紋谷のソコヂカラ

旅になにを求めるのか [旅/土地]

投稿日時:2010/02/19(金) 18:41

今までいろいろなところに旅をして、
振り返ると、1度で十分と思う場所もあれば、
もう一度来たいなあ…と思える場所もありました。

中には、住みたいなあ…とまで
惚れ込んでしまう場所もある。

ただ、まだまだ行きたい場所、行けてない場所は、
数多く残っていて、人生、限られているし、
旅ばかりしているわけにもゆかないことも考え合わせると、
“初めての場所”にチャレンジしたい思いが、
一番強いのが本音のところです。

ちなみに、海外で恋焦がれている場所は、ギアナ高地。

べネゼエラの首都、カラカスから飛行機を2度乗り継ぎ、
カナイマへ、そこからボートと徒歩で4時間、
さらにジャングルに分け入り1時間…

その先にある「世界一高い滝-エンジェル・フォール」。
現地の部族の言葉、ぺモン語で「アウヤン・テプイ」
(悪魔の山)と名付けられた霊峰から、
この滝は流れ落ちていて、植物さえ生えていない
赤黒い岩肌の頂上から降り注ぐ…
その高さ2000メートル。

水源は、山頂に降った雨で、落差がありすぎて、
落下途中で水が拡散して滝つぼがない…と、
こんな滝にぜひとも出会いたいと思っている。

ちなみに僕は、いわゆる世界遺産的なものに
あまり興味がない。

旅の途中に、寄ることはあっても
「そこを目指しての旅」というわけではなかった。

世界規模で残すべき “遺産(この意味が今ひとつ分からないのだが)”
と認定されているということはすごいことだとは思うのですが、
そんなことより、インドの汚い木賃宿で、
街の雑踏の中に身を置き、そこに暮らす人々を日がな眺めていたり、
ガイドブックに載っていない、フランスの田舎町を自転車で
ふらふらしたりしている方が、性に合っていた。

特に「ボーダーな場所」に強く惹かれていて、国境の町、
異文化が混じり合うなんとも言えない空気の感じが大好物でした。

島国に生まれたせいもあるのかもしれません。

振り返れば、日本(笑)…なんだ、まだまだ知らないではないか。

いつ叶うのかもわからない、でっかい滝への旅は、
ひとまず目標に置き、その前に、身近な日本を少し探訪してみよう。
最近、そんな思いが強くなってきていました。

日本で未だ行ったことがなく、惹かれている場所と言えば、
島根、鳥取の山陰エリア、和歌山と三重、
そして青森と鹿児島であります。

はじめのふたつは、いわゆる大動脈から外れていることもあり、
なかなか訪れる機会がなく、本州の最両端エリアもさずがに
行こうと思う計画を立てないといけない場所。
海外ならばボーダー好き、島国日本では
替って「端っこ」「隅っこ」が好きということみたいです。

そういえば昔から飲み会の席も隅が好き…性格なのでしょう(笑)

そんな折に、仕事で関西に行くことになった。
日程は僕任せということもあり、こういうチャンスは逃す手はない…
同行するライターの両名に話を持ちかけ、
山陰エリアへ足を延ばすことにした。

おっさん3人旅。

ひとりは、以前も紹介した
「旅のおもしろコラムニストの宮田氏」
もうひとりは
「うちにお掃除に来ていただいていることで有名?な篠塚氏」

ちなみに篠塚氏は、情報誌の取材などで日本全国を旅しているうえに、
軽い“鉄”でもあります。
日程と宿の手配は彼任せ。

宮田氏は、仕事で四国お遍路の取材を終えたばかり、
篠塚氏は確定申告と引っ越しに忙殺されている最中、
忙しい合間を縫っての旅、
それでもせっかくの旅ですから
なにかおもしろい仕掛けを…となり、意気投合。

宮田氏から
「次は、“迷路な温泉”のコラムを書くつもりなので、
 旅館はそういう場所を」との提案があり、
鳥取、島根の宿を選定。

僕からは、まず姫路城の下で集合しましょう。
そこで別れて、お互い好きなところを巡り、
翌日、鳥取の温泉で集合、
翌朝また別れ、お互い別々に…で、
夜にまた島根の宿で集合…と提案。

旅慣れた上に、わがままなおっさん連中、
「よかろう」となり、そんな珍妙さが持ち味の企画。

…ついでに変わった石を拾って見せ合う…
なんてことも追加される始末に…
ヘンでしょう(笑)

