな話し。
いろいろと感じる。
甲州 賢 さんが 亡くなられました。
お酒を嗜まれない彼と、
膝を突き合わせて話す機会が多くなかったせいか、
ここに書いたこと以上の、
思い出が ボクにはありません。
逝ってしまった 知り合いに
「もっと 語っておけばばよかった」
というのはナンセンスな話しです。
ボクの中には、合った回数や時間とは関係なく、
彼の印象が強烈に残っているから、
それでよしとしなければなりません。
彼には、世の、“営業が好き”という輩に限ってある、
なにかこの「押し出しの強さ」みたいな匂いがしなかった。
しないですが、どこか、怖さもあった。
怖さと言うか、ストイックさが故の脆さ…とでもいうか。
営業を楽しむ自分の対極にある、心のあやうさ…みたいなもの。
ボクの中にある 甲州賢は、そういう印象です。
色に例えるなら、深く沈んだ…青ですかね。
精錬潔白 まじめさと強い意志
穏やかに確実に前に進む そういう強い意志。
「静かなる 巨人」
それが ボクの中にある 甲州 賢の 印象です。
もう変ることはない 僕の 僕だけの 印象です。
ご冥福を祈る ことに違いはありませんが、
同時に、僕には、
「もんやさん…天使の輪って売れるんですよ。
これがけっこう人気で…」
甲州 賢 天国営業所 所長 の名刺を渡され
楽しそうに語りかけてくる 彼の姿が目に浮かびます。
営業マン同士、しかも役職者同士の打ち合わせといっても、
同じ部署内のことではなく、事業としての関連はあるものの、
直接の利害は一致しない2人の間のミーティングでありました。
…が 目的は片方にとっては、
営業戦略上どうしてもお願いしたいことで、
もう一方にしてみれば、やっかいで面倒臭いだけの話し。
まあ、よくある打ち合わせ。
直属の上司からの指示があれば、仕方ないなあ…と
お義理も含め参加するような内容の場です。
よくある話だけに 一方の依頼を聞き、おざなりの質問をして、
「わかりました 部署内で共有しておきますよ」
あたりが予定調和と思っていた。
ボクのその場での役割は決まっていないのだが、
他部署への依頼と言うこともあり、同席することが、
役目でありました。
だから、その打ち合わせの内容は一編も覚えていない(笑)。
それでも、いまなお記憶にあるのは、
片方が、打ち合わせがはじまり、ものの5分と経たないうちに、
「ごめんなさい 協力はできません」
と席を立ってしまったことが印象的だったからだと思う。
一方は、真っ赤になって声を荒げた
「おい。その態度は失礼じゃないか…」
片方は、じっと相手を見つめ、
「それは、ボクがしなければならないことではなく、
そんなことやっている暇はないのです」
と静かに言い放った。
だいぶ経ってから その彼と個人的に話す機会があった。
「ボク、営業が好きなんです。
売れといわれれば、なんでも売るんでしょうね」
と言うので、
「商材やサービスの別はないの?」
と聞くと、
「関係ないのですこれが、売ることに向き合えればそれが一番。
そういう環境さえあればそれが楽しい」
と言う。
いつかの打ち合わせでの彼の態度を思い出し、
「売ることに向き合えない仕事はしたくない?」
「…ええ」
「でも、それでは成り立たない場面もあるんじゃないの?」
「…しませんよ。 笑って逃げちゃう」
「それでも、お鉢が回ってきたら」
「…それが いかに意味がないか…説得します」
「上司に」
「ええ…上司でも誰でも」
そうか。
ボクも含め、世の凡人は、
やりたい事と、実際に出来るか…と言うことには、
大きな隔たりがある。
でも、彼にとっては 当たり前のことなんだろう。
それほどに、自分の歩むべき方向を見据え、
行動している彼に、新鮮に驚いた。
「おためごかし」を「おためごかし」と拒絶する潔さは、
触れていて気持ちがよかった。
また、結果、営業成績が抜群であったからこそ、
成せる技だとも思うが、
ここで、間違えてはいけないことは、
「業績が上がっているから意見を通した」 のではなく、
「業績を上げたいから意見を通す」なのだということを。
その後、彼が会社を辞め、独立し、営業として名を上げてゆく
過程を詳しくは知らない。
知らないが、彼が、本気で向き合える商材かサービスに出会え、
そこだけに向き合える環境を作ることに
成功したのだろうと、勝手に想像していた。
それから、数年が経ち、再会した。
「立派だなあ~って門の前で、財布から50円玉出すんです。
で、門の横のチャイムを鳴らす…
出てきた家人に、これ、門の前に落ちていましたよって…
そこから 営業始めるんです。
聞いてくれるんですよこれが けっこう…」
楽しそうに話す。
「通勤では、グリーン車にあえて座るんです。
そういうところで、耳を澄ましていると、
ボクが仕事を取りたいと思う…
お客さんの興味が見えてくるんです。
それで、習い始めたのがゴルフ。…で、
理論を勉強してゆくと…
○○プロのゴルフ論が自分にはあっていることに気づいて、
彼の出場している大会に付いて回るようになりました。
何度も何度も顔出しているうちに、
なんと、○○プロ本人から、
“いつも見ていただいてますよね。
今度、ご一緒にラウンドしませんか”
と言われたんです。
“○○プロと知り合いで、一緒にラウンドしたんです。”
なんて言うと、今まで歯牙にもかけてもらえなかった
お偉いさんたちが、みな、膝を乗り出してくる…(笑)
そこで、ボクは言うのです。
“ご一緒に回るのでは構いませんが、ボクも仕事で伺っているので、
その後のお付き合いをお考えいただけるのなら…”
って。パシッとね。(笑)
出てくる、出てくる…営業という仕事を、
これほど楽しそうに話す人間にボクは会ったことがない。
商品やサービスに、差別化が図れない時代、
やはり売るのは人間という個性。
逆に、差別化が、わかり易く図れてしまうものがあれば、
それは誰にでも売れるのだろう。
仕事は、その仕事自体をどこまで楽しんで出来るかと言う…
とてもシンプルな話し。
いろいろと感じる。
甲州 賢 さんが 亡くなられました。
お酒を嗜まれない彼と、
膝を突き合わせて話す機会が多くなかったせいか、
ここに書いたこと以上の、
思い出が ボクにはありません。
逝ってしまった 知り合いに
「もっと 語っておけばばよかった」
というのはナンセンスな話しです。
ボクの中には、合った回数や時間とは関係なく、
彼の印象が強烈に残っているから、
それでよしとしなければなりません。
彼には、世の、“営業が好き”という輩に限ってある、
なにかこの「押し出しの強さ」みたいな匂いがしなかった。
しないですが、どこか、怖さもあった。
怖さと言うか、ストイックさが故の脆さ…とでもいうか。
営業を楽しむ自分の対極にある、心のあやうさ…みたいなもの。
ボクの中にある 甲州賢は、そういう印象です。
色に例えるなら、深く沈んだ…青ですかね。
精錬潔白 まじめさと強い意志
穏やかに確実に前に進む そういう強い意志。
「静かなる 巨人」
それが ボクの中にある 甲州 賢の 印象です。
もう変ることはない 僕の 僕だけの 印象です。
ご冥福を祈る ことに違いはありませんが、
同時に、僕には、
「もんやさん…天使の輪って売れるんですよ。
これがけっこう人気で…」
甲州 賢 天国営業所 所長 の名刺を渡され
楽しそうに語りかけてくる 彼の姿が目に浮かびます。
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