紋谷のソコヂカラ
知らずに死ねるか VOL.4
投稿日時:2008/08/31(日) 21:09
~グミ チョコレート パイン ~
ここまで走って来ちゃったんだけど…
いいのかな?こんなんで…いいんだよね…って
振り返ってしまう。
どうしても惑ってしまうから…惑わずの40代、
迷っちゃ駄目だの40歳。
就活まっただ中“もう”22歳っすよ。
歳とったって感じなんですよねぇ…なんか。
入社して3年。営業向いてないと思うんですけどぉ~ワタシぃ…。
「いやいや…まだまだ…なんのなんの…
ふっ…あほくさ…わかるよわかる…でもな」
30歳ではまだ早い。
40年経ったから…経っちゃったけど、
まだ若いから、まだ若いと思うから、
今の内に振り返りたくなる。
50歳になれば、またそれなりに振り返って
しまうんだろうけど…
この“まだ若い”ってとこに、
微妙な違いがあるような気が。
振り返るついでに、なんか言いたくなる…
「オレの青かった時代」「ワタシが真っ白だった時代」
ちょっと巡らすだけで、
「あの頃テーマ」の映画や小説はザクザクと浮かびます。
でも、この手のテーマを扱った作品は、難しい。
なぜなら表現する側のノスタルジィ、わが青春のカタルシスだから、
どこまで言っても「自己満足」になってしまう。
そうなると、若い輩には理解されないし、
こだわりの同世代からは「オレの過ごした時間とは違う」と言われる。
だから商業的テーマは、不変なものになりやすい。
恋愛や音楽や親との確執や友情やスポーツ…
盗んだバイクは走り出し、ひと夏の花火は彼女の浴衣…
病気にならなきゃ事故に遭い、バンドは組むわバイトはするわ、
バトンはつなぐわ…
そんな中から、知らずにいたら損だよ、
と言えるものを紹介するのは難しいのですが…
少し前に、狭くテーマを募集したところ、
「夏の終わりにふさわしく、40歳過ぎた自分に
ちょっとしたビタミン剤になる邦画や小説はありませんか」
というお題を頂いてしまったのです。
まずは大林作品(笑)からだろと思いましたが…もう観たと言われ、
「初期の3部作なら“さびしんぼう”それ以外なら
“異人たちとの夏”と“北京的西瓜”が好き」とまで…
おっ!…こいつ素人じゃねえな(笑)…となり…
じゃあまあ、わかりましたと紹介することにしました。
だから、この長い前置きは、言い訳です。
◆◆◆ ◆◆◆
◆「ワンダフルライフ」
監督:是枝裕和1999公開
●これは40歳代から青春を振り返った映画ではありません。
でも、過去の自分を探すという意味では、これほどの傑作は見当たりません。是枝さんお得意のドキュメントの手法を取り入れた作品ですが、完全なるフィクションです。
死んでから死後の世界へと旅立つまでの1週間…“ある場所”に集められた老若男女。そこで彼らは、「自分の人生で一番大切な思い出を、1つだけ選んでください。」と言われます。
“ある場所”にはスタッフがいて、彼らの役目は、その“たったひとつの思い出”を…思い出す手助けなのです。期限は1週間…さまざまな人が、それぞれの人生を振り返る…個性豊かな面々が語るリアルなお話し…そして思い出が決まり、スタッフの手により行われるセレモニー。
死が訪れた時、走馬灯のように…とは言いますが、
ひとつ一番の思い出と言われれば、誰しもが困る。
「多すぎて困る」そんな人生を送れれば幸せなのでしょう。
こう書くと、暗いのでは…と思われるかもしれませんが、
決して暗く、地味な映画ではありません。蛇足ながら。
◆「グミチョコレートパイン」
原作:大槻ケンジ 脚本・監督: ケラリーノ・サンドロビッチ>
●物語は2007年。40歳になってリストラされた主人公(大森南朋)が実家に帰ってきます。そこに、高校時代、好きだった同級生から届いていた手紙…1枚の便箋に書かれた、「あなたのせいなのだから」のひと言。
彼女がすでに亡くなっていたことを知った主人公は、その言葉の意味を考えます。映画は、2007年の今と、21年前 の高校時代とをラップする形で進行します。高校時代の主人公は、売り出し中の石田卓也、彼女役は 黒川芽以 です。
この映画、「どうしても観て」というには少し散漫です。
要素を詰め込みすぎたせいなのでしょう、
削る場面は多い(特に、“今”…再会した悪友たちとのエピソードはいらないかと)と感じました。
でも、僕にとって…この辺が自己満足…自分を振り返るには、充分な“あの頃”が描かれていました。
最後、手紙に書かれていたひと言の意味が分かるのですが…
そのミステリィーな落ちも気に入りました。
◆「田村はまだか」
光文社:朝倉かすみ著
●深夜のバー。小学校のクラス会の3次会。40歳になる男女5人が友を待つ。友の名前は「田村」。…もう3次会ですから、この5人、けっこう出来上がっている。
2次会で別れた、ほかの同級生よりは、「近い存在」。それぞれに今はあって、それぞれに思いはある。高校時代よりも前、小学生のあの頃までさかのぼり、各々が思い出す。
シチュエーションが絶品で、この、ただ飲んでいるのではなく「田村を待っている」というところがミソでして、そこに読む側との一体感が生まれてしまう不思議な魅力があります。
ちなみに映画になるなら、僕はマスター役で。
ああ、なんかノってきちゃいました(笑)…まだまだありますが…我慢します。
ちなみに 件のリクエストは海の向こう、カリフォルニアからです。
ほとんど行ったっきりの20年。離婚して結婚して2児の母。
友人も数多くできたけど、やっぱり日本が懐かしい…あの頃の自分を思い出すとのこと。
ずっと日本にいるよりも、鮮明な記憶なのでしょうね。
