紋谷のソコヂカラ
歯にもの着せぬ [本]
投稿日時:2009/10/05(月) 11:14
お店をしていた頃の話。
来店されたのは、あるリクルート時代の先輩の女性。
といっても在職中、ボクと彼女に仕事上の接点はなく、
遡ること1年前くらいに、ボクがお店を始めほどなくして
別の知り合いといらして頂き、以来、何を気に入ってくれたのか、
時折、顔を見せてくれるようになった。
といっても、来店は遅い時間、もうそろそろ〆ようかという頃に、
「…いまから2人だけど、いいですか?」
と電話をいただく。
広報などの責任者をされていた関係で、
人脈も広く、仕事柄知り合われた、
社外の方を連れられて見えられるのが常だった。
来ると必ずカウンターに座る。
ほかにお客さんがいないときなどは、
片付けなどしながら、会話に混ぜて頂いた。
歯に衣着せぬ…とはよく言うが、彼女の場合それが、
押し付けがましくなく、聞いているこちらも思わず釣り込まれてしまう、
そんなお客様というのは、ご来店されるとうれしいものでした。
ある晩、話していると、あるリクルートの人間の話しになった。
ボクがよく知っている方で、歳は下だが尊敬していた方なので、
おもわず
「…僕が知る中では リクルート10傑に入る男性ですね…」
というと 彼女の顔が一瞬変り、刹那に
「女性はいないの?」
と切り返された。
…女性に10傑に値する人はいないのか?
…という意味ではなく、
あなたには“女性10傑”というランキングはないのか?
…という意味の質問であります。
といっても、挑むような感じではなく、
ごく自然に…
そう たしなめられた感じで…
あっ!? と言葉につまる…
そう言ってしまった以上 適当にごまかすこともできず、
「改めて思い直せば います。
でも、普段は意識していないかもしれません」
と答えた。
その改めて思い出す女性とは 誰か?
…などと無粋なことを聞かないのが
この方の素敵なところで、
その話しはそれで終わったのだが、
ボクの中ではその不用意な発言のことがずっと気になっている。
何かを決め付けるときは 責任がいる
それがこちらが些細なことと気にしないでも
相手には違って聞こえることはよくあるが、
そういうものは生きるマナーに属し、
身につけているにこしたことはない。
マナーがなっていないと
たしなめられたのだ。
反省した。
店を離れて3年になるが
彼女とカウンター越しに話せないと思うと寂しいし、
もし、リクルート女性10傑をあげるなら
彼女はその中に紛れもなく入る。
もちろん入れられても、
彼女には露のほどにも
どうでもよいことなのでしょうが。
◆◆◆
女流作家の台頭がすさまじい。
山田詠美 林真理子 よしもとばなな
らが確立した 女性ならではの繊細な目線は
どんどん進化をしている
途中…
宮部みゆき や 高村薫 が登場し、
単なるミステリーが、広義のエンターテイメント~
文学作品にしてしまう一連の流れの立役者を牽引したことは
エッセンスとなり 女性の柔らかな視線は
鋭利なものを生み出してきた気がする。
恩田陸 森絵都 佐藤多佳子 瀬尾まいこさんらが持つ路線
男では現しきれない 優しさは 相変わらずなのでありますが、
それとは別 …たとえば芥川賞を獲った 川上未映子
この 歯に衣着せぬ 感じはなんなのだろう…
オロオロとしてしまった。
そこまで言わない…いわないでわかってください…
というのが男の弱さですから、(時に美徳などと表す)
たぶんほとんどの男は 弱虫であるから とくに
こういう小説を前にすると どうしてよいのかわからない。
直木賞を受賞した、桜庭一樹さんの「私の男」にはそれほどの
怖さを感じなかったのは、ボクが前作の「赤朽葉家の伝説」が
とても好きで、あの小説を書く人は、信じられるというか
怖くないんだ…と情けなくも言い訳して読んだからでしょう。
女流作家の台頭に、どんな変化があったのか…
こんなことを感じたのは、
今年、「告白」 湊かえで が
本屋大賞を受賞してからで、…
ちょっとおかしいのではないか?
と思ってしまったのがその理由です。
するどいのは素晴らしいことですが
その切っ先の向きようがヘンなのではないのか?
衣を着せずに言えば、「この本はなし!」であります。
こういう小説が世に出回り、新しいチャレンジなどと
その表現技法も併せ 論じるのはよしとしても、
本屋さんの賞は、全国の書店員さんが
「ぜひ読んで欲しい」という年間の最高峰なわけで、
この本の持つ救いのなさを…
ほんとうに読んで欲しいと感じているのか?