こういうことを楽しめる面子と旅行できるなんてことは、
なかなかありません。

この旅の模様は、後日、宮田氏で紹介されることでしょうから、
詳細は…そちらをぜひご覧ください。

“僕の”旅だけに限れば、かなり充実した旅となりました。

まずは、初の姫路城、世界遺産に興味は…と言いましたが、
いやあ、よい城でござった。

スケールもさることながら、デザインがモダンなのです。
旅の途中、松江城にも訪れたのですが、
比較すると申し訳ないくらい…

よきかな よきかな 白鷺の城。



今年、天守閣の改修工事に入るらしく、
その前に観ることができたのは誠にラッキーと思える城でした。

姫路から山陰へのルートはさまざまあり、迷いました。

実は、山陰に行きたいと思っていた理由のひとつは
「餘部の鉄橋」これが観たかった。

…その意味では、兵庫県を北上し、城崎温泉を経て、
山陰本線を西に…
というルートなのですが、なにぶん遠い。

せっかくの姫路でしたので、
少し、西にある「竜野」にも寄りたく…
迷った末(餘部鉄橋は今年、秋までは観られるという情報もあり)、
北上ルートは断念して、
倉吉まで一挙に行ってしまおうと決めました。

このあたりは、3人それぞれ、
自分が好きに出来るというところがよいのです。

竜野は、寅さんのロケ地ということで知っていましたが、
祭りの武者行列、童謡「赤とんぼ」、
宮本武蔵の修行の地…とかいろいろ有名で、
ほっこりとした風情と歴史を感じる町、
カメラ片手にひとり散策にはもってこいでした。



その意味では、翌日の倉吉は、
それ以上だったかもしれません。

姫路から2時間で行けてしまうので、
早めに出かけて、第一集合場所「三朝温泉」に入るまで、
ずーっとぶらぶらしていました。

観光地化という意味では、竜野の素朴さはないものの、
それでも、町を隅々まで歩くと、そこかしこに
懐かしい景色が散らばっていて、
文字通り、時間の経つのを忘れてしまい、
ついでに足の痛みも忘れて…なんと4時間
もぶらぶら。

天女の壁画を中心に広がるこの町、
お醤油蔵の赤レンガや江戸風情の白い土塀…
東西に流れる堀川脇には、突然 バテレン調のお寺…。

背後の山の中にある長谷寺に思わず登ってしまって、
途中の長い石段で後悔…
それでも山深い中に響くお経には痺れました。

翌朝、三朝温泉から松江に、
宍道湖を回る「一畑電車」で出雲~出雲大社へ

スピリチュアルスポットとしても有名な出雲大社でしたが、
やはりこういう威容は、僕には興味がないと改めて感じ、
それでも一面の霧の風景の宍道湖を眺めながらの、
在来電車の乗り継ぎはなかなかに愉快でした。

途中、地元のおばちゃんや高校生が、乗ったり降りたり…
そういう日常の風景が楽しい。



世界の遺産「石見銀山」には興味がなかったのですが、
泊った温泉地「湯の津」にある2件の公衆浴場は、
最高でした。

こちらを世界遺産に…僕なら認定します。

「元湯」は朝の5時からやっていて、地元の人の交流場所。
鉄分が強く、湯船の脇は茶色のグラデーション…、
溶岩が溶けだしたような感じに…

天井は高く、木枠で囲まれた湯殿は狭く、
中には地元のおっさんが5,6人…
ゆっくりくつろぐ感じではなかったし、
写真もはばかられましたが、
それでも「ああ~いい湯」とおもわずポロリ口に出る。

朝は濁っているお湯が、閉める頃には人が入る空気のせいで、
透明になるそうです。
着いた夜に入ったのですが、番台から
「朝もう一度おいで、このお湯は朝がいいのよ」と声をかけられ
翌朝、もういちど入る…

違いはわからなかったのですが、
毎日来るという近所のおじさんの話では、
この風呂は朝がいいんだよ…
と同じようなことを言っていました。



土が良いらしく、山の隙間にあるこの温泉町を少し登ると、
陶芸の里(窯元は3つ)があって、
10段15段と日本でも有数の大きさの登り窯も見られます。

寒くなり、あられ混じりの雨の中、
この陶芸の里に顔を出し、出雲に戻り空路大阪へ、
山陰があまりに楽しく、お湯に当てられ…
翌日からの仕事は上の空でした。

たかだか1回では語りつくせぬ深さを感じた山陰。

次は兵庫北上ルートか 
広島から上がろうか…

またぜひ来たいと…

そういう旅の紹介にありがちな終わり方でございます。

コメント


う~む、良い旅だ。ワシの場合、こと『旅』に関しては自分で行くより、人が行った話を聞くほうが向いているかもなー。『旅』めんどくさいもん。

Posted by ツルピカ at 2010/02/19 20:44:17+09 PASS:
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