ここまで走って来ちゃったんだけど…
いいのかな?こんなんで…いいんだよね…って
振り返ってしまう。
どうしても惑ってしまうから…惑わずの40代、
迷っちゃ駄目だの40歳。
就活まっただ中“もう”22歳っすよ。
歳とったって感じなんですよねぇ…なんか。
入社して3年。営業向いてないと思うんですけどぉ~ワタシぃ…。
「いやいや…まだまだ…なんのなんの…
ふっ…あほくさ…わかるよわかる…でもな」
30歳ではまだ早い。
40年経ったから…経っちゃったけど、
まだ若いから、まだ若いと思うから、
今の内に振り返りたくなる。
50歳になれば、またそれなりに振り返って
しまうんだろうけど…
この“まだ若い”ってとこに、
微妙な違いがあるような気が。
振り返るついでに、なんか言いたくなる…
「オレの青かった時代」「ワタシが真っ白だった時代」
ちょっと巡らすだけで、
「あの頃テーマ」の映画や小説はザクザクと浮かびます。
でも、この手のテーマを扱った作品は、難しい。
なぜなら表現する側のノスタルジィ、わが青春のカタルシスだから、
どこまで言っても「自己満足」になってしまう。
そうなると、若い輩には理解されないし、
こだわりの同世代からは「オレの過ごした時間とは違う」と言われる。
だから商業的テーマは、不変なものになりやすい。
恋愛や音楽や親との確執や友情やスポーツ…
盗んだバイクは走り出し、ひと夏の花火は彼女の浴衣…
病気にならなきゃ事故に遭い、バンドは組むわバイトはするわ、
バトンはつなぐわ…
そんな中から、知らずにいたら損だよ、
と言えるものを紹介するのは難しいのですが…
少し前に、狭くテーマを募集したところ、
「夏の終わりにふさわしく、40歳過ぎた自分に
ちょっとしたビタミン剤になる邦画や小説はありませんか」
というお題を頂いてしまったのです。
まずは大林作品(笑)からだろと思いましたが…もう観たと言われ、
「初期の3部作なら“さびしんぼう”それ以外なら
“異人たちとの夏”と“北京的西瓜”が好き」とまで…
おっ!…こいつ素人じゃねえな(笑)…となり…
じゃあまあ、わかりましたと紹介することにしました。
だから、この長い前置きは、言い訳です。
◆◆◆ ◆◆◆
◆「ワンダフルライフ」
監督:是枝裕和1999公開
●これは40歳代から青春を振り返った映画ではありません。
でも、過去の自分を探すという意味では、これほどの傑作は見当たりません。是枝さんお得意のドキュメントの手法を取り入れた作品ですが、完全なるフィクションです。
死んでから死後の世界へと旅立つまでの1週間…“ある場所”に集められた老若男女。そこで彼らは、「自分の人生で一番大切な思い出を、1つだけ選んでください。」と言われます。
“ある場所”にはスタッフがいて、彼らの役目は、その“たったひとつの思い出”を…思い出す手助けなのです。期限は1週間…さまざまな人が、それぞれの人生を振り返る…個性豊かな面々が語るリアルなお話し…そして思い出が決まり、スタッフの手により行われるセレモニー。
死が訪れた時、走馬灯のように…とは言いますが、
ひとつ一番の思い出と言われれば、誰しもが困る。
「多すぎて困る」そんな人生を送れれば幸せなのでしょう。
こう書くと、暗いのでは…と思われるかもしれませんが、
決して暗く、地味な映画ではありません。蛇足ながら。
◆「グミチョコレートパイン」
原作:大槻ケンジ 脚本・監督: ケラリーノ・サンドロビッチ>
●物語は2007年。40歳になってリストラされた主人公(大森南朋)が実家に帰ってきます。そこに、高校時代、好きだった同級生から届いていた手紙…1枚の便箋に書かれた、「あなたのせいなのだから」のひと言。
彼女がすでに亡くなっていたことを知った主人公は、その言葉の意味を考えます。映画は、2007年の今と、21年前 の高校時代とをラップする形で進行します。高校時代の主人公は、売り出し中の石田卓也、彼女役は 黒川芽以 です。
この映画、「どうしても観て」というには少し散漫です。
要素を詰め込みすぎたせいなのでしょう、
削る場面は多い(特に、“今”…再会した悪友たちとのエピソードはいらないかと)と感じました。
でも、僕にとって…この辺が自己満足…自分を振り返るには、充分な“あの頃”が描かれていました。
最後、手紙に書かれていたひと言の意味が分かるのですが…
そのミステリィーな落ちも気に入りました。
◆「田村はまだか」
光文社:朝倉かすみ著
●深夜のバー。小学校のクラス会の3次会。40歳になる男女5人が友を待つ。友の名前は「田村」。…もう3次会ですから、この5人、けっこう出来上がっている。
2次会で別れた、ほかの同級生よりは、「近い存在」。それぞれに今はあって、それぞれに思いはある。高校時代よりも前、小学生のあの頃までさかのぼり、各々が思い出す。
シチュエーションが絶品で、この、ただ飲んでいるのではなく「田村を待っている」というところがミソでして、そこに読む側との一体感が生まれてしまう不思議な魅力があります。
ちなみに映画になるなら、僕はマスター役で。
ああ、なんかノってきちゃいました(笑)…まだまだありますが…我慢します。
ちなみに 件のリクエストは海の向こう、カリフォルニアからです。
ほとんど行ったっきりの20年。離婚して結婚して2児の母。
友人も数多くできたけど、やっぱり日本が懐かしい…あの頃の自分を思い出すとのこと。
ずっと日本にいるよりも、鮮明な記憶なのでしょうね。
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