ボクには分からない。
だから 昨今の女流作家さんの本を
今年、テーマを持って、暇さえあれば読んでみたのですが。
そこで、感じた収穫は…
女性の目線や表現力は 男のそれを はるかにしのぐ
と改めて感じたことです。
そして、その目線や表現力を感じさせてくれる
素晴らしい作品は どんどん生み出されている
とわかり安心したのです。
すべての小説に目を通したわけでもなく
ここでもんやの女流作家作品ランキングをあげつらうのも
センスがないので、
ここまで読んでの
ナンバーワン作家と代表作2作を紹介します
「8日目の蝉」 「対岸の彼女」 :角田光代
両作品とも 有名な作品ですから ご存知の方も多いとおもいます。
でも、男性は意外と未読なのでは…。
ぜひ読んで見てください。
というか 読まなきゃ ダメです(笑)
読むといいことが必ずあります。
そういう小説です。
来店されたのは、あるリクルート時代の先輩の女性。
といっても在職中、ボクと彼女に仕事上の接点はなく、
遡ること1年前くらいに、ボクがお店を始めほどなくして
別の知り合いといらして頂き、以来、何を気に入ってくれたのか、
時折、顔を見せてくれるようになった。
といっても、来店は遅い時間、もうそろそろ〆ようかという頃に、
「…いまから2人だけど、いいですか?」
と電話をいただく。
広報などの責任者をされていた関係で、
人脈も広く、仕事柄知り合われた、
社外の方を連れられて見えられるのが常だった。
来ると必ずカウンターに座る。
ほかにお客さんがいないときなどは、
片付けなどしながら、会話に混ぜて頂いた。
歯に衣着せぬ…とはよく言うが、彼女の場合それが、
押し付けがましくなく、聞いているこちらも思わず釣り込まれてしまう、
そんなお客様というのは、ご来店されるとうれしいものでした。
ある晩、話していると、あるリクルートの人間の話しになった。
ボクがよく知っている方で、歳は下だが尊敬していた方なので、
おもわず
「…僕が知る中では リクルート10傑に入る男性ですね…」
というと 彼女の顔が一瞬変り、刹那に
「女性はいないの?」
と切り返された。
…女性に10傑に値する人はいないのか?
…という意味ではなく、
あなたには“女性10傑”というランキングはないのか?
…という意味の質問であります。
といっても、挑むような感じではなく、
ごく自然に…
そう たしなめられた感じで…
あっ!? と言葉につまる…
そう言ってしまった以上 適当にごまかすこともできず、
「改めて思い直せば います。
でも、普段は意識していないかもしれません」
と答えた。
その改めて思い出す女性とは 誰か?
…などと無粋なことを聞かないのが
この方の素敵なところで、
その話しはそれで終わったのだが、
ボクの中ではその不用意な発言のことがずっと気になっている。
何かを決め付けるときは 責任がいる
それがこちらが些細なことと気にしないでも
相手には違って聞こえることはよくあるが、
そういうものは生きるマナーに属し、
身につけているにこしたことはない。
マナーがなっていないと
たしなめられたのだ。
反省した。
店を離れて3年になるが
彼女とカウンター越しに話せないと思うと寂しいし、
もし、リクルート女性10傑をあげるなら
彼女はその中に紛れもなく入る。
もちろん入れられても、
彼女には露のほどにも
どうでもよいことなのでしょうが。
◆◆◆
女流作家の台頭がすさまじい。
山田詠美 林真理子 よしもとばなな
らが確立した 女性ならではの繊細な目線は
どんどん進化をしている
途中…
宮部みゆき や 高村薫 が登場し、
単なるミステリーが、広義のエンターテイメント~
文学作品にしてしまう一連の流れの立役者を牽引したことは
エッセンスとなり 女性の柔らかな視線は
鋭利なものを生み出してきた気がする。
恩田陸 森絵都 佐藤多佳子 瀬尾まいこさんらが持つ路線
男では現しきれない 優しさは 相変わらずなのでありますが、
それとは別 …たとえば芥川賞を獲った 川上未映子
この 歯に衣着せぬ 感じはなんなのだろう…
オロオロとしてしまった。
そこまで言わない…いわないでわかってください…
というのが男の弱さですから、(時に美徳などと表す)
たぶんほとんどの男は 弱虫であるから とくに
こういう小説を前にすると どうしてよいのかわからない。
直木賞を受賞した、桜庭一樹さんの「私の男」にはそれほどの
怖さを感じなかったのは、ボクが前作の「赤朽葉家の伝説」が
とても好きで、あの小説を書く人は、信じられるというか
怖くないんだ…と情けなくも言い訳して読んだからでしょう。
女流作家の台頭に、どんな変化があったのか…
こんなことを感じたのは、
今年、「告白」 湊かえで が
本屋大賞を受賞してからで、…
ちょっとおかしいのではないか?
と思ってしまったのがその理由です。
するどいのは素晴らしいことですが
その切っ先の向きようがヘンなのではないのか?
衣を着せずに言えば、「この本はなし!」であります。
こういう小説が世に出回り、新しいチャレンジなどと
その表現技法も併せ 論じるのはよしとしても、
本屋さんの賞は、全国の書店員さんが
「ぜひ読んで欲しい」という年間の最高峰なわけで、
この本の持つ救いのなさを…
ほんとうに読んで欲しいと感じているのか?
ボクには分からない。
だから 昨今の女流作家さんの本を
今年、テーマを持って、暇さえあれば読んでみたのですが。
そこで、感じた収穫は…
女性の目線や表現力は 男のそれを はるかにしのぐ
と改めて感じたことです。
そして、その目線や表現力を感じさせてくれる
素晴らしい作品は どんどん生み出されている
とわかり安心したのです。
すべての小説に目を通したわけでもなく
ここでもんやの女流作家作品ランキングをあげつらうのも
センスがないので、
ここまで読んでの
ナンバーワン作家と代表作2作を紹介します
「8日目の蝉」 「対岸の彼女」 :角田光代
両作品とも 有名な作品ですから ご存知の方も多いとおもいます。
でも、男性は意外と未読なのでは…。
ぜひ読んで見てください。
というか 読まなきゃ ダメです(笑)
読むといいことが必ずあります。
そういう小説です。